日経平均が+553円上がりました。連休明けの続伸です。
でも今日、僕が一番長く見ていた数字は日経平均ではありません。**TOPIXの+0.94%**です。日経平均の+0.83%より大きい。TOPIXはこれで6日続伸になりました。
半導体株が売買代金の上位をほぼ独占するくらい買われた日なのに、値がさ半導体株に引っ張られるはずの日経平均が、TOPIXに負けた。この「あれ?」が今日の入り口でした。
前回の仮説チェック
前回(8/10)の記事で立てた3つの仮説を、今日の結果で答え合わせします。昨日8/11は山の日で休場だったので、中1日空けての検証です。
仮説①: リクルートのストップ高は買い注文を消化しきっていないので、次の取引日も買いが残る トリガー: 8/12にリクルート(6098)が前日比プラスで寄り付く 結果: ✅ 確認された 学び: リクルートは16,565円で寄り付きました。前日終値16,165円より+400円高い。終値は16,660円(+3.06%)です。ストップ高で買えなかった注文が翌営業日に持ち越される、という教科書どおりの動きでした。ただ、+22.79%の翌日が+3.06%なので、勢いの本体は初日で終わっています。
仮説②: 「通期の見通しが良くても、直近の実績が市場予想に届かないと売られる」型は続く トリガー: 該当する銘柄が発表当日にマイナスで引ける 結果: ✅ 確認された(8例目) 学び: 今日の該当はサンリオ(8136)です。4-6月の営業利益は224億円で前年同期比+11%、四半期として過去最高でした。それでも市場予想の232〜234億円に届かず、株価は**-18.12%。報道では約12年ぶりの下落率とされています。今回は「通期見通し」ではなく「四半期実績が過去最高」という看板でしたが、売られ方は同じでした。この型の本質は「数字の絶対値ではなく、予想に対してどうか」**なんだと、8例目でより確信に近づきました。
仮説③: 日経平均とTOPIXの騰落率の差(8/10は3.3倍)は、値がさ2社次第で続く トリガー: 8/12に日経平均の騰落率がTOPIXの2倍以上になる 結果: ❌ 無効条件が成立した 学び: 今日は日経+0.83%に対してTOPIX+0.94%。2倍どころか、TOPIXが日経を上回りました。面白いのは、半導体株は今日もしっかり買われていたことです。それでも日経が負けたのは、上げの主役が「一部の値がさ株」から「銀行や非鉄金属の大型株」に広がったから。差が縮まる日は半導体が売られる日だと思い込んでいましたが、裾野が広がることでも差は消える。これは想定していませんでした。
主要指数
・日経平均 67,524.06円(+553.84 / +0.83%) ・TOPIX 4,139.00(+38.39 / +0.94%)6日続伸 ・グロース250 745.68(+8.51 / +1.15%) ・東証プライム 値上がり983 / 値下がり530 / 変わらず43 ・売買代金 約9兆4,400億円 ・ドル円 159円40銭前後(今週の円安水準)
3つの指数が全部プラスで、グロース250が一番強い。値上がりは983銘柄と全体の6割超です。前引け時点では値上がり814・値下がり706と拮抗気味だったので、後場に裾野ごと持ち上がった形です。
相場を動かした3つのポイント
① 米国は3指数そろって下げたのに、東京は上げた
前日8/11のアメリカ市場は、S&P500が-0.3%、NASDAQが-0.6%、NYダウが-0.34%と、3つの主要指数がそろって下がりました。Alphabetが-3.8%と大きく売られたのが重しです。ふつうに考えれば、翌日の東京も下がりそうな流れです。
でも東京は上がりました。カギは、米国市場の中でも半導体株の指数(SOX指数)は上がっていたことです。今日の東京の売買代金上位10銘柄のうち、キオクシア、フジクラ、太陽誘電、村田製作所、イビデン、東京エレクトロン、古河電工と、半導体・電子部品・電線関連が大半を占めました。太陽誘電は+7.51%、古河電工は+6.83%です。東京は「米国全体」ではなく「米国の半導体」だけを引き継ぎました。
→ 僕のルール:「米国が下げたから東京も下がる」という一段の予想をしない。米国のどの部分を東京が引き継ぐかは、そのとき資金がどこに居るかで決まる。今は半導体に居る。
② 8/10に売られた銀行が、業種2位に戻ってきた
業種別の上昇率2位は銀行業の+2.87%でした。前回8/10の記事で、銀行業は-1.89%と下位に沈んでいたセクターです。中1日で真逆になりました。
理由も真逆です。8/10に銀行が売られたのは「アメリカの雇用が弱い→アメリカの金利が下がりそう」という話でした。今日買われたのは「日銀が9月にも利上げしそう」という日本側の話です。市場では9月利上げの織り込み(市場参加者がどれくらいの確率で起きると見ているか)が40%超、10月までなら90%超まで進んでいると報じられています。日本の10年国債の利回りも2.845%へ上がりました。銀行はお金を貸して利ざやで稼ぐので、日本の金利が上がるなら儲けが増える方向です。
前回「銀行・保険が下げ止まるかを見る」と書きましたが、答えは「下げ止まるどころか、材料が入れ替わって反発」でした。米金利の話は、たった1営業日しか銀行株を支配しませんでした。
→ 僕のルール:銀行株を見るときは「アメリカの金利」と「日本の金利」のどちらが効いているかを毎回分ける。同じセクターでも、効いている金利が違えば別の生き物として扱う。
③ ストップ高ゼロで+553円——派手さのない続伸
今日はストップ高が0件でした(16時時点)。値上がり率トップのダイジェット工業でも+25.45%で、値幅制限には達していません。8/10は25銘柄がストップ高した派手な+1,363円でしたが、今日は誰も張り付かないまま+553円です。
日中の流れも地味でした。寄り付きは+23円とほぼ横ばい、10時には一時-0.91円とマイナス寸前まで沈んでいます。そこから前引け+70円、後場に入って+250円、14時に+539円と、じわじわ積み上がって高値圏で引けました。今夜にアメリカの7月CPI(消費者物価指数=アメリカの物価の統計で、今週最大の注目イベント)を控えているのに、様子見どころか後場に買いが加速した形です。この後場の加速に、僕はこれというきっかけを特定できませんでした。
→ 僕のルール:きっかけが特定できない上げは「誰が・なぜ買ったか」が分からないので、翌日も続く前提を置かない。「分からなかった」とそのまま記録する。
セクターの強弱——「何が買われて、何が売られたか」
買われたのは非鉄金属(+3.12%)、銀行業(+2.87%)、鉱業(+2.77%)、サービス業(+1.55%)、金属製品(+1.38%)。売られたのはゴム製品(-1.25%)、海運業(-0.91%)、空運業(-0.74%)、小売業(-0.65%)、繊維業(-0.65%)です(15:44時点)。
非鉄金属の中身は電線株です。古河電工+6.83%、フジクラ+3.94%。AIデータセンターの配線需要という、半導体と同じ物語の別パーツ。鉱業は原油高(WTIが83ドル台へ続伸)です。上位は「AIの配線・日本の金利・資源」、下位は内需系がぱらぱらと。8/10のような「金利が下がると困る業種が売られる」構図は消えました。
売買代金上位・注目銘柄
・キオクシアHD(285A) 49,870円 +3.87% ・フジクラ(5803) 5,800円 +3.94% ・太陽誘電(6976) 10,265円 +7.51% ・アドバンテスト(6857) 34,550円 +0.85% ・村田製作所(6981) 7,538円 +3.23% ・イビデン(4062) 20,480円 +3.02% ・東京エレクトロン(8035) 58,230円 +2.61% ・古河電気工業(5801) 4,222円 +6.83% ・リクルートHD(6098) 16,660円 +3.06%
顔ぶれは8/10とほぼ同じですが、役割が入れ替わっています。8/10に+6.43%で主役だったアドバンテストは今日+0.85%と一番静かで、逆に8/10に+0.59%しか動かなかったキオクシアが今日は+3.87%。同じ「半導体が買われた日」でも、中で買われている銘柄は日替わりです。
個別株で目立った動き
急落側はサンリオ(-18.12%)のほか、楽天グループが-13.77%(1-6月期は営業黒字に浮上したものの最終赤字が続く)、トリドリが-17.37%(子会社への投資が重荷で4-6月営業益24%減)、ツバキ・ナカシマが-15.00%(構造改革費用で営業益55%減)。決算をきっかけにした2桁の下げが並びました。指数が静かに上がった日でも、個別の下では容赦ない値動きが起きています。
為替と外部環境
・ドル円 159円40銭前後(今週の円安水準) ・ユーロ円 183円90銭前後 ・米国8/11 S&P500 7,728.20(-0.3%)、NASDAQ 26,445.45(-0.6%)、NYダウ 53,791.85(-0.34%) ・日本の10年国債利回り 2.845%(前営業日から上昇) ・WTI原油 83ドル台(続伸)/NY金 4,441.10ドル(8/11時点)
7月末に日米が協調して円買い介入(政府・中央銀行が市場で直接円を買って円安を止める操作)をした直後なのに、ドル円は159円台と円安側に戻ってきています。介入の警戒と、今夜の米CPI待ちが綱引きしている位置です。日本の金利は上がっているのに円は安い、という8/10と同じ「まだうまく飲み込めていない」組み合わせが続いています。
テクニカルで見る今の位置
・日経225 ETF(1321):終値69,940円(+0.89%)。RSI 70.30で「買われ過ぎ」の入り口に到達。MACDはシグナルの上でプラス圏、上向きの流れは継続。短期の移動平均線からは+11%上。 ・TOPIX ETF(1306):終値431.9円(+1.01%)。RSI 65.44で中立〜やや買われ気味。MACDは上向き継続。
気になったのはRSIの跳ね方です。8/10は53.75だったのが、今日は70.30。日経平均は今日+0.83%しか上がっていないのに、指標は2日で16ポイント以上跳ねました。RSIは直近14日の値動きから計算されるので、計算期間から古い下落の日が抜け落ちるだけでも数字が上がります。指標の急上昇=その日の過熱、とは限らないというのが今日の発見でした。とはいえ70は70です。教科書的には「買われ過ぎ」の域に入りました。
※テクニカル分析はTradingViewのリアルタイムデータに基づく。投資判断は自己責任で。
全体像:主役が「2社」から「面」に広がった日
前日の米国は3指数そろって下げたのに、半導体指数だけは上がっていた。東京はその半導体だけを引き継いで、売買代金上位を半導体・電子部品・電線で埋めました。ここまでは8/10の続きです。
違ったのはそこから先で、日銀の9月利上げ観測を背景に銀行が+2.87%と反発し、原油高で鉱業も買われ、上げの主役が「値がさ2社」から「大型株の面」に広がりました。その結果、8/10に3.3倍あった日経とTOPIXの騰落率の差は消え、TOPIXが日経を上回って6日続伸。ストップ高0件、後場にじわじわ積み上げる地味な上げ方で、指数と中身のズレがようやく縮まった日でした。
ただし今夜は米CPIです。今日の買いはCPIの結果を見る前の買いなので、明日の東京は今夜の数字次第でどちらにも振れます。
今日の迷い・判断メモ
迷ったポイント: RSIが70に乗ったのを見て、「そろそろ一服するのでは」と考えました。8/10の記事でも「平均から1割離れた場所からは飛び乗れない」と書いたばかりで、過熱サインが2つ重なったように見えたからです。
結局どう考えたか: 過熱サインは「ここで売る」の合図ではなく、「ここから新しく乗らない」の線引きにだけ使う、と整理しました。RSI 70は「上がり続けている」ことの裏返しでもあって、サインが出てから相場がさらに伸びた例をこの数ヶ月で何度も見ています。売りの根拠に格上げするには、それだけでは足りない。
後から振り返って: そもそも今夜の米CPIを見る前にポジションの判断をする場面ではありませんでした。「サインが出た→何かしなきゃ」と手を動かしたくなるのは、たぶん指標を見た時の反射です。サインの数が増えても、判断の期限が来ていなければ、記録だけして待つ。今日はそれができたので、それ自体をメモに残します。
自分なら何を確認してから動くか
- 今夜の米CPIの結果と、明朝のドル円を見る。予想を上回れば「アメリカの金利が下がる」前提が崩れ、半導体の買いの根っこが揺らぐ。ここを見ずに今日の続伸を評価しない
- 銀行業が明日も業種上位に残るかを見る。日銀の利上げ観測が本物の材料なら1日では終わらないはず。1日で消えるなら、今日の銀行買いは金利の話ではなく単なる出遅れ買いだったことになる
- RSI 70台に乗ったまま日経が何日続伸するかを数える。「過熱サインが出てから伸びた長さ」を実測で持っておけば、次に同じサインを見たときの物差しになる
明日(8/13)の観測ポイント
① 仮説:今夜の米CPIが市場予想を上回ると、明日の東京では半導体と銀行が逆方向に動く(米金利上昇はハイテクに逆風、日本の利上げ観測には追い風) トリガー:8/13に東京エレクトロン・アドバンテストがマイナス、かつ銀行業がプラス 無効条件:両者が同じ方向に動く → 僕のルール:CPIの翌日は「数字が予想とどれだけズレたか」を先に確認してから値動きを見る。値動きから逆算して数字を推測しない。
② 仮説:「直近の実績が市場予想に届かないと売られる」型は続く トリガー:8/13以降に決算を出す銘柄で、この型に当てはまるものが発表当日マイナスで引ける 無効条件:プラスで引ける → 僕のルール:8/3のファナックから数えて今日のサンリオで8例目。1回でも崩れたらそこで型は終わりとみなす、という数え方を続ける。
③ 仮説:TOPIXの6日続伸は銀行次第で、銀行業がマイナスに転じた日に止まる トリガー:銀行業がマイナスの日にTOPIXもマイナスで引ける 無効条件:銀行業がマイナスでもTOPIXがプラスを保つ → 僕のルール:「何日続伸」という記録は、それを支えているセクターとセットで覚える。続伸の数字だけ覚えても、止まる条件が分からない。
明日この仮説がどうなったか、また振り返ります。気になることがあればコメントで。
今日の3語メモ
「TOPIXが日経を抜いて6日続伸」「サンリオは過去最高益で-18%」「8/10に売られた銀行が+2.87%で2位」 — この3つを覚えておけば、8月12日の日本株は思い出せます。上げの主役が値がさ2社から大型株の面に広がった日、予想に届かない決算が絶対値の良さでは救われないと8例目で確認した日、そして同じ銀行株が中1日で真逆に動いた日、と。
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