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株が1.2%上がった日に、新安値のほうが多かった|利上げ確率は13ポイント落ちていた|09月03日 米国株分析

・約20分で読めます

今日のアメリカ株は、主要な指数が4つとも上がりました。ダウは+624ドル高(+1.18%)、S&P500が+1.06%、ナスダックが+1.40%。数字だけ見れば、気持ちのいい全面高の日です。

何が空気を変えたのか。 FRB(アメリカの中央銀行)のウォラー理事が「来週のデータで物価の上がり方が落ち着いていれば、金利は据え置きに傾く」と発言したことです。次の会合で利上げされる確率は、前日の63.2%から50.4%へ、一日で13ポイント落ちました。

でも、さらに一歩引くと、今日いちばん「あれ?」となった数字は別のところにありました。ニューヨーク証券取引所で、1年ぶりの高値をつけた銘柄が77、1年ぶりの安値をつけた銘柄が87。指数が1%以上上がった日なのに、安値を更新した銘柄のほうが多かったんです。ナスダックでも155対160で同じでした。

上がったのは指数で、中身ではありませんでした。今日はこのズレを追いかけます。

前回の仮説チェック

昨日(9/2)の記事で立てた3つの仮説を、今日のデータで答え合わせします。3つとも「判定対象外」でした。 これは自分の作った条件が厳しすぎたということなので、そこも含めて記録します。

① 仮説: 金利が動かなかったのは原油が止まったからなので、原油が再び動けば金利も動く トリガー: 原油ETF(USO)が前日比±1.0%を超えて動き、かつ10年国債金利が0.03%以上動く 結果: ⏳ 判定対象外。USOは**+0.67%**で、±1.0%に届きませんでした(10年金利のほうも0.02%の動きで、こちらも条件未満) 学び: 昨日「判定対象外=USOの変動が±1.0%未満の場合」と自分で先に決めておいたので、今日は迷わずここに振り分けられました。条件を作るときに「判定しない場合」まで書いておくと、後から都合よく解釈する余地がなくなる、というのが今日いちばんの収穫です。

② 仮説: 出来高を伴わない買い戻しなので、中身の改善は続かない トリガー: ニューヨーク証券取引所の52週安値が117を超えて増加し、かつ値下がり銘柄が値上がり銘柄を上回る 結果: ⏳ 判定対象外。52週安値は87まで減り(117以下)、値下がりも値上がりを上回りませんでした。ただし無効条件のほうも成立していません。出来高が11.06億株で、昨日の11.67億株を超えなかったからです 学び: 昨日は「値幅・中身の広がり・出来高の3つのうち2つだけが戻っている」状態でした。今日も同じく2つだけです。ただし中身が入れ替わっていて、今日は値幅が大きくなった一方で、広がりと出来高は後退しました。「2つ揃った」という結果が同じでも、どの2つかは違う——ここは昨日の自分が見落としていた粒度です。

③ 仮説: ハイテク業種が動かなかったのは中身の分裂によるもので、分裂は1日では終わらない トリガー: ハイテク業種(XLK)の変動が±0.5%以内に収まり、かつ主要5銘柄の騰落率の最大と最小の差が5%以上 結果: ⏳ 判定対象外。XLKは**+1.29%で、±0.5%を大きく超えました 学び: ただし参考として5銘柄の差を計算したら、10.45ポイントでした(パランティア+7.71%、ブロードコム−2.74%)。昨日は「5%以上あれば分裂」という基準を置いていたので、分裂そのものは昨日より広がっています。業種が+1.29%と大きく上がったせいで判定できなくなりましたが、見たかった現象は続いていました。「業種が動いたかどうか」を入口の条件にしたのが失敗**でした。中身の差を見たいなら、業種の動きは条件に入れるべきではなかったです。

主要指数

・S&P500 7,747.71(+81.11 / +1.06%) ・Nasdaq 26,584.06(+366.23 / +1.40%) ・NYダウ 53,686.11(+624.16 / +1.18%) ・ラッセル2000 2,968.27(+15.11 / +0.51%) ・VIX(恐怖指数) 14.32(−0.88 / −5.79%)

ここで最初の引っかかりです。中小型株を集めたラッセル2000が+0.51%と、4つの中でいちばん弱い。

今日は「利上げされないかも」で上がった日です。利上げ(お金を借りるコストが上がること)がいちばんきついのは、借金の負担が重い小さな会社のはずです。だから利上げの心配が減った日は、本来ラッセル2000が真っ先に上がります。昨日9月2日は実際そうでした(+1.13%で4指数中トップ)。今日はそれが逆になっています。

VIX(相場の不安の大きさを示す指数。高いほど怖がっている)は14.32まで下がりました。数字の上では落ち着いています。ところがCNNのFear & Greed指数(市場の感情を0〜100で表す指標)は35.26で「Fear(恐怖)」のまま、3営業日連続です。1週間前は55.40で「Greed(強気)」でした。2つの恐怖の指標が、逆を向いています。

相場を動かした3つのポイント

① ウォラー理事の「もし」で、利上げ確率が13ポイント消えた

今日いちばん大きな出来事は、FRBのウォラー理事の発言でした。内容はこうです。

「来週のデータで物価の上がり方が落ち着いていれば、金利を据え置くことに傾く。逆に加速していれば、利上げを検討する」

大事なのは、これが条件付きの話だということです。「据え置きます」とは言っていません。「もし物価が落ち着いていれば」という前提がついています。

それでも市場は反応しました。CMEという取引所が出している「次の会合で利上げされる確率」は、前日の63.2%から50.4%へ落ちました。1日で13ポイント近い低下です。

ここで前提を確認しておきます。2026年のアメリカは、利下げではなく利上げを警戒している局面です。 10年国債の金利は年の初めが4.2%前後だったものが今は4.77%、2年国債は3.5%前後が4.34%。1年かけてずっと上がってきました。半年続いている米国とイランの戦争で原油が高くなり、それが物価を押し上げているからです。

だから今日の金利低下は「利下げが来る」ではなく、**「利上げされるかもという心配が、少しゆるんだ」**という意味になります。

→ 僕のルール:条件付きの発言は、結論ではなく条件のほうをメモする。「据え置きに傾く」だけを記録すると、来週データが出たときに自分が何を見ればいいのか分からなくなります。今日メモしておくのは「物価が落ち着いていれば」という条件のほうです。

② 金利が下がった中身は、物価の見通しではなかった

金利が下がったと言っても、どこが下がったのかで意味が変わります。

・2年国債 4.34%(前日4.39%/−0.05%) ・10年国債 4.77%(前日4.79%/−0.02%) ・30年国債 5.25%(前日5.27%/−0.02%)

2年のほうが10年より大きく下がっています。 2年国債は「これから2年でFRBが金利をどうするか」の予想がいちばん強く出る場所です。ここが大きく動いたということは、今日の値動きが金融政策の話だったことを裏づけています。ウォラー発言と辻褄が合います。

さらに10年国債の中身を分けてみます。国債の金利は「これから物価がどれくらい上がると思われているか(期待インフレ率)」と「それを引いた後の実の金利(実質金利)」の足し算でできています。

| | 9月2日 | 9月3日 | 差 | |---|---|---|---| | 10年金利(表に出る数字) | 4.79% | 4.77% | −0.02 | | うち期待インフレ率 | 2.34% | 2.35% | +0.01 | | うち実質金利 | 2.45% | 2.42% | −0.03 |

下がったのは実質金利のほうで、物価の見通しはむしろ0.01%上がっています。

つまり今日の金利低下は「物価が落ち着きそうだから」ではありません。物価の見通しは据え置きのまま、実の金利の部分だけがゆるみました。ウォラーが言った「物価が落ち着いていれば」という条件について、債券市場は何も改善したと言っていないことになります。

ちなみに昨日9月2日は、表の数字が±0.00で内訳だけが逆向きに入れ替わっていました。2日続けて、内訳が動いています。

→ 僕のルール:金利が動いた日は、必ず期待インフレ率と実質金利に分けてから意味を考える。表の数字だけ見て「物価の心配が減った」と書いていたら、今日は完全に逆のことを書いていました。

③ 同じ日の朝、ISMの価格指数は72.6%まで上がっていた

ウォラーが判断材料に挙げた「物価が落ち着いているか」について、実は同じ9月3日の朝10時に、答えの一部が出ていました。

ISM非製造業景況指数という、サービス業の景気の良し悪しを聞き取り調査で数値化した指標です。50を超えると「拡大している」という意味になります。

・総合 55.4%(予想54.0%、前月54.1%)→ 予想を上回る強さ ・事業活動 61.7%(前月59.1%) ・新規受注 60.9%(前月57.2%) ・雇用 47.8%(前月47.4%)→ 2か月連続で50割れ ・価格 72.6%(前月70.3%)→ 6か月で5回目の70%超え

総合の55.4だけ見れば「景気がいい」で終わります。でも中を開けると、様子が違います。

**価格指数72.6%**は、仕入れ値が上がったと答えた企業が圧倒的に多いという意味です。前の月から2.3ポイントも上がっていて、12か月平均の68.5%は2023年4月以来の高さです。物価は落ち着いていません。

そして雇用指数47.8%。50を割っているので、サービス業では働く人が減っているということです。しかも2か月続いています。

景気は強い。値段は上がり続けている。でも人は減っている。この3つが同時に起きています。

ウォラーは「物価が落ち着いていれば据え置く」と言いました。その条件を測る材料が、同じ日の朝に「落ち着いていない」と出ていた。それでも市場は、結論のほうだけを買いました。

→ 僕のルール:発言と指標が同じ日に出たら、時刻の順番を並べてから読む。今日はISM(朝10時)が先で、ウォラー発言が後です。順番を知らずに「ウォラー発言で株高」とだけ書くと、その30分前に反対の材料が出ていたことが記録から消えます。

セクターの強弱——上がったのは金利に敏感な業種、でも小型株は置いていかれた

11業種のうち8業種が上がり、3業種が下がりました。

上がった業種 金融 +1.56% / 一般消費財 +1.39% / 情報技術 +1.29% / 不動産 +1.19% / 資本財 +1.03% / 通信サービス +0.85% / 公益 +0.84% / ヘルスケア +0.18%

下がった業種 生活必需品 −0.32% / 素材 −0.62% / エネルギー −0.74%

上位に並んでいるのは、金融・一般消費財・不動産。どれも金利が下がると嬉しい業種です。ここまでは今日の話と噛み合っています。

ただ、昨日の主役だった素材と小型株が、1日で下のほうに落ちています。 昨日9月2日は素材と金融と小型株が指数を押し上げた日でした。今日まで上位に残ったのは金融だけです。

もうひとつ引っかかったのがエネルギーが最下位(−0.74%)なのに、原油は上がっていることです(WTI原油の清算値は$91.30で+0.3%、原油ETFのUSOは+0.67%)。株式市場と原油市場では「その日の終わり」の時刻が違うので単純比較はできないのですが、それだけで説明しきれる差でもありません。理由が分からないので、事実だけ書いておきます。

金融の中でも、割れていました

今日いちばん強かった金融業種ですが、中を見ると同じ方向ではありませんでした。

・ゴールドマン・サックス +3.34% ・シティグループ +2.83% ・モルガン・スタンレー +2.52% ・JPモルガン +1.64% ・バンク・オブ・アメリカ +0.70% ・ウェルズ・ファーゴ −0.09%

トップの業種の中に、マイナスの銘柄があります。

ここで「証券会社系が強くて、普通の銀行系が弱い」という説明を思いつきました。利上げが遠のくと債券が買われて売買が増えるので証券会社に有利、一方で銀行は金利が高いほうが儲かるから不利、という理屈です。

でも、シティが+2.83%で説明に合いません。 シティは普通の銀行業務も大きい会社です。反例が1つ出た時点で、この説明は使わないことにしました。事実として「割れていた」までにしておきます。

Mag7(超大型テック7社)の動き

・テスラ +5.42%(この日の引け後にロボタクシー「Cybercab」の発表イベントを控えていて、期待で買われた) ・メタ +3.01%(前日9月2日に発表した新しいAIモデル「Muse Spark 1.3」が引き続き買い材料になった) ・マイクロソフト +2.68%(個別の材料は見つからず) ・エヌビディア +1.80%(AIの開発基盤「Hugging Face」を約130億ドルで買収すると発表) ・アルファベット +1.59%(個別の材料は見つからず) ・アマゾン +1.54%(個別の材料は見つからず) ・アップル +1.00%

7社とも上がりました。ただしアップルの+1.00%は7社の中でいちばん小さい上昇です。当日の個別材料は見つかりませんでした。

ここは自分が一度間違えたところなので、そのまま書いておきます。アップルには「ジェフリーズという証券会社が投資判断をHoldからUnderperformへ引き下げた(目標株価285.56ドル→263.66ドル)」という材料があって、僕は最初これを今日の出来事として書いていました。「悪い材料が出たのに上がった日」という、きれいな話になるからです。

でも確認したら、この格下げの発表は8月10日で、3週間以上前でした。検索で出てくる記事が今日の日付でも、その中で語られている材料が今日発表されたとは限りません。記事の日付と、材料が発表された日は別物です。

個別株で目立った動き

・ウルトラジェニックス(RARE) −44.03% アンジェルマン症候群という難病の治療薬について、最終段階の臨床試験(フェーズ3)で目標としていた効果を示せませんでした。複数の証券会社がその日のうちに評価を引き下げています。

・スノーフレイク(SNOW) +16.55% 前日の引け後に出た決算が非常に良い内容でした。1株利益が0.62ドル(予想0.45ドル)、売上は前年同期比+35%。さらに通期の見通しも引き上げています。AI関連の需要が伸びているとのこと。

・タイソン・フーズ(TSN) −7.26% 通期の業績見通しを引き下げました。

・パランティア +7.71% / オラクル +5.69% / ブロードコム −2.74%

スノーフレイクの決算を受けて、企業向けソフトウェアの会社が広く買われた一日でした。一方でブロードコムは−2.74%。昨日の記事で「ハイテクの中が分裂している」と書きましたが、今日はその差がさらに広がっています(主要5銘柄で最大と最小の差が10.45ポイント)。

マクロ環境(大きな経済の流れ)

・10年国債金利 4.77%(−0.02%) ・2年国債金利 4.34%(−0.05%) ・30年国債金利 5.25%(−0.02%) ・金ETF(GLD) +1.85% ・銀ETF(SLV) +2.51% ・原油ETF(USO) +0.67% ・WTI原油(清算値) $91.30(+0.3%)

金が+1.85%上がっています。株も上がっています。 金は安全な逃げ場としてお金が集まる資産なので、株が大きく上がる日には普通は逆に動きます。昨日9月2日も金は+1.52%でした。2日続けて、株と金が同じ方向に動いています。

ただしここは注記が要ります。上の+1.85%は株式市場が開いている時間の金ETFの数字です。株式市場が閉まった後の夜間の金先物は、日中の終値からさらに0.25%ほど押し戻されていました。今日の金が「上がった」ことは間違いないのですが、どの時刻までを「今日」と数えるかで数字は変わります。

ドル円とドル指数(DXY)については、調べたソースによって数字が割れました。今日の話の筋に関わらないので、確定できないまま置いておきます(昨日と同じ扱いです)。

経済指標

・ISM非製造業景況指数(8月):55.4%(予想54.0%)→ 予想を上回る。ただし中身は上記の通り ・新規失業保険申請件数(8/29週):206K(予想205K、前回204K)→ ほぼ予想通り ・貿易収支(7月):−886億ドル(前回−712億ドル)→ 赤字が拡大

なお、ADP雇用統計と製造業受注は9月2日の発表なので、今日の指標には入れていません。日付をまたいだ指標を混ぜると、その日に何が効いたのか分からなくなります。

地政学

半年続いている米国とイランの戦争が、今週さらに激しくなりました。日曜に米軍がホルムズ海峡(中東の原油が通る海の通り道)の島でイランのロケット発射台を攻撃し、木曜にイランがクウェートに向けて撃ち返しています。原油は週の前半に大きく上がりましたが、今日はその勢いが止まりました(+0.3%)。

テクニカルで見る今の位置

今日もチャート分析ツール(TradingView)が使えなかったので、公開されている数字だけで位置を確認します。

・S&P500連動ETF(SPY) 773.17(+1.05%) ・S&P500の均等加重ETF(RSP) 220.05(+0.66%) ・ナスダック連動ETF(QQQ) 717.67(+1.19%) ・小型株ETF(IWM) 295.19(+0.40%)

ここに今日の構図がそのまま出ています。

SPYとRSPはどちらも同じS&P500の500社を持っているETFです。違いは重みの付け方だけ。SPYは会社が大きいほど重く数え、RSPは500社を全部同じ重さで数えます。

今日はSPYが+1.05%、RSPが+0.66%で、0.39ポイントの差がつきました。 大きい会社を重く数えたほうが成績が良いということは、上がったのは大きい会社に偏っていたという意味になります。

そして小型株のIWMが+0.40%で、この4つの中でいちばん弱い。

市場の中身の数字も見ておきます。

・値上がり1,644 / 値下がり1,091(昨日は1,723 / 1,029) ・52週高値77 / 52週安値87(昨日は59 / 117。ニューヨーク証券取引所の単体集計) ・出来高 11.06億株(昨日は11.67億株)

※ この4つはウォール・ストリート・ジャーナルの Markets Diary(9月3日付)から取りました。同じ名前の数字でも集計している取引所の範囲が違うと別物になるので、範囲を書いておきます。

値上がりと値下がりの比は、昨日の1.67倍から今日は1.51倍に下がっています。指数の上げ幅は+0.56%から+1.18%へ倍以上になったのに、値上がりしている銘柄の割合はむしろ減りました。

そして冒頭に書いた52週高値77に対して安値87。安値の絶対数は昨日の117から減っているので改善はしているのですが、まだ安値のほうが多い状態です。ナスダックでも155対160で同じでした。

全体像:指数が上がることと、相場が良くなることは、別々に数える

今日の順番はこう整理できます。ウォラー理事が条件付きで据え置きを示した → 次の会合での利上げ確率が63.2%から50.4%に落ちた → 政策の予想が出やすい2年国債が−0.05%と大きく下がった → 金利上昇に押されていた大型株が買い戻された。 ここまでは素直です。

素直でないのは中身です。指数が1%以上上がった日に、ニューヨーク証券取引所でもナスダックでも、1年ぶりの安値をつけた銘柄のほうが多かった。 値上がり銘柄の比率は昨日より下がり、出来高は減り、均等に数えると0.39ポイント負け、いちばん金利に敏感なはずの小型株が最弱で、Fear & Greedは3日連続で「恐怖」のままでした。そしてダウ30銘柄の値動きを金額で合計すると、その32.7%がゴールドマン・サックス1社です(上位5社で68.7%)。

ダウは株価の金額で重みを決める指数なので、1株1,000ドルを超えるゴールドマンの+3.34%は、株価38ドルのナイキの+1.39%とは比べものにならない影響を持ちます。同じ「+3%上がった」でも、指数への効き方は26倍違います(ゴールドマンの1,004ドルとナイキの38ドルという株価の比が、そのまま効き方の比になります)。

こういう相場で僕が意識しているのは、「上がった」という言葉を、値幅・中身の広がり・出来高の3つに分けて確認することです。昨日は値幅と広がりが戻って、出来高が戻りませんでした。今日は値幅がさらに大きくなった一方で、広がりと出来高は逆に後退しています。同じ「3つのうち2つ」でも、中身は入れ替わりました。指数が上がることと、相場全体が良くなることは、別々に数えないと混ざります。

今日の迷い・判断メモ

迷ったポイント: 記事の主役を「ゴールドマン1社で32.7%」にするか、「新安値のほうが多かった」にするかで迷いました。数字のインパクトは前者のほうが強いです。1社で3割は分かりやすい。

結局どう考えたか: 後者を選びました。理由は、ゴールドマンの話は8月31日と9月1日に自分がすでに2回書いている型だからです。9月1日は「ダウの下げの10%は配当落ちだった」、8月31日は「2年債は動いていないのに報道は利上げのせいにした」。どちらも「指数の数字の中身を分解する」という同じ手つきです。3回目を同じ切り口でやると、自分の中で作業になってしまう気がしました。今日いちばん自分の予想を裏切ったのは、指数が+1.18%なのに新安値のほうが多いと気づいた瞬間のほうです。そちらを主役にしました。

後から振り返って: 判断は維持します。ただ、書き終わってから危なかったところが1つあります。僕は最初、「今日は利上げ警戒が後退したから、金利に敏感な業種が買われた日」という説明で全体をまとめようとしていました。金融+1.56%、一般消費財+1.39%、不動産+1.19%と上位3つが並ぶので、きれいに見えたんです。

でもそれだと小型株が説明できません。利上げの心配が減って喜ぶ順番で言えば、借金の重い小さい会社が真っ先に来るはずで、実際に昨日はラッセル2000が4指数中トップでした。今日は+0.51%で最弱です。説明に合わない例が主役級のところにいたのに、上位3業種が並んでいるのを見て納得しかけていました。 昨日「説明を思いついたら先に反例を探す」と書いたばかりなのに、同じ入口に立っていたので、これは記録しておきます。

自分なら何を確認してから動くか

  1. 「上がった日」も、下がった日と同じように内部の数字を見る。今日は指数が+1.18%だったので、正直なところ最初は中身を確認する気があまり起きませんでした。下げた日は「どこまで悪いのか」を確かめたくなるのに、上げた日は数字を見て安心して終わりがちです。気分が良い日のほうが確認が甘くなる、というのが今日の自分の反省です。
  2. 新高値と新安値は、必ず対で見て「どちらが多いか」だけを判定に使う。117から87へ減ったという変化だけ見ると改善に見えますが、77対87である限り、まだ安値を更新している銘柄のほうが多いです。減った・増えたと、どちらが多いかは別の質問です。
  3. ダウとS&P500の変動率に差がついた日は、上位5社の割合を計算してから記録する。今日はダウ+1.18%に対してS&P500が+1.06%。0.12ポイントの差ですが、中身は上位5社で68.7%でした。この数字を取らずに「ダウが強い」とだけ記録すると、明日その1社が止まったときに理由を説明できません。
  4. 条件付きの発言は、条件のほうをメモに残す。「据え置きに傾く」ではなく「物価が落ち着いていれば」のほうを書いておく。来週データが出たときに自分が何を見ればいいのかが、そこにしか書いていないからです。

明日の観測ポイント

次の取引日は9月4日(金)で、8月の雇用統計が発表されます(市場の予想は非農業部門の雇用者数が+55K〜58K、失業率4.1%)。9月7日(月)はレイバーデーで休場、9月11日(金)にCPI(消費者物価指数)、9月15〜16日にFOMC(金融政策を決める会合)という並びです。

① 仮説: 市場はウォラー発言の「条件」を価格に入れていないので、条件が崩れるデータが出れば今日の上げは戻される

トリガー: 9月4日の雇用統計で平均時給の前年比が予想(+3.0%)を上回り、かつ2年国債金利が4.34%から0.05%以上上昇する → 「条件を読み飛ばしていた」と確定させる

無効条件: 平均時給が予想以下で、かつ2年国債金利が4.34%以下に下がる → ウォラー発言の受け止め方は妥当だったと整理する

判定対象外: 平均時給が予想通り(±0.1ポイント以内)の場合

→ 僕のルール:発言の判定には、発言者本人が挙げた材料を使う。ウォラーは「来週のデータ」と言っています。株価がどう動いたかではなく、彼が見ると言った物価の数字で判定します。

② 仮説: 新安値が新高値を上回っている限り、指数の上げは中身を伴っていない

トリガー: 9月4日にニューヨーク証券取引所の新高値が新安値(87)を上回り、かつ出来高が11.06億株を超える → 中身が追いついてきたと判断する

無効条件: 指数が上がったのに、新安値がまた新高値を上回る → 「指数だけが上がる状態」が3営業日続いたと記録し、上げ幅の大きさを判断の根拠に使うのをやめる

判定対象外: 指数が下落した日(下げた日に安値が増えるのは当たり前なので、判定材料にしない)

→ 僕のルール:昨日の失敗を踏まえて、入口の条件をゆるくする。昨日は「業種が±0.5%以内なら」という入口を作ったせいで、見たかった中身の分裂を判定できませんでした。今日は「指数が上がった日なら」だけを入口にします。

③ 仮説: ダウの上げが1社に偏る構造は、その1社が止まれば消える

トリガー: 9月4日にゴールドマン・サックスが−1%以上下落し、かつダウの変動率がS&P500の変動率を下回る → 今日のダウの強さは指数の作り方によるものだったと確定させる

無効条件: ゴールドマンが下落したのに、ダウがS&P500を上回る → 上げの担い手が他へ移ったと判断する

判定対象外: ゴールドマンの変動が±1%以内の場合

→ 僕のルール:「1社に偏っている」と気づいたら、その1社が反対に動く日を待って確かめる。偏っていること自体は今日の数字で分かりますが、それが指数を動かしていたのかどうかは、1社が逆を向いた日にしか確認できません。

明日この仮説がどうなったか、また振り返ります。気になることがあればコメントで。

今日の3語メモ

「利上げ確率63.2%→50.4%」「指数+1.18%でも新高値77<新安値87」「ダウ30銘柄の値動きの32.7%はゴールドマン1社」


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この記事はjiyon(@jiyon_kizuku)の相場振り返りシリーズです。 投資判断は自己責任でお願いします。データは2026年9月3日時点のものです。

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