US Market×Jiyon

ナスダックは0.5%しか下げていないのに、値下がりが値上がりの2倍だった|08月28日 米国株分析

・約17分で読めます

ナスダック総合は−0.52%で終わりました。数字だけ見れば、たいして下げていない日です。

ところが同じ日、ナスダック市場で値下がりした銘柄は3,325、値上がりした銘柄は1,617でした。値下がりが値上がりのちょうど2倍です。前日の8月27日は値上がり2,619・値下がり2,341で、値上がりのほうが多かった。それが一日でひっくり返っています。

指数は0.5%しか動いていないのに、中では3社に2社が下がっていた。今日はこのずれを追いかけます。

前回の仮説チェック

昨日(8月27日)の記事で3つの仮説を立てたので、答え合わせをします。

仮説①: 8月27日の上昇はソフトウェアの決算という個別材料によるもので、翌日には他のセクターに広がらない トリガー: 8月28日に情報技術(XLK)が下落し、かつ上昇したセクターが3つ以下にとどまる 無効条件: 上昇したセクターが6つ以上に広がる 結果: ⏳ 判定不能(またしても隙間に着地) 学び: 情報技術(XLK)は**−1.55%で下落しました。ここまではトリガー通りです。ところが上昇したセクターは5つ**でした。3つ以下でもなく、6つ以上でもない。自分で作った2つの条件の、ちょうど間に入っています。昨日の記事で僕は、仮説③について「トリガーと無効条件が隙間なく接するように書きました」と自分で書いています。書いたのは③だけで、①の隙間は埋め忘れていました。一つ直したから全部直った気になっていた、というのが今日いちばん痛い発見です

仮説②: 原油とエネルギー株のねじれは3日目に入る トリガー: 8月28日も原油とエネルギー(XLE)が逆方向に動く → ルールそのものを書き換える 無効条件: 原油とエネルギーが同じ方向に動く 結果: ✅ 当たり(ただし、当たったと言い切るには気持ち悪さが残る) 学び: WTI原油は83.53ドルから83.44ドル(−0.11%)、エネルギー(XLE)は**+0.63%。符号だけ見れば逆方向で、ねじれ3日目が成立します。でも原油の−0.11%は、下がったというよりほぼ動いていない**というのが実際のところです。僕のルールには「何%以上動いたら方向とみなすか」という線が入っていませんでした。符号だけで判定すると、0.01%の動きでも「下落」になってしまう。当たった仮説のほうが、ルールの穴を教えてくれた形です

仮説③: ウォーシュ議長の初講演で、平行移動していた金利の形が動く トリガー: 8月28日に2年ものと10年ものの差が、+0.47から0.03以上動く 無効条件: 差が+0.44〜+0.50の範囲に収まる 結果: ✅ 当たり 学び: 2年ものと10年ものの差は**+0.47から+0.39へ、0.08縮みました**。0.03どころではありません。しかも縮んだ理由が、長いほうが下がったからではなく、短いほうが大きく上がったからでした。2年ものは4.20%→4.34%(+0.14)、10年ものは4.67%→4.73%(+0.06)です。昨日「隙間なく接するように書いた」のはこの③だけで、隙間を埋めた仮説だけがきれいに答えを出しました。①と見比べると、設計の差がそのまま結果の読み取りやすさの差になっています

3つのうち、はっきり答えが出たのは③だけ。①は隙間に落ち、②は当たったけれど判定基準そのものが怪しい。昨日の自分は「境界を接するように書く」と決めたのに、実行したのは1つだけでした。

主要指数

| 指数 | 終値 | 前日比 | 前日比率 | |---|---|---|---| | NYダウ | 53,559.99 | −9.45 | −0.02% | | S&P500 | 7,711.76 | −19.23 | −0.25% | | ナスダック総合 | 26,402.42 | −138.93 | −0.52% | | ラッセル2000(小型株) | 2,972.37 | −41.97 | −1.39% | | VIX(恐怖指数) | 14.42〜14.43 | −0.08 | −0.55% |

4つとも下がっていますが、下げ幅がきれいに並んでいます。ダウがほぼゼロ、S&P500が0.25%、ナスダックが0.52%、小型株が1.39%。会社の規模が小さくなるほど、下げが大きくなっています。

そしてVIXが下がっています。VIXは投資家がこの先の値動きの荒さをどう見ているかを表す数字で、不安が強まると上がります。株が下がった日にVIXも下がったというのは、下げてはいるけれど怖がられてはいないという状態です。

相場を動かした3つのポイント

① 朝は上げていた。ウォーシュ議長が話した後に、全部が沈んだ

この日はジャクソンホール(毎年8月にアメリカの中央銀行関係者が集まる会合)の2日目で、ウォーシュ議長の基調講演が現地時間10時に行われました。

その日の値動きを、始値・高値・安値・終値で並べます。

| 指数 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | 高値からいくら落ちたか | |---|---|---|---|---|---| | NYダウ | 53,611.94 | 53,819.65 | 53,489.41 | 53,559.99 | −259.66(−0.48%) | | S&P500 | 7,735.17 | 7,771.48 | 7,700.91 | 7,711.76 | −59.72(−0.77%) | | ナスダック | 26,515.99 | 26,700.68 | 26,359.27 | 26,402.42 | −298.26(−1.12%) | | ラッセル2000 | 3,014.15 | 3,017.04 | 2,972.37 | 2,972.37 | −44.67(−1.48%) |

4つとも、前日の終値より高いところから始まっています。つまり朝の時点では上げていた。そこから高値をつけて、引けにかけて落ちました。

ラッセル2000を見てください。安値と終値が同じ2,972.37です。これはその日の一番安い値段で取引が終わったことを意味します。最後まで買い戻されなかった、ということです。

講演の中身は、アメリカの中央銀行の公式サイトに原稿が出ています("In Our Time")。物価上昇率について「直近12カ月で+3.7%、直近6カ月では年率+4.1%」と、目標の2%を超えていることを強調し、「夏場の指標は予想より良かったが、基調的なトレンドが有意に改善したことを意味しない」と述べています。金利を上げるとも下げるとも明言していません。それでも市場は、物価への警戒が続くと受け取りました。

② 金利が上がり、同時に「予想されている物価上昇率」が下がった

金利の動きを並べます。数字はアメリカ財務省が毎日出しているデータです。

| 年限 | 8月27日 | 8月28日 | 前日比 | |---|---|---|---| | 2年もの | 4.20% | 4.34% | +0.14 | | 10年もの | 4.67% | 4.73% | +0.06 | | 30年もの | 5.19% | 5.22% | +0.03 | | 2年と10年の差 | +0.47 | +0.39 | −0.08 |

短いほうほど大きく上がっています。中央銀行が動かせるのは短い金利なので、近い将来の金融政策への見方が変わったことを示しています。

ここに、もう一つの数字を重ねます。市場が予想している物価上昇率(10年分)です。国の債券の値段から逆算して出るもので、セントルイス連銀のデータベースで毎日公開されています。

| 項目 | 8月27日 | 8月28日 | 前日比 | |---|---|---|---| | 10年ものの金利 | 4.67% | 4.73% | +0.06 | | 市場が予想している物価上昇率 | 2.33% | 2.31% | −0.02 | | 差し引き(実質金利) | 2.34% | 2.42% | +0.08 |

金利そのものは+0.06しか上がっていないのに、差し引きの数字は+0.08上がっています。物価上昇の予想が下がったぶん、差が広がったからです。

この差し引きの数字を、実質金利といいます。お金を借りて何かをする人が、物価上昇ぶんを差し引いても本当に負担する重さ、と考えるとイメージしやすいと思います。ここが上がると、利息を生まない資産(金など)と、借金に頼っている会社が特に苦しくなります。

実際、この日の金は4,609.70ドルから4,504.10ドルへ**−2.29%**下げました(金の変動率は集計元によって−1.7%〜−3.4%と幅が出たので、ここでは「2%前後の下落」という粒度で受け取ってください)。ドルも上がっています(ドル円 159.32→160.04、ドル指数 99.16→99.68)。小型株が最も下げたのも、この線でつながります。

③ 半導体だけが、金利とは別の理由で崩れていた

ここまでの説明は金利の話ですが、ナスダックの下げ幅を作ったのは半導体でした。

| 銘柄・指数 | 8月27日 | 8月28日 | 変動率 | |---|---|---|---| | SOX(半導体株の指数) | 11,882.17 | 11,469.66 | −3.47% | | エヌビディア(NVDA) | 227.98 | 217.55 | −4.57% | | マーベル(MRVL) | 241.45 | 216.62 | −10.28% | | TSMC(TSM) | 427.30 | 417.52 | −2.29% | | インテル(INTC) | 92.09 | 89.47 | −2.85% | | AMD | 476.67 | 465.58 | −2.33% |

エヌビディアは前日8月27日に決算を受けて+8.74%上がったばかりです。その翌日に−4.57%。上げ幅の半分以上を返しました。

マーベルは8月27日の取引終了後に決算を出しています。中身は売上が前年同期比+37%の27.39億ドルで、事前の予想を上回っていました。それでも−10.28%下げています。売られた理由は、会社自身が出した将来の売上目標(2028年度に180億ドル)が、市場の期待に届かなかったためと報じられています。

決算の数字自体は良かったのに下げた、という点は覚えておきたいところです。この日、同じことが他でも起きています(後述)。

セクターの強弱——「何が買われて、何が売られたか」

アメリカの株を11の業種に分けたETFの騰落です。

| 上がった(5つ) | | 下がった(6つ) | | |---|---|---|---| | コミュニケーション(XLC) | +1.42% | 素材(XLB) | −0.09% | | 一般消費財(XLY) | +1.15% | ヘルスケア(XLV) | −0.24% | | エネルギー(XLE) | +0.63% | 不動産(XLRE) | −0.40% | | 生活必需品(XLP) | +0.43% | 資本財(XLI) | −0.93% | | 金融(XLF) | +0.38% | 公益(XLU) | −1.04% | | | | 情報技術(XLK) | −1.55% |

金利が上がった日のセクターの動きとしては、下から2番目の公益と、下から4番目の不動産が下げているのが典型的です。どちらも借金の多い業種で、金利上昇が重くのしかかります。逆に金融がプラスなのは、貸したお金の利ざやが広がると見られるからです。

ここまでは金利の話で説明がつきます。ただし最下位の情報技術だけは別です。これは半導体が引きずったもので、金利とは別の軸で動いています。

僕はこういう時、説明できないセクターを無理に同じ理由に押し込まないようにしています。今日は「金利で動いた10本」と「半導体で動いた1本」を分けて数えました。

Mag7(超大型テック7社)の動き

| 会社 | 8月27日 | 8月28日 | 変動率 | |---|---|---|---| | アマゾン(AMZN) | 256.26 | 266.43 | +3.97% | | アルファベット(GOOGL) | 340.65 | 346.59 | +1.74% | | マイクロソフト(MSFT) | 505.06 | 513.53 | +1.68% | | アップル(AAPL) | 314.58 | 319.70 | +1.63% | | メタ(META) | 571.10 | 578.02 | +1.21% | | テスラ(TSLA) | 354.81 | 348.75 | −1.71% | | エヌビディア(NVDA) | 227.98 | 217.55 | −4.57% |

7社中5社が上がっています。

冒頭の話に戻ります。ナスダックで値下がりが値上がりの2倍あった日に、時価総額の大きい7社のうち5社は上がっている。つまり指数を支えたのは上の数社で、沈んでいたのはその下にいる大多数でした。

こういう構造の日は、指数の数字を見て「たいして下げていない」と判断すると、実際に持っている銘柄との体感がずれます。

個別株で目立った動き

その日、5%以上動いた銘柄です。

| 銘柄 | 変動率 | 何があったか | |---|---|---| | エラスティック(ESTC) | +19.31% | 決算が予想を上回り、通期の見通しも引き上げ | | ギャップ(GAP) | +12.94% | 利益見通しを引き上げ。オールドネイビーの新CEO就任も好感 | | ルーブリック(RBRK) | −13.05% | 決算は予想超えだが、利益率の低下と材料の出尽くし | | ペイパル(PYPL) | −12.71% | 買収検討が撤回されたとの報道 ※ | | マーベル(MRVL) | −10.28% | 上述 |

※ペイパルの材料は報道ベースで、僕は一次情報まで確認できていません。数字(−12.71%)は実際の終値から計算したものですが、理由のほうは裏が取れていないので、そのつもりで読んでください。

ここに、5%には届かなかったけれど気になった銘柄を1つ足します。**アルタ・ビューティー(ULTA)は−4.18%**でした。決算は1株利益6.55ドル(予想6.20ドル)、売上30.4億ドル(予想29.9億ドル)、既存店の売上も+3.8%で、通期の見通しまで引き上げています。それでも下げました。

この日、決算が良かったのに下げた銘柄が3つあります(マーベル、ルーブリック、アルタ)。1つなら個別の事情ですが、3つとなると地合いのほうを疑いたくなります。

マクロ環境(大きな経済の流れ)

| 項目 | 8月27日 | 8月28日 | 前日比 | |---|---|---|---| | 米2年債 | 4.20% | 4.34% | +0.14 | | 米10年債 | 4.67% | 4.73% | +0.06 | | 実質金利(10年) | 2.34% | 2.42% | +0.08 | | ドル円 | 159.32 | 160.04 | +0.45% | | ドル指数(DXY) | 99.16 | 99.68 | +0.52% | | 金 | 4,609.70 | 4,504.10 | −2.29% | | WTI原油 | 83.53 | 83.44 | −0.11% | | 銅 | 6.587 | 6.640 | +0.81% |

その日発表された経済指標は、ミシガン大学の消費者信頼感指数の確定値(8月分)で51.7でした。速報の51.0からは上方修正されていますが、7月の55.2からは下がっています。

なお、7月の個人消費支出(PCE)物価指数は8月26日に発表済みで、この日の材料ではありません。総合+3.7%、コア+3.3%という数字が講演で引用されていたので混ざりやすいのですが、発表日は分けて数えます。

9月の金融政策決定会合(9月15〜16日)について、講演後に利上げの確率が3割台から5割台後半へ上がったと複数のメディアが報じています。ただし僕はこの数字の出どころ(CMEの公式ページ)に直接たどり着けませんでした。「コインフリップに近いところまで上がった」という粒度で受け取っておいて、小数点の数字は信用しないことにします。

テクニカルで見る今の位置

出来高(その日に何株取引されたか)を並べます。

| 市場 | 8月27日 | 8月28日 | 増減 | |---|---|---|---| | ナスダック | 6,473,221,115 | 7,612,043,669 | +17.6% | | S&P500 | 2,856,239,856 | 2,589,484,205 | −9.3% | | NYダウ | 653,738,196 | 507,511,504 | −22.4% |

増えたのはナスダックだけです。ダウとS&P500はむしろ減っています。

※出来高は集計元によって数字が割れることがあります(後から取り直すと値が変わるデータ元もあります)。ここでは同じデータ元で前日と当日を並べているので増えた・減ったの向きは見ていますが、%の細かい数字は幅を持って読んでください。

出来高が増えるのは、そこに人が集まったということです。この日、人が集まったのはナスダック——つまり半導体とグロース株が売られた場所でした。他の市場は静かなまま、下げるべき場所だけで取引が膨らんでいます。

値上がり・値下がりの銘柄数も並べます。

| 市場 | 8月27日 | 8月28日 | |---|---|---| | ニューヨーク証券取引所 | 値上がり1,267 / 値下がり1,484 | 値上がり1,201 / 値下がり1,560 | | ナスダック | 値上がり2,619 / 値下がり2,341 | 値上がり1,617 / 値下がり3,325 |

ニューヨーク証券取引所のほうは前日から大きくは変わっていません。壊れたのはナスダックのほうだけです。

全体像:下げの理由が2つあって、片方は市場全体の話ではなかった

この日の下げは、性質の違う2つが重なっています。

1つ目は金利です。ウォーシュ議長の講演をきっかけに、短い金利が0.14上がり、同時に市場が予想する物価上昇率が0.02下がった。差し引きの実質金利は0.08上がりました。これに弱いのは、利息を生まない金(−2.29%)と、借金に頼る小型株(−1.39%、安値引け)です。逆に手元にお金を厚く持つ超大型テックは影響を受けにくく、7社中5社が上がりました。

2つ目は半導体です。前日のエヌビディア急騰の反動と、マーベルの見通し失望が重なってSOXが−3.47%。これはナスダック限定の話で、金利とは関係ありません。ナスダックだけ出来高が増え、ナスダックだけ値下がり銘柄が倍になったのは、この2つ目が理由です。

市場全体が悲観に振れたわけではない、と僕が考えている根拠はVIXです。値下がり銘柄が値上がりの2倍あった日に、VIXは14.50から14.42へ下がりました。パニックなら上がるはずの数字が下がっている。これは「怖くなって全部売った」ではなく、「置き場所を変えた」に近い動きだと考えています。ただしこれは仮説で、断定はできません。

一方で、気になる点も残ります。ナスダックの値上がり/値下がり比が、前日の1.12から0.49へ一日で反転したことです。指数の−0.52%という数字は、この反転の大きさを表現できていません。指数の符号だけを見ていると、この日を「ほぼ横ばい」と記録してしまいます。

週間で見ると、主要3指数はプラスでした(S&P500 +0.49%、ダウ +0.53%、ナスダック +0.85%)。マイナスなのはラッセル2000の−1.51%だけです。7月末からここまでで見ると、そのラッセル2000も+1.40%を保っています(8月はまだ8月31日の1営業日が残っているので、月間の数字はこの時点では確定していません)。1日で見ると小型株が崩れた日で、1カ月で見るとまだプラスの範囲、というのが今の位置です。

今日の迷い・判断メモ

迷い①:ナスダックの値上がり/値下がり比0.49を、どこまで重く見るか

前日1.12だったものが一日で0.49へ。数字だけ見ると異常事態です。最初は「指数は嘘をついている、実態はもっと悪い」と書こうとしました。

ただ、そこで手が止まりました。同じ日にニューヨーク証券取引所のほうは0.85→0.77とほとんど変わっていないからです。もし市場全体が悪化したなら、両方が同じように壊れるはずです。壊れたのはナスダックだけ。さらに出来高が増えたのもナスダックだけ。

そこで「市場全体の悪化」ではなく「ナスダックへの売りの集中」と解釈するほうへ倒しました。ただし倒しただけで、証明はできていません。明日の観測ポイント②はこの迷いをそのまま検証にしています。

迷い②:原油の−0.11%を「下がった」と数えていいのか

前回の仮説②の判定で引っかかりました。符号で見れば下落なので、ねじれ3日目が成立してルールを書き換える段階に入ります。でも−0.11%は、実質的にはほとんど動いていません。

これは自分のルールに**「何%以上動いたら方向とみなすか」という線がなかった**という設計ミスです。符号だけで判定すると、誤差レベルの動きでも「方向が出た」ことになってしまいます。

今日から**±0.3%未満は「方向なし」として扱い、方向を前提にした仮説は判定不能とする**ことにします。この線を入れると、今回の②は「当たり」ではなく「判定不能」になります。当たったことにしておいたほうが気分はいいのですが、それだと次に同じ間違いをします。

迷い③:好決算で下げた3社を、どう記録するか

マーベル、ルーブリック、アルタの3社は、いずれも決算の数字が予想を上回ったうえで下げています。1社なら「見通しが弱かった」で片付きます。3社そろうと、個別の事情というより受け取る側の姿勢が変わったと考えるほうが自然に思えました。

ただ、3社は業種もばらばら(半導体、ソフトウェア、小売)で、共通の説明を作るのは無理があります。今日は**「3社あった」という事実だけ記録して、理由づけはしない**ことにしました。同じことが来週も続くなら、その時に考えます。

自分なら何を確認してから動くか

① 指数の符号を見る前に、値上がり/値下がりの銘柄数を見る

今日がまさにその日でした。ナスダック−0.52%という数字と、値下がりが値上がりの2倍という中身は、まったく違うことを言っています。指数だけを記録していたら、この日は「ほぼ横ばい」としてノートに残ってしまいます。

② 金利は、名目の数字だけで判断しない

10年ものは+0.06しか上がっていません。「大した動きではない」と処理しそうになります。でも市場が予想する物価上昇率が−0.02動いたことで、差し引きは+0.08になりました。金が2%以上下げた理由は、+0.06のほうではなく+0.08のほうにあります。名目と予想物価はセットで見る、というのを今日のルールに足します。

③ 好決算で下げた銘柄が同じ日に3つ以上あったら、決算の中身より地合いを疑う

これは今日新しく作った線です。1社なら個別事情、2社なら偶然の可能性、3社なら受け手側が変わっている。数の線を先に決めておかないと、後から都合よく解釈してしまうので、3社という数字で固定します。

明日の観測ポイント

※次の取引日は8月31日(月)で、8月の最終営業日にあたります。米国のレイバーデーによる休場は9月7日(月)で、8月31日は通常どおり取引があります。

① 仮説: 今日の下落は金利が理由なので、金利が落ち着けば小型株から戻る

トリガー: 8月31日に2年もの国債の利回りが4.34%より下がり、かつラッセル2000の変動率がS&P500を上回る → 金利一本の下げだったと整理する

無効条件: トリガーが成立しない場合(2年ものが4.34%以上、またはラッセル2000がS&P500を下回る)→ 金利以外の理由が小型株に効いていると判断する

→ 今日の反省を踏まえて、トリガーが成立しなかった場合を全部無効条件にしました。隙間はありません

② 仮説: ナスダックの値上がり/値下がり比0.49は、半導体への売り集中による一日だけの偏り

トリガー: 8月31日のナスダックの値上がり/値下がり比が0.90以上 → 一日限りの偏りだったと整理する

無効条件: 0.90未満 → 指数の数字と中身のずれが続いていると判断し、指数の符号だけで日々を記録するのをやめる

→ 僕のルール:判定の境界は1本だけ引く。0.90という線の上か下か、必ずどちらかに落ちます

③ 仮説: 実質金利が上がっている間は、金は戻らない

トリガー: 8月31日に10年ものの金利から市場予想の物価上昇率を引いた数字が2.42%以上を保ち、かつ金が下落する → 実質金利と金の連動を自分のルールとして固定する

無効条件: その数字が2.42%以上なのに金が上昇する → 実質金利以外の要因(ドル、地政学)が金を動かしていると考え直す

→ この仮説は**「実質金利が2.42%未満に下がった場合」は判定対象外**です。前提が崩れた時にどうするかを、今回は先に書いておきます

明日この仮説がどうなったか、また振り返ります。気になることがあればコメントで。

今日の3語メモ

「ナスダックだけ値下がり2倍」「実質金利+0.08」「好決算で下げた3社」


📩 AI内製化の実装ノウハウは別ブランドで発信中

Jiyonは「AIで相場をどう読むか」の試行錯誤の記録です。 事業や個人資産にAIをどう取り込むかを体系で学びたい方は、TSUMUGU(Hiro)のメルマガをどうぞ。 → https://be-sunao.com/tsumugu/


この記事はjiyon(@jiyon_kizuku)の相場振り返りシリーズです。 投資判断は自己責任でお願いします。データは2026年8月28日時点のものです。

RELATED

AIで判断軸を仕組み化する。

この記事を読んで「自分の状況でも整理したい」と感じた方は、SUNAOの各入口から現在地を一緒に整理できます。

投資で磨いた情報整理・判断プロセスを、採用や経営のAI内製化へ応用する。その実装がTSUMUGU。

SUNAO FAMILY

SUNAOブランドの3つのサイト