日経平均は+328.34円(+0.50%)で3営業日ぶりの反発でした。ただ朝は真逆で、寄り付きが-332.83円、そこから一時900円超安の64,609.47円まで沈んでいます。寄り付きの-332円と大引けの+328円が、符号だけ入れ替わってほぼ同じ数字になった1日でした。
面白いのは戻した中身です。33業種の首位は非鉄金属の+2.83%で、半導体が入る電気機器は+0.48%の13位。「AI関連が買われて戻した」と書きたくなる日ですが、買われたのは装置でもメモリでもなく、データセンターをつなぐ銅線のほうでした。
前回の仮説チェック
前回は8月24日(月)です。今日は素直に翌営業日の答え合わせができます。
① 日経-TOPIX乖離は続くか(半導体一本足の下げ) → ❌ ハズレ
仮説は「8月25日も日経がマイナスでTOPIXがプラスの逆行が続く」でした。今日は日経+0.50%・TOPIX+0.50%で、小数第2位まで見ても同率。逆行どころか完全に揃っています。
無効条件のほうも見ておくと、「半導体3社のうち2社以上がプラス転換」を置いていました。キオクシア+0.65%、ソフトバンクグループ+2.25%、アドバンテスト-0.14%で、2社がプラス転換。無効条件が成立して仮説が消えた形です。自分のルールとして「同じ3社が2日連続で寄与度上位を独占するかを見る」と書いていましたが、2日連続にはなりませんでした。1日で終わったので偶発のほうだった、と記録しておきます。
② 日銀9月利上げ観測が金利上昇(銀行↑・半導体↓)を支えるか → ✅ 当たり
トリガーは「8/25〜8/27に10年債利回りが2.85%以上を維持」でした。今日の新発10年債利回りは2.890%(15:05時点、前日比+0.010%)で維持しています。
業種順位のほうも今日はきちんと取れました。保険業+1.85%が2位、証券・商品が+1.63%で3位、銀行業+1.30%が4位。金融3業種が2〜4位を独占しています。前回は「銀行の順位が取れていない」という反省を書いたので、今日は33業種を全部取りました(全リストは後述します)。
ただし「銀行↑・半導体↓」の後半は今日は当たっていません。電気機器は+0.48%でプラスです。金利上昇が金融を押し上げる部分だけが効いて、半導体を押し下げる部分は今日は出ませんでした。セットで覚えていた因果が、片側だけ動くことがあるというのが今日の学びです。
③ NVIDIA決算前の薄商いは続くか → ✅ 当たり
仮説は「8/25-27の売買代金は6.5〜7.5兆円のレンジ」、無効条件は「一日でも8兆円超」でした。今日のプライム売買代金は約7.01兆円でレンジ内。前日の7.06兆円からさらに減っていて、2日続けて7兆円台前半に沈んでいます(今日の水準は4カ月ぶりの低さと報じられています)。
前回書いた「動意づいた日を上げ下げで判断する前に、まず売買代金で仕分ける」というルールを今日に当てはめると、+328円の反発は7兆円の薄商いの中で起きた戻しということになります。買いが集まって上がったというより、朝の売りが引っ込んだ、と読むほうが数字には合っています。
相場を動かした3つのポイント
① 朝の-900円と大引けの+328円は、別々の材料でできている
まず朝です。前日の米国市場でナスダックが-0.76%、半導体株指数(SOX、米国の半導体銘柄をまとめた指数)が2%超下落しました。エヌビディアは7営業日続落で、2022年以来いちばん長い下げです。ここにトランプ大統領のカナダ産自動車への追加関税表明が重なりました。
だから東京は半導体と自動車が同時に売られて始まり、寄り付き-332.83円、一時900円超安の64,609.47円まで沈みます。
ところが前引けは+70.59円とプラス転換して、後場は上げ幅を広げました。押し目買いに加えて、韓国のKOSPIや台湾加権指数などアジア株が上昇し、米株価指数先物も堅調、国内の長期金利も落ち着いていたことが支えになっています。
終値65,856.43円に対して日中高値は65,904.24円。差は47.81円しかなく、ほぼ高値引けです。日中値幅は1,294.77円ありました。
ここで自分が確認したのは、朝の下げと午後の上げは同じ材料の反転ではないということです。朝を作ったのは米半導体と関税という外からの材料で、午後を作ったのはアジア株と金利という別の材料でした。「行って来い」と一言で書くと1本の線に見えますが、下げた理由が解決したわけではありません。カナダ関税の話は今日のうちに消えていないので、輸送用機器は最後まで最下位のままです。
② 業種首位は非鉄金属+2.83%、その中身は「AIの配線」
33業種のうち22業種が上昇しました。上位と下位はこうなっています。
上位5業種
| 順位 | 業種 | 騰落率 | |---|---|---| | 1 | 非鉄金属 | +2.83% | | 2 | 保険業 | +1.85% | | 3 | 証券・商品 | +1.63% | | 4 | 銀行業 | +1.30% | | 5 | 情報・通信業 | +1.14% |
下位5業種
| 順位 | 業種 | 騰落率 | |---|---|---| | 29 | 倉庫・運輸 | -0.48% | | 30 | 繊維製品 | -0.48% | | 31 | ゴム製品 | -0.55% | | 32 | 海運業 | -0.91% | | 33 | 輸送用機器 | -1.29% |
首位の非鉄金属を押し上げたのは古河電気工業(5801)の**+10.34%**です。材料はデータセンター向けの光ケーブル・電解銅箔・水冷モジュールで、8月6日に今期の経常利益見通しを上方修正した流れが続いています。同じ発想でイビデン(4062)が+6.30%、フジクラ(5803)が+5.50%。半導体を動かすために必要な「基板」と「配線」のほうです。
一方で半導体本体が属する電気機器は+0.48%で13位でした。個別に見ても、アドバンテスト-0.14%、東京エレクトロン+0.47%、キオクシア+0.65%、村田製作所+0.89%と、ほぼ横ばい圏です。
つまり今日は、AI関連という言葉の中で、本体は動かず周辺だけが動いた日でした。非鉄金属という業種名だけ見ると銅やアルミの市況の話に見えますが、中身を1銘柄ずつ開けるとAIデータセンターの話になっています。業種名は昔のままで、中身の産業が入れ替わっている、という見え方です。
③ 金融3業種が2〜4位を独占、金利は2.890%
保険+1.85%、証券・商品+1.63%、銀行+1.30%。この並びの背景は日本の10年債利回りが2.890%と高い水準で維持されていることです。
日銀は9月17-18日の会合での追加利上げが意識されていて、市場の織り込みは8割程度(8月21日時点で約82%)と報じられています。金利が上がると銀行や保険の運用環境が良くなるので、素直な反応です。
ただし前回の自分の仮説では、これを「銀行↑・半導体↓」というセットで書いていました。今日は前半だけが起きています。金利が上がった日に必ず半導体が下がるわけではない、というのは今日で1つ確認できました。
注目セクター・銘柄
売買代金上位10銘柄(16:42時点、Yahoo!ファイナンス)
| 順位 | 銘柄 | コード | 株価 | 騰落率 | |---|---|---|---|---| | 1 | キオクシアHD | 285A | 51,260円 | +0.65% | | 2 | フジクラ | 5803 | 5,292円 | +5.50% | | 3 | アドバンテスト | 6857 | 34,450円 | -0.14% | | 4 | 太陽誘電 | 6976 | 9,270円 | +1.32% | | 5 | 古河電気工業 | 5801 | 4,000円 | +10.34% | | 6 | ソフトバンクG | 9984 | 5,087円 | +2.25% | | 7 | 日経平均レバレッジETF | 1570 | 68,820円 | +1.06% | | 8 | イビデン | 4062 | 19,980円 | +6.30% | | 9 | 村田製作所 | 6981 | 7,130円 | +0.89% | | 10 | 東京エレクトロン | 8035 | 55,410円 | +0.47% |
昨日と同じ顔ぶれが並んでいますが、符号が変わっています。昨日フジクラは-5.00%、イビデンは-2.06%でしたが、今日は+5.50%と+6.30%。2日で往復した格好です。
急騰・急落
- ティアフォー(593A):+21.48%で上場来高値。8月20日に発表したルネサスエレクトロニクスとの協業(自動運転Level4向け)が材料です
- ACSL(6232):-8.72%。前日8月24日の大引け後に海外募集による新株発行を発表していて、今日がそれを織り込む最初の取引でした。発行株数が増えると1株あたりの価値が薄まる(希薄化)ため売られる、という典型的な反応です
- ストップ高は3銘柄(Kaizen Platform、FUNDINNO、ギミック)、ストップ安は0
東証プライムの銘柄数
値上がり844/値下がり643/変わらず63。値上がり比率は54.5%で、日経+0.50%・TOPIX+0.50%という指数の上げと素直に一致しています。昨日のような「指数と中身の食い違い」は今日はありません。
テクニカルチェック
TradingViewから2銘柄です。
- 日経225ETF(1321):終値68,220円、+0.59%。RSI 48.06(中立)、MACDはヒストグラム-3でゴールデンクロス接近。短期MA+1.72%・中期MA+1.42%・長期MA+3.17%と、全期間で移動平均線の上にいます
- TOPIX ETF(1306):終値426.7円、+0.47%。RSI 52.43(中立)、MACDはヒストグラム-0.3でデッドクロス接近
ここが今日いちばん引っかかった数字です。昨日の記事で「明日のTOPIX MACDヒストグラムがプラスに戻るかをまず見る」と書きました。答えは**-0.3のままで、昨日と同じ位置**です。TOPIXは今日プラスで4日続伸なのに、勢いを測る指標は1ミリも改善していません。
上げ幅が出た日にモメンタムが動かないというのは、「上がった」というより「下がらなかった」に近い動き方だと自分は理解しています。今日の+328円が、朝の売りが引っ込んだ結果であって新しい買いが入った結果ではない、という売買代金の読みとも整合します。
為替・外部環境
- ドル円:159.43円(16:59時点、前日比+0.28円)。日中は159.00〜159.45円のレンジで底堅い
- ユーロ円:185.51〜185.86円のレンジ(正午時点185.82円)
- 米国前日(8/24):NYダウ+0.26%、S&P500-0.28%、ナスダック-0.76%。エヌビディアが7営業日続落
- 中国:上海総合・香港ハンセンとも日中は軟調(終値は取得できていません)
- 日本10年債:2.890%(15:05、前日比+0.010%)
マクロ環境チェック
| 項目 | 値・状況 | |---|---| | 日銀 | 9月17-18日会合での追加利上げ観測、市場の織り込みは8割程度(8/21時点で約82%) | | WTI原油 | 85.01ドル/バレル(-2.35%、3営業日ぶり下落) | | NY金 | 4,701.34ドル/oz(9月限、8/25終値、+0.43%) | | 日本 週の指標 | 8/28 東京都区部CPI(8月分) | | 米国 週の指標 | 8/26(米国時間)エヌビディア決算、週内に米PCE・GDP改定値 |
全体像のまとめ
今日は「外から来た売りを、国内の物色で戻した日」です。朝の-900円は米半導体安とカナダ関税という外部要因で作られ、午後の戻しはアジア株高・米株先物・金利の落ち着きという別の材料で作られました。下げた理由が解決したわけではないので、輸送用機器は-1.29%で最下位のまま終わっています。
戻しの担い手は2つ。1つは金利上昇を追い風にする金融3業種(保険・証券・銀行が2〜4位)、もう1つは非鉄金属+2.83%が示す銅・基板・光ケーブルというAIデータセンターの周辺インフラでした。半導体本体は+0.48%の13位で、動いていません。
そして数字の裏付けとして、売買代金は7.01兆円と4カ月ぶりの低水準で2日続けて7兆円台前半、TOPIXのMACDヒストグラムは-0.3で昨日から改善なし。指数は反発したが、参加者も勢いも戻っていないというのが今日の実態だと思います。
こういう相場で僕が意識していること
「AI関連が買われた」という一言を、今日は使わないようにしました。使ってしまうと半導体が買われた日として記憶するからです。実際には電気機器は13位で、上に来たのは非鉄金属でした。
AI投資というテーマは、いま少なくとも3層に分かれています。GPUや設備を作る層(半導体)、それを載せる基板・つなぐ配線の層(イビデン、フジクラ、古河電工)、そして電気を供給する層です。今日はこのうち2番目だけが動きました。同じテーマの中で層が違えば別々に動くので、テーマ名で一括りにすると何が起きたか分からなくなります。
もう1つは、業種名を信用しすぎないことです。「非鉄金属が首位」と聞いて銅の市況を調べに行くと、今日の答えには辿り着きません。中身は古河電工1社の+10.34%で、その理由はデータセンターでした。業種の分類は数十年前の産業構造でできているので、中身が入れ替わっていることがあります。順位を見たら1銘柄まで開ける、を習慣にしたいところです。
今日の迷い・判断メモ
今日、実際に迷った場面を2つ残します。
① 朝の-900円で買いを検討して、結局見送ったこと
前場の安値64,609.47円は、前日終値から-1.4%の水準でした。「米半導体の下げは外部要因だから、日本の内需や金融には関係ない」と考えれば、ここは買い場に見えます。実際、そこから終値まで1,247円戻したので、結果だけ見れば正解の場面でした。
見送った理由は、朝の時点で下げの理由が2つ(半導体と関税)あって、片方の関税が日本株にとってどこまで悪材料か判断がつかなかったからです。カナダ産自動車への関税は日本企業にも北米生産拠点があるので、影響の範囲を測れませんでした。
ただ振り返ると、測れないことを理由に見送るのと、測って小さいと判断して見送るのは別です。今日は前者でした。輸送用機器は-1.29%で最下位でしたが、日経全体への影響としては朝の-900円を正当化するほどではなかった、というのが結果です。次に「複数の悪材料で下げた朝」に出会ったら、材料ごとに影響を受ける業種を先に分けて、その業種の時価総額シェアで大きさを見積もる手順を踏んでみます。
② TOPIXの4日続伸を、素直に受け取っていいのか(2日連続の宿題)
昨日と同じ迷いですが、昨日より材料が揃いました。TOPIXは今日も上げて4日続伸、値上がり844銘柄と幅も広い。それなのにMACDヒストグラムは-0.3で昨日と同じです。
「上げ幅が出ているのに勢いが戻らない」を2営業日続けて確認したので、今日はこれを偶然ではなく状態として扱います。ここで買い増しに動くのは自分のルールに合いません。8月26日(米国時間)のエヌビディア決算と8月28日の東京都区部CPIが控えていて、売買代金も7兆円台。動く材料が来る前に、動きにくい状態で乗る理由がないというのが今日の結論です。
自分なら何を確認してから動くか
- 非鉄金属の首位が2日続くか。続くなら古河電工1社ではなくテーマとしての物色、1日で終わるなら個別材料の消化
- TOPIX ETF(1306)のMACDヒストグラムが3営業日目もマイナス圏に留まるか(3日連続なら「上げても勢いが戻らない」を確定した状態として扱う)
- 10年債利回りが2.85%以上を維持したまま、金融3業種が上位に残るか
明日の観測ポイント
① 非鉄金属の首位はテーマか、1社の材料か
- 仮説: 8月26日も非鉄金属が上位5業種に残る
- トリガー: 古河電工以外の非鉄金属銘柄(住友電工、JX金属、住友鉱山など)が同方向に動く
- 無効条件: 非鉄金属が下位半分に落ちる、または古河電工だけが上げて他が下げる → 1社の材料消化だった
- 僕のルール:業種が首位に来た日は、翌日その業種の2番手・3番手が付いてきたかで「テーマ」か「1社」かを仕分ける。今日は古河電工1社の説明しかできていないので、明日それが広がるかどうかを見る
② エヌビディア決算前の薄商いは3日目も続くか
- 仮説: 8月26日のプライム売買代金も8兆円未満
- トリガー: 7兆円台以下で着地
- 無効条件: 8兆円超 → 決算前のポジション調整が入った合図で、翌27日の値動きが大きくなる可能性
- 僕のルール:3日連続で薄商いが続いた後の1日目の膨らみは、方向より先に「何のフローか」を確認する。決算前のヘッジなのか、実弾の買いなのかで意味が逆になる
③ 輸送用機器の最下位は関税の織り込み1日で終わるか
- 仮説: 8月26日の輸送用機器は下位5業種から抜ける
- トリガー: トヨタ・ホンダなど北米生産比率の高い銘柄がプラス転換
- 無効条件: 2日連続で下位5に残る → 関税を一過性のニュースではなく業績前提の変更として市場が扱い始めた合図
- 僕のルール:関税・規制のニュースは「1日で織り込む」か「2日以上引きずる」かで扱いを変える。1日なら押し目、2日以上なら前提の変更として、その業種の見方自体を組み直す
明日この仮説がどうなったか、また振り返ります。
今日の3語メモ
配線:AI関連で買われたのは半導体本体ではなく、非鉄金属+2.83%(古河電工+10.34%)という「つなぐ側」だった。テーマ名では層の違いが見えない
片側:「金利上昇=銀行↑・半導体↓」はセットで覚えていたが、今日は前半だけ起きた。因果は片側だけ動くことがある
7.01:売買代金7.01兆円は4カ月ぶりの低水準で、前日7.06兆円に続き2日続けて7兆円台前半。+328円の反発は、買いが入った結果ではなく売りが引っ込んだ結果

