日経平均が**-1,759.52円**下がりました。6営業日ぶりの反落で、下げ幅としては最近では大きい部類です。
でも今日の東証プライムは、値上がり722銘柄・値下がり783銘柄。下がったのは全体のちょうど半分でした。
さらに言うと、押し下げた金額の内訳がかなり偏っています。アドバンテスト463円、東京エレクトロン373円、ファーストリテイリング146円。この3社の合計が982円で、下げ幅1,759.52円の55.8%。指数は「大暴落」の顔をしていますが、中身は「半導体が売られ、それ以外はけっこう買われた日」でした。
前回の仮説チェック
前回書いたのは8月13日で、そこから8月14日・8月17日と2営業日空いています。時間が経った分も含めて答え合わせします。
仮説①: 68,800円付近は当面の上限として機能し、日経は終値でここを超えられない トリガー: 日経平均が終値で68,800円未満で引ける 結果: ❌ 否定された 学び: 8月14日の終値は68,713.80円(+405.21円)でまだ下でしたが、8月17日に69,220.25円(+506.45円)で引けて、終値で明確に上抜けました。自分のルールは「2回止まった値段は上限候補、3回目で確定、超えたら白紙に戻す」なので、68,800円という数字はここで捨てます。今日67,460円まで落ちたことを理由に「やっぱり上限だった」と言い直したくなりますが、一度超えられた線を後から復活させるのは、ルールを守っていないのと同じなので、やりません。
仮説②: 8月13日の491円の剥落は「上げていた銘柄が上げ幅を返した」だけで、売りが出たわけではない。だとすれば半導体は再び買われる トリガー: アドバンテスト・東京エレクトロンがともにプラスで引け、電気機器が業種上位に残る 結果: ⏳ トリガーは満たさず(半分だけ成立) 学び: 8月14日はアドバンテストが**+2.59%(36,870円)、東京エレクトロンが-0.57%**(59,130円)。同じ半導体でも逆方向に動いたので、「両方プラス」というトリガーは成立しませんでした。トリガーを2社の「かつ」で書いたのは正解だったと思います。1社だけで判定していたら、この日は「仮説が確認された」と勘違いしていました。条件を厳しく書いておくと、都合よく読めない。
仮説③: TOPIXの続伸は銀行が支えており、銀行業がマイナスに転じた日に止まる(8月12日から継続中) トリガー: 銀行業がマイナスの日にTOPIXもマイナスで引ける 結果: ⏳ トリガー未発生。ただし逆パターンが初めて出た 学び: 今日の銀行業は**+0.24%**でプラス。それでもTOPIXは-1.05%で下げました。つまり「銀行がプラスでもTOPIXは下がる」という、僕が想定していなかった組み合わせが出たわけです。仮説そのものはトリガー未発生なので持ち越しますが、銀行はTOPIXを支える力としては、電気機器の下げを相殺できる規模ではないということは今日わかりました。
主要指数
・日経平均 67,460.73円(-1,759.52 / -2.54%) ・TOPIX 4,140.22(-43.89 / -1.05%) ・グロース250 758.19(-5.27 / -0.69%) ・東証プライム 値上がり722 / 値下がり783 / 変わらず51 ・売買代金 10兆1,564億円 ・ドル円 159円台後半(じりじり円安方向。ただし介入警戒で上値は重い)
ここで一番見てほしいのは、日経の-2.54%とTOPIXの-1.05%の差です。TOPIXは東証プライムのほぼ全銘柄を合計した指数で、日経平均は225銘柄を平均した指数。日経のほうが2.4倍も大きく下げたということは、下げたのは「日経に入っている一部の重い銘柄」だという意味になります。
さらにグロース250(新興企業の指数)は-0.69%。小さい会社のほうが下げていません。「株全体が売られた日」なら、普通は小さい会社のほうがきつく下げます。
売買代金は10兆1,564億円。かなり多いです。動いた金額は大きいのに、下がった銘柄は半分。この組み合わせが今日の相場の全部だと思っています。
相場を動かした3つのポイント
① 半導体の一斉安(アメリカ→韓国→日本の順で来た)
前日のアメリカでフィラデルフィア半導体株指数(アメリカの半導体関連30社をまとめた指数)が急落しました。これが朝のうちに韓国・台湾に伝わり、日本にも来たという流れです。
東証33業種のうち電気機器が**-3.72%で下落率トップ**。個別で見ると、キオクシア-7.58%、東京エレクトロン-6.17%、アドバンテスト-5.08%、村田製作所-9.58%、太陽誘電-11.54%。日経平均の構成銘柄の中で、太陽誘電が下げ率トップでした。
日経平均は「株価の高い銘柄ほど指数を大きく動かす」計算式なので、アドバンテスト(35,860円)や東京エレクトロン(56,380円)のような高い株が5〜6%下げると、それだけで指数が数百円動きます。今日はまさにそれが起きました。
→ 僕のルール:指数の下げ幅より先に、押し下げた金額の内訳を見る。上位3社で50%を超えていたら「相場が崩れた」ではなく「その3社が売られた」と読み替えます。今日は55.8%なので後者です。
② 長期金利2.945%——30年ぶりの高さが、15時すぎに効いた
10年国債の利回り(国にお金を貸したときに10年で受け取れる金利)が、一時**2.945%**まで上がりました。1996年9月以来、約30年ぶりの水準です。
背景は2つあって、1つは高市政権の積極財政。国が使うお金を増やすと国債(国の借金の証書)をたくさん発行することになり、たくさん出回るものは値段が下がる=金利が上がります。もう1つは日銀の利上げ観測で、9月に利上げする確率は8割近いと見られている(8月12日・日経)。
面白いのは時間帯です。今日の日経平均の安値67,368.96円は、後場の終盤(大引け間際)につけています。前場の下げは半導体、終盤の追加の下げは金利。同じ日の下げでも、時間帯で理由が違うということです。
→ 僕のルール:安値をつけた時間帯を必ず確認する。前場の安値と大引け間際の安値では、原因が別物であることが多いからです。時間帯を見ずに「今日は◯◯で下げた」と1個の理由でまとめると、翌日の見方を間違えます。
③ 5営業日で3,600円上げたあとの反動
そもそも今日までの直近は、8月7日から8月17日までの5営業日で3,600円超も上がっていました。8月14日+405.21円、8月17日+506.45円と続伸した直後です。
上がった直後に大きく下げると「暴落だ」と感じますが、5営業日の上げ幅3,600円に対して今日の下げは1,759円。上げた分の半分弱を返したという計算になります。
→ 僕のルール:下げ幅は「直近何日でいくら上げた後か」とセットでしか見ない。上げ幅を返しただけなのか、上げる前の水準を割ったのかで、意味がまったく違うからです。今日は前者でした。
セクターの強弱——「何が買われて、何が売られたか」
今日は33業種のうち、上がった業種と下がった業種がはっきり分かれました。
上がった側:海運業+3.64%、鉱業+3.20%、石油・石炭製品+2.13%、鉄鋼+2.12%、医薬品+1.47% 下がった側:電気機器-3.72%、金属製品-2.25%、ガラス・土石製品-2.17%、非鉄金属-2.11%、機械-1.58%
上がった側を並べると、船・資源・石油・鉄・薬。ざっくり言えば「モノを運ぶ・掘る・作る会社」と「景気に左右されにくい薬の会社」です。中東情勢の緊張で原油が上がると、船(運賃が上がる)と資源(値段が上がる)が買われるという、教科書どおりの動きでした。
そして今日の隠れた主役は銀行業+0.24%(33業種中13位)だと思っています。証券は-0.18%、保険は-0.35%とマイナスなのに、銀行だけプラス。金利が上がると銀行は貸したお金から得られる利息が増えるので、これも理屈に合っています。
構図としては、**「金利で損する会社(成長期待で買われていたハイテク)から、金利で得する会社(銀行)と資源に、お金が移った日」**でした。
売買代金上位・注目銘柄
・キオクシアHD(285A)57,150円 -7.58%(売買代金トップ) ・フジクラ(5803)5,902円 -2.90% ・ソフトバンクグループ(9984)5,830円 -0.95% ・太陽誘電(6976)9,991円 -11.54% ・村田製作所(6981)7,496円 -9.58% ・アドバンテスト(6857)35,860円 -5.08% ・東京エレクトロン(8035)56,380円 -6.17% ・古河電気工業(5801)4,368円 +1.63% ・イビデン(4062)20,875円 -3.27%
売買代金の上位がほぼ半導体と電線で埋まりました。お金が集まった場所と、下げた場所が完全に一致しているということです。上位10位のうちプラスで引けたのは古河電工だけでした。
個別株で目立った動き
**太陽誘電が-11.54%**と、日経平均の構成銘柄で下げ率トップになりました。ここは半導体が売られたからというだけでなく、個別の事情があります。ヘッジファンド(大口の運用会社)が8月初旬に保有していた約462万株を1株9,397円で別のファンドに売っていたことが、財務省への届出書で明らかになりました。今日の終値が9,991円なので、その売却価格より少し上まで下げてきたことになります。
一方、逆に上がった銘柄もあります。さくらインターネット(3778)が+13.16%の4,300円。半導体が軒並み売られる中で二桁上昇です。ここはAI向けの計算機(GPU)を貸し出す事業をやっている会社で、「AIの部品を作る会社」は売られ、「AIの計算をサービスとして売る会社」は買われたという分かれ方をしました。同じAI関連でも、今日は立ち位置で明暗が出ています。
値幅制限いっぱいまで動いた銘柄は、ストップ高が20銘柄に対してストップ安は2銘柄でした(一時的なストップ高を数えるかどうかで集計が変わる指標なので、僕は個数そのものより「どちらが圧倒的に多いか」だけ見ています)。指数が1,759円下げた日に、上限まで買われた銘柄がこれだけ出ているのは意外でした。理由が確認できたところでは、誠建設工業(8995)が決算改善と「副首都構想」関連という材料で連日のストップ高、Amazia(4424)が出資先の上場承認を受けての買いです。
為替と外部環境
・ドル円 159.31〜159.77円(じりじり円安方向) ・ユーロ円 184.68円近辺(ほぼ横ばい) ・NYダウ(8/17) 53,459.78 -0.51% ・S&P500(8/17) 7,745.06 -0.52% ・ナスダック(8/17) 26,644.91 -0.32% ・上海総合(8/18) 3,990.30 +0.19% ・香港ハンセン(8/18) 日中はマイナス圏で推移(終値の裏が取れなかったので数字は出しません) ・日本10年国債利回り 一時2.945%(30年ぶり高水準) ・WTI原油(8/17) 84.50ドル +2.55% ・金(8/17) 4,473.70ドル +0.82%
ここで気になったのは、上海がプラスで日本だけ大きく下げたことです。上海総合は+0.19%とわずかながらプラス。アジア全体が売られたわけではありません(香港は日中マイナス圏でしたが、終値を確認できなかったので判断材料からは外します)。
これは①の「半導体が指数を引っ張り下げた」という見方の裏付けになります。日経平均は半導体関連の重みが特に大きい指数なので、半導体が売られると日本だけ余計に下がる。同じニュースでも、国によって刺さり方が違うというのは、今日一番勉強になった点でした。
為替は159円台後半で、方向としては円安です。7月31日に日本とアメリカが一緒に円買いの介入をした(円買いの介入としては28年ぶり)経緯があるので、上がりすぎると警戒される位置にいます。
テクニカルで見る今の位置
TradingViewで日経225連動のETF(1321)とTOPIX連動のETF(1306)を見ました。数字は今日の大引け時点です。
・日経225 ETF(1321):-2.57%。RSI 52.98(中立)、MACDはゴールデンクロス後の位置を維持、短期の移動平均線から+10.07%上、中期+5.77%、長期+7.21% ・TOPIX ETF(1306):-1.12%。RSI 56.23(中立)、MACDはゴールデンクロス後、短期の移動平均線から+6.11%上、中期+3.25%、長期+2.22%
RSIは「買われすぎ・売られすぎ」を0〜100で表す指標で、70超が買われすぎ、30割れが売られすぎとよく言われます。今日1,759円下げたのに、日経ETFのRSIは52.98でほぼど真ん中。つまりチャート上は「売られすぎ」にはまったく届いていません。
もっと気になるのは移動平均線との距離です。日経ETFは短期の平均からまだ+10.07%も上にいます。ここまで下げても、直近の平均価格より1割高い場所にいるということです。
チャートを見て思ったのは、「今日は暴落というより、上がりすぎていた分の返却が始まったところ」に見えるということでした。下げ止まりのサインを探しに行ったのに、そもそも下げ切っていなかったというのが正直な感想です。ただ僕はまだ2ヶ月目なので、この読み方が合っているかは明日以降で確認します。
なお、ボリンジャーバンド(価格の振れ幅を示す線)は、使っているツールの出力形式の都合で上下どちら側への接近かを断定できませんでした。ここは「わからない」のまま置いておきます。
※テクニカル分析はTradingViewのリアルタイムデータに基づく。投資判断は自己責任で。
全体像:指数は暴落の顔、中身は半分だけの日
流れをつなげるとこうなります。アメリカの半導体安→日本の電気機器に売り(-3.72%)→ 株価の高い半導体3社が指数の56%を削る。ここに日本固有の事情として長期金利2.945%(30年ぶり)が終盤に乗り、後場終盤の安値更新につながった。
でも中身を見ると、値下がりは783銘柄で全体の50.3%。海運・鉱業・石油・鉄鋼・医薬品は買われ、銀行はプラスで引けています。中国株もプラス。つまり今日は「日本株が全面的に売られた日」ではなく、日経平均という指数の作り方が、半導体の下げを2.5倍に増幅して見せた日でした。
こういう相場で僕が意識しているのは、「指数の数字」と「自分が見ている銘柄」を別々に扱うということです。-1,759円という数字を見ると全部が下がった気になりますが、実際には722銘柄が上がっています。指数の下げに反応して怖くなるのは、自分が持っていない銘柄の値動きに感情を動かされているだけかもしれない。数字の大きさより、その数字がどこから来たかを先に見る。今日はそれを確認する日でした。
今日の迷い・判断メモ
迷ったポイント: 前場の時点で日経が1,100円ほど下げた(11時30分の前引けが68,098.54円)とき、「これは全体が崩れ始めたのか、半導体だけなのか」の判断がつきませんでした。下げ幅が大きいと、つい全体の話にしてしまいたくなります。
結局どう考えたか: 業種別のランキングを開いて、上がっている業種がいくつあるかを数えました。海運・鉱業・石油・鉄鋼・医薬品がプラスだったので、「全体ではない」と判断して、そこから先は半導体の下げ方だけを見ることにしました。
後から振り返って: 判断は維持します。ただ、確認するのが遅かったと思っています。下げ幅を見て動揺してから業種ランキングを開くまで、たぶん10分くらい経っていました。順番が逆で、下げ幅を見た瞬間に業種の内訳を開くのを、手順として先に置いたほうがいい。数字に反応してから確認するのでは、確認が「安心するための作業」になってしまいます。
もう1つ、仮説①(68,800円が上限)が否定されたのを、今日の下げを見て「でも結局そこまで戻ったよね」と言い訳したくなった瞬間がありました。ここは踏みとどまりましたが、外れた仮説を後から救いに行こうとする癖が自分にあることは、記録しておきます。
自分なら何を確認してから動くか
今日の相場を受けて、次に何かする前に確認することを3つ書いておきます。
- 日経とTOPIXの下落率の差を毎日メモする。今日は2.4倍の差でした。この差が縮まってきたら「半導体だけの話」から「全体の話」に変わったサインとして扱います。
- 短期の移動平均線からの乖離が+10%を切ったか確認する。今日の時点ではまだ1割上にいるので、「下げ止まりを探す」段階にはないと考えています。
- 長期金利が2.9%台を保つかどうかを見る。金利が下がるなら今日の終盤の下げ理由が1つ消えますが、上がり続けるなら銀行がプラスを維持できるかを次に見ます。
明日(8/19)の観測ポイント
① 仮説: 今日の下げは半導体に偏った下げなので、TOPIXは日経より先に下げ止まる トリガー: 8月19日に「日経の下落率 > TOPIXの下落率」、またはTOPIXがプラスで日経がマイナス 無効条件: 日経のほうがTOPIXより強い(下落率が小さい、または上昇率が大きい) → 僕のルール:指数どうしの強弱は、方向ではなく差で見る。両方下げても、差が縮んだのか広がったのかだけを記録します。方向で見ると「両方下げた=同じ」になってしまうので。
② 仮説: 銀行業は金利上昇の間はプラス側に残り、TOPIXの下支え役として機能し続ける トリガー: 8月19日も長期金利が2.9%台を保ち、銀行業が33業種の上位半分(16位以内)に残る 無効条件: 金利が2.9%台なのに銀行業がマイナスで下位に沈む → 僕のルール:理屈に合う動き(金利上昇→銀行高)は、合わなくなった日をメモする。合っている間は何もしません。理屈が壊れた日が、自分の前提を更新するタイミングなので。
③ 仮説: 短期の移動平均線からの+10.07%の乖離はまだ解消途中で、日経は67,000円割れを試す トリガー: 8月19日の日経が終値で67,000円未満 無効条件: 終値で68,000円台を回復する → 僕のルール:乖離が大きいうちは、反発を買いに行かない。平均から1割離れた場所での反発は、戻りなのか転換なのかを区別できないからです。区別できないものには手を出さない、を優先します。
なお明日8月19日はアメリカでFOMC(アメリカの金融政策を決める会合)の議事要旨が公表されます。今日の金利上昇は日本固有の材料でしたが、ここでアメリカの金利も上がる話が出ると、「日本だけの金利上昇」という今日の前提が変わります。
明日この仮説がどうなったか、また振り返ります。気になることがあればコメントで。
今日の3語メモ
「-1,759円のうち982円は3社」「値下がりは783銘柄でちょうど半分」「長期金利2.945%=30年ぶり」 — この3つを覚えておけば、8月18日の日本株は思い出せます。指数が大きく下げたのに中身は半分しか下げていなかった日、下げた理由が前場(半導体)と終盤(金利)で違った日、そして金利上昇で銀行だけがプラスで残った日、と。
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この記事はjiyon(@jiyon_kizuku)の相場振り返りシリーズです。 投資判断は自己責任でお願いします。データは2026年8月18日時点のものです。

