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ダウ907ドル高の3分の1はキャタピラー1社|好決算のAMDは時間外で8.8%下げた|8月4日 米国株分析

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ダウ907ドル高の3分の1はキャタピラー1社|好決算のAMDは時間外で8.8%下げた|8月4日 米国株分析

今日のアメリカ株は、主要な株価指数が3つも史上最高値を更新しました。NYダウは+907ドル高で史上初めて54,000ドルを突破、S&P500も約2ヶ月ぶりに最高値を塗り替えました。数字だけ見れば、文句なしの一日です。

でも中身を数えると、話が変わります。 ダウの907ドル高のうち、約296ドル分はキャタピラー1社の押し上げでした。全体の約32.6%。しかも寄り付き後の時点で、11ある業種のうち上がっていたのは3つだけ。「全部が上がった日」ではなく「一部が強烈に上がって、それ以外は下がった日」でした。

もう一つ、今日いちばん考えさせられたこと。 AMDが引け後に決算を出しました。売上も、利益も、次の四半期の見通しも、全部が事前予想を上回っています。普通なら株価は上がるはずです。でも時間外で**-8.79%**。何が起きたのかを追いかけると、今日の相場の本質がかなりはっきり見えてきます。

前回の仮説チェック

前回(8/3)の記事で立てた3つの仮説を、今日のデータで答え合わせします。正直に言うと、今日は3つとも「判定できませんでした」という結果です。なぜ判定できなかったのかも含めて残します。

① 仮説: ダウの上げ幅が少数銘柄に集中する構造は一過性ではなく、7月から続いている トリガー: ダウが±300ポイント以上動いた日に、寄与上位6銘柄の合計が変動幅の70%以上を占める → 構造だと確定 結果: ⏳ 判定保留。ダウは+907ポイントでトリガーの前提(±300ポイント以上)は満たしました。ただし上位6銘柄それぞれの寄与ポイント数を出しているデータに、今日はたどり着けませんでした。分かったのはキャタピラー単独で約296ポイント(32.6%)ということだけです 学び: 仮説の条件は良くても、その条件を判定するデータが毎日手に入るとは限らない。「上位6銘柄の合計」は報道されない日のほうが多い。次からは「1位の銘柄が変動幅の何%を占めるか」という、毎日手に入る形の条件に変えます。判定できない仮説は、立てていないのと同じです

② 仮説: 10年国債利回りの低下は原油要因が主で、ISM(景況感の指標)の強さはまだ金利に反映されていない トリガー: 原油が$85超へ反発した局面で、10年債が4.75%以上へ戻る → 原油が主因と確定 無効条件: 原油が$80以下に留まったまま、10年債が4.75%以上へ上昇 → 景気指標や国債の需給が主因 結果: ⏳ 未確定。原油は$85へ反発するどころか、逆に**$75.23(-6.36%)まで急落しました。10年債も4.63%で、4.75%には届いていません。トリガーも無効条件も、どちらも成立していません 学び: ただ、判定不能とは別に重要な事実が1つ出ました。原油が-6.36%も下がったのに、10年債は-0.07ポイントしか動いていない**。もし金利が原油に強く反応するなら、これだけ下げればもっと動くはずです。「原油が主因」という仮説そのものが怪しくなってきた、というのが今日の収穫です

③ 仮説: 円高は介入と追加介入への警戒によるもので、日米の金利差そのものは変わっていない トリガー: 財務省の発言が3営業日以上途切れた後、ドル円が160円方向へ戻る → 介入の効果は一時的だった 無効条件: 発言が3営業日以上途切れた状態で、ドル円が155円台以下に定着 → 金利差以外の要因が効き始めている 結果: ⏳ 未確定。7/31の介入から8/4までまだ2営業日で、条件の「3営業日以上」に届いていません。ドル円は8/3の155.20円から今日157.81円へ戻していますが、判定日にはまだ達していません 学び: 前回「3営業日以上」と日数を入れたのは正しかったと思います。ただ日数条件を入れた分、判定できる日が来るまで待たないといけない。これは仮説の欠陥ではなく、そういうものだと理解しました。明日(8/5)で3営業日目です

主要指数

・NYダウ 54,085.88(+907.47 / +1.71%)史上初の54,000突破 ・S&P500 7,736.52(約+136 / +1.78%)約2ヶ月ぶりの最高値更新 ・NASDAQ総合 26,584.99(+671.09 / +2.59%) ・ラッセル2000 3,036.98(+1.8%) ・VIX(恐怖指数) 16.50(+0.64)

最高値を更新したのはダウ、S&P500、ラッセル2000の3つです。意外なことに、今日いちばん上がったNASDAQ総合(+2.59%)は最高値ではありません。6月2日につけた27,093.90まで、まだ2%ほど足りていない状態です。「ナスダックが一番上がった=ナスダックが一番強い」ではないんですね。

そしてもう1つ引っかかったのがVIXです。VIXは「投資家がこの先どれくらい荒れると思っているか」を数値にしたもので、恐怖指数と呼ばれます。安心している日は下がります。でも今日は最高値更新の日なのに、+0.64上がっている。 普通と逆です。

※VIXの16.50という数字は、日付をはっきり書いた元記事で確認しきれませんでした。中程度の信頼度として扱ってください。CNNのFear & Greed指数(市場の感情を0〜100で表す指標)も今日の分は取得できず、参考として前日8/3が46(中立)でした。

相場を動かした3つのポイント

① キャタピラーの決算が、ダウ907ドル高の3分の1を1社で作った

今日のダウを動かした最大の要因は、たった1社です。

キャタピラー(CAT、建設機械の世界最大手)が取引開始前に出した4〜6月期の決算がこれでした。

  • 調整後EPS(1株あたり利益):$8.17(事前予想$6.20、前年$4.72)→ 予想を**30.7%**上回る
  • 売上高:$20.5B(前年$16.6B、+24%)→ 四半期で初めて200億ドルを超えた
  • 建設機械部門:$8.3B(+35%)、北米の建設需要は+50%
  • 受注残高(これから作る分の注文):$72B(前年から+90億ドル)
  • 通期の売上見通しを上方修正

株価は取引開始前に+9〜11%、終値は**$876.54(+$46.51 / +5.60%)。そしてこの1社だけで、ダウを約296ポイント押し上げました。ダウ全体の上げ幅907.47ポイントに対して、約32.6%**です。

※この「296ポイント」という数字は、Motley Foolの記事1本にしか出ておらず、他の媒体では裏が取れませんでした。ただ自分で計算しても近い数字になります。ダウは30社の株価を足して「除数」という数字で割って算出する指数で、除数は今およそ0.152〜0.157です。キャタピラーの上げ幅$46.51を0.157で割ると、約296ポイント。出どころは1つですが、計算は合っています。

なぜ1社でここまで動くのか。ダウは株価そのものの大きさで影響力が決まる指数(価格加重)だからです。株価の高い会社が動くと、指数がまるごと引っ張られます。S&P500やナスダックは会社の規模(時価総額)で重みが決まるので、ここが違います。同じ「アメリカの株価指数」でも、中の作りが別物なんです。

ちなみに30銘柄のうち22銘柄はプラスでした。「参加した銘柄の数」は多いのに、「上げ幅の3分の1は1社」。 この2つは別々に数えないといけない、というのが前回の記事からの続きのテーマです。

→ 僕のルール:ダウが大きく動いた日は、まず「1位の銘柄が何ポイント押し上げたか」を調べる。指数の数字だけ見て「アメリカ経済が強い」と判断しない。今日でいえば、強かったのは北米の建設需要であって、アメリカ株全体ではありません。

② 好決算のAMDが、時間外で8.79%下げた——「良い決算」より「どれだけ期待されていたか」

今日いちばん考えさせられたのがここです。

AMD(半導体メーカー、エヌビディアのライバル)が引け後に決算を発表しました。中身を見てください。

  • 売上高:$11.5B(予想$11.3B、前年比+50.1%)→ 予想超え
  • 調整後EPS:$1.66(予想$1.61)→ 予想超え
  • データセンター事業:$6.7B(前年比+107%)、全社売上の58%
  • 次の四半期の見通し:$12.7B〜$13.3B(市場予想$12.5Bを上回る)

売上も、利益も、次の見通しも、全部が予想を超えています。なのに時間外の株価は$518.58から$473.00へ、-8.79%。

なぜか。答えは「決算の前にどれだけ買われていたか」でした。AMDは決算発表前の取引だけで+7.00%上げていたんです。さらに長い目で見ると、200日移動平均線(直近200日の株価の平均を結んだ線)から**+64.9%**も上の位置にいました。この1年ずっと買われ続けてきた銘柄が、決算の直前にもう一段買い上げられていた状態です。

つまり、良い決算はもう株価に入っていた。市場の評価は「予想は超えたけど、超え方が控えめ(modest beat)」でした。期待の水準まで上げてしまった株は、予想を超えるだけでは足りないわけです。

→ 僕のルール:決算前に大きく上げている銘柄には、決算をまたいで持ち越さない。良い決算が出ても下がることがあると、今日はっきり分かったので。判断すべきは「決算が良いか」ではなく「良い決算がもう株価に入っているか」です。

③ 米イランの緊張がゆるんで原油が-6.36%。でも金は上がっている

今日の株高の土台を作ったのが、中東情勢の変化でした。

時系列を整理します。

  1. 8/2(日):トランプ大統領が、イランへの大規模な攻撃計画を中止すると発表。「第二次世界大戦以来最大規模」になるはずだったものです。同時に「月曜の午後から直接交渉を始める」と表明
  2. これを受けてWTI原油が**$75.23(-6.36%)**まで急落。ホルムズ海峡(中東の原油が通る海の通り道)が閉じられる心配が薄れたためです
  3. 原油が下がる=物価が上がりにくくなる=株にとっては追い風

ここまでは分かりやすい話です。でも、その先がややこしい。

8/3から今日にかけて、イラン側は「交渉の予定はない」と否定しました。トランプ大統領はイラン指導部を「極めて不誠実だ」と非難。アメリカの国務省は中東全域にいるアメリカ人に警戒を呼びかけています。交渉は、始まっていません。

そしてこの日、金(ゴールド)は前日終値$4,090.50から日中**$4,136.30**まで上がりました。金は「何かあったときに価値が減りにくい資産」として買われるものです。株が最高値を更新した日に、その保険まで買われている。

株は「緊張がゆるんだ」方向に反応して、金は「まだ終わっていない」方向に反応した。同じニュースを、市場が2つに分けて受け取っているように見えます。ここは断定できないので、仮説として置いておきます。

→ 僕のルール:地政学(国と国の力関係の話)が材料の日は、株だけでなく原油と金を必ずセットで見る。株だけ見ていたら「リスクは去った」と読み違えていました。

セクターの強弱——「何が買われて、何が売られたか」

今日は「みんなが上がった日」ではなく、**「お金が引っ越した日」**でした。

  • 上がった業種(3つ):テクノロジー**+3%**、資本財(機械・建設など)小幅高、素材 小幅高
  • 下がった業種(8つ):生活必需品・REIT(不動産)・公益(電気やガス)が約**-1%**、その他も軟調

生活必需品・不動産・電気ガスというのは、景気が悪くなっても業績が大きくは崩れない「守りの業種」です。それが揃って売られて、テクノロジーに資金が集まった。元データの記述をそのまま借りると「半導体・AI取引への急な資金シフト」です。

指数が最高値でも、上がった業種は3つだけ。 総額としてのお金は増えていなくて、置き場所が変わっただけかもしれません。

※この「上昇3業種/下落8業種」は、取引開始後の途中経過のデータです。大引け(取引終了時点)の確定値にはたどり着けませんでした。終わってみたら数が変わっていた可能性があります。ここは断定できません。

Mag7(超大型テック7社)の動き

・エヌビディア(NVDA) $211.94(+2.56%) ・アップル(AAPL) $309.38(+1.96%) ・テスラ(TSLA) $327.38(+1.65%) ・アルファベット(GOOGL) $377.65(+1.11%) ・マイクロソフト(MSFT) $492.81(+1.06%) ・メタ(META) $587.94(-0.39%) ・アマゾン(AMZN) $277.42(-2.32%)

7社中5社がプラスですが、アマゾンだけがはっきりした逆行安(-2.32%)でした。理由として報じられているのは、創業者のジェフ・ベゾス氏が約40億ドル分の自社株を売る届け出を出したことです。

会社の業績とは関係のない、個人の売却の話で株価が動く。指数全体が最高値を更新する日でも、個別の事情で下がる銘柄はあるということです。

個別株で目立った動き

今日の主役は、決算をBeat(予想超え)した銘柄でした。

・パランティア(PLTR) +27〜29.5%:8/3の引け後に出した決算が、EPS $0.41(予想$0.33)、売上$1.94B(前年比+92.8%)。特にアメリカ国内の民間企業向け売上が**+149%**と突出しました。通期の見通しも$8.15B(前年比+82%)へ大幅引き上げ。翌日の今日、+27%以上の急騰でナスダックを牽引しました ・ウェイフェア +30%前後 / ゼブラテクノロジーズ +18.6% / ガートナー +16.3% / アリスタネットワークス +13%:いずれも決算が予想超え ・アプティブ -15.5%:先行きの見通しが弱かった ・チポトレ -10%:ミネソタ州でサルモネラ菌に関する報道 ・NRGエナジー -10%:決算の中身がまちまち

面白いのは、上げた銘柄も下げた銘柄も、ほとんどが「決算」で動いていることです。金利でも、政策でも、地政学でもなく、個別企業の数字。今週は決算シーズンの真っ只中で、市場の関心がそこに集中していることが分かります。

アナリストの評価変更も決算に連動しました。パランティアはドイツ銀行が「Hold→Buy」に引き上げ、目標株価を$80から**$200**へ。一方、アップルは2社(China Renaissance、DZ Bank)が揃って「Buy→Hold」に引き下げ、ナイキとウォルマートも格下げされています。

マクロ環境(大きな経済の流れ)

| 指標 | 水準 | 前日比 | ひとこと | |---|---|---|---| | 米10年国債利回り | 4.63% | -0.07 | 原油急落のわりに、ほとんど動いていない | | 米2年国債利回り | 4.20〜4.21% | — | — | | ドル円 | 157.6〜157.8円 | 参照先で向きが割れた(後述) | 介入後の155.20円から戻している | | DXY(ドル指数) | 99.86〜99.97 | ほぼ横ばい | — | | WTI原油 | $75.23 | -6.36% | 中東の緊張緩和で急落 | | 金(ゴールド) | 日中$4,136.30 | 前日終値$4,090.50から上昇 | 株高の日に保険も買われた | | 10年BEI(期待インフレ率) | 取得不可 | — | 直近確認値は7/23の2.28% |

今日のマクロで一番の発見は、金利が動かなかったことです。 原油が-6.36%も下がったのに、10年国債利回りは-0.07ポイント(4.70%→4.63%、米財務省の公表値)。ほとんど反応していません。

前回の記事で僕は「金利の低下は原油が主な原因では」という仮説を立てました。でも今日の動きを見ると、それは怪しい。もし原油が主因なら、これだけ原油が落ちればもっと金利も下がるはずです。金利は原油ではなく、別のもの(雇用や金融政策の見通し)を見て動いている可能性が高そうです。

経済指標の結果(8/4発表)

| 指標 | 実績 | 予想 | 前回 | |---|---|---|---| | 6月貿易収支 | 赤字$733億 | 赤字$730億 | 赤字$776億(5月) | | JOLTS求人件数(6月) | 740万件 | — | ほぼ横ばい |

どちらも予想通りで、相場を動かす材料にはなりませんでした。ただJOLTS(企業がどれだけ人を募集しているかの統計)の中身は覚えておきたいです。採用530万件、離職540万件、自分から辞めた人320万件、解雇180万件。採用も少ないけれど、解雇も少ないという状態が続いています。企業が「増やしもしないが減らしもしない」と身構えている形です。

なお、前回の記事に関連して1つ訂正があります。ISM製造業景況指数(7月分、55.6という4年ぶりの高水準)は8/3の発表であって、今日8/4の材料ではありませんでした。ISMは毎月第1営業日に発表されるためです。

金融政策:次のFOMC(アメリカの金融政策を決める会合)は9月15〜16日です。市場が利下げをどれくらい見込んでいるかを示すデータでは、8/4時点で0.25%の利下げ確率が42〜45%、据え置きが55〜58%。まだ半々といったところです。

※この確率は取得した時刻と参照先で数字が変わりました(同じ8/4でも42.3%と44.6%の両方が出ています)。CMEの公式ツールは自動での読み取りができず、確定値としては裏が取れていません。「だいたい半々」という程度に受け取ってください。

為替の裏側:ドル円が今の水準にいる背景は、けっこう大きな出来事でした。7/30に日本が単独で円買い介入を実施し、7/31にアメリカが協調しています(日本の財務省の発表で確認)。

ここは書き方に注意が必要でした。アメリカが「円を買う」方向で協調したのは1998年6月以来、28年ぶりです。一方で「協調介入そのもの」なら2011年以来15年ぶりですが、2011年3月のG7協調介入は震災後の「円売り」で、方向が真逆でした。同じ「協調介入」でも中身が逆なので、混ぜて書くと間違いになります。今回と同じ「円買い」の前例は1998年のほうです。

これでドル円は164円に迫る水準から155.20円(8/3)まで急落し、今日は157円台へ戻しました。市場は155円を「介入が効いているかどうかの節目」として見ています。

※今日のドル円の終値は、参照先によって157.60円(前日比マイナス)と157.81円(前日比プラス)に割れました。上がったのか下がったのかすら確定できていません。為替は24時間動いていて「終値」の区切りが取引所ごとに違うためです。水準はおよそ157円台後半、とだけ押さえておきます。

テクニカルで見る今の位置

TradingViewの実データで、主要な銘柄の位置を確認しました。

・S&P500(SPY):$771.33(+1.80%)。RSI 66.00 → 中立だがやや買われ気味。MACDはゴールデンクロス後で強気継続。指数の最高値更新と方向が一致しています ・ナスダック100(QQQ):$723.85(+3.40%)。RSI 58.02 → 中立。MACDはゼロラインより下ですが上向き ・アップル(AAPL):$309.38(+1.96%)。RSI 44.68 → 50を下回っている。MACDはデッドクロス後で弱気 ・マイクロソフト(MSFT):$492.81(+1.06%)。RSI 79.02 → 買われ過ぎの水準 ・AMD:$518.58(+7.00%)。200日移動平均線から**+64.9%**上(一方、5日線からは+8.3%、20日線からは+1.3%)

※RSIは「買われすぎ・売られすぎ」を0〜100で表す指標です。70を超えると買われ過ぎ、30を割ると売られ過ぎと見るのが一般的です。MACDは2本の線の交差で流れの向きを見る指標で、ゴールデンクロス=上向き、デッドクロス=下向きのサインとされます。

チャートを見て気づいたことを2つ。

1つ目はアップルの矛盾です。今日+1.96%上がっているのに、RSIは50を割り、MACDは弱気のサイン。同じ日に2社からの格下げも出ています。指数が上がった流れに乗っただけで、この株自体が強いわけではない可能性があります。

2つ目はAMDの立ち位置の高さです。200日移動平均線から+64.9%上ということは、この1年でかなり買われ続けてきたということです。ただし直近の5日線からは+8.3%、20日線からは+1.3%しか離れていません。つまり**「長期では大きく買われているが、直近数日で急に過熱したわけではない」**状態でした。それでも良い決算が出た瞬間に時間外で-8.79%。短期の過熱が剥がれたというより、1年かけて積み上がった期待そのものが、良いニュースをきっかけに解消されたように見えます。

※テクニカル分析はTradingViewのリアルタイムデータに基づく。投資判断は自己責任で。

全体像:最高値の中身は「広がり」ではなく「移動」と「集中」だった

今日を一言でまとめると、**「指数は最高値、でも上げを作ったのは決算をBeatした少数の銘柄だけ」**です。

流れを追うとこうなります。まず8/2の対イラン攻撃中止の表明で原油が-6.36%まで落ち、地政学リスクという重しが外れました。そこにパランティアの決算(売上+92.8%)がAIというテーマに再び火をつけ、資金が守りの業種(生活必需品・不動産・電気ガス、いずれも約-1%)から抜けてテクノロジー(+3%)へ移動。さらにキャタピラーの決算が、価格の重みで動くダウを単独で約296ポイント、全体の32.6%押し上げた。

こういう相場で僕が意識しているのは、「最高値」という言葉と「全面高」という言葉を混ぜないことです。今日は最高値でしたが、上がっていた業種は3つ、下がっていた業種は8つ(途中経過の数字ですが)。お金の総量が増えたというより、置き場所が変わった日に見えます。

そして今日いちばんの学びは、AMDでした。売上も利益も見通しも予想を超えて、それでも時間外で-8.79%。株価を決めたのは「決算が良かったか」ではなく「良い決算がもう株価に入っていたか」だった。 決算前に+7.00%上げ、200日移動平均線から+64.9%上という高い位置にいた。予想を超えるだけでは、その期待に届かなかったんです。

VIXが+0.64上がったこと(この数字は中程度の信頼度ですが)、株高の日に金が$4,136まで買われたこと。この2つを並べると、市場は上げを追いかけながらも、イランとの交渉が実は始まっていないことを忘れていない——という仮説が立ちます。断定はできません。

今日の迷い・判断メモ

迷ったポイント:一番迷ったのは、記事を書き始める前の段階でした。手元にあった集計データでは「今日のダウは53,178.41、+693.38」となっていたんです。でも調べ直すと、8/4のダウは54,085.88(+907.47)だった。同じ数字(+693)が前日8/3の記事にも書いてあることに気づいて、そこで手が止まりました。

結局どう考えたか:どちらが正しいかを推測で決めるのはやめて、足し算で確かめることにしました。8/3の終値53,178.41に今日の上げ幅907.47を足すと、ぴったり54,085.88になる。計算が合った時点で、手元のデータが1日ズレていたことが確定しました。 データが2つ食い違ったときは、どちらかを信じるのではなく、両方が同時に成り立つ計算式を探すのが早いと分かりました。

後から振り返って:もしあのまま書いていたら、8/3の相場を「今日の相場」として1本書いていたことになります。ゾッとしました。今日の教訓は、**「もっともらしいデータほど、別のデータと突き合わせて計算で確かめる」**こと。数字が綺麗に揃って見えるときほど危ない。この確認手順は自分のルールとして固定します。

自分なら何を確認してから動くか

具体的な保有銘柄は書きません。手順だけ残します。

  1. AMDの時間外の下げが、翌日の通常取引でも続くか:時間外は参加者が少ないので、値が大きく振れやすいです。翌日の通常取引で出来高を伴って下げが続くのか、それとも買い戻されるのか。「良い決算で下げた」がその日限りの反応だったのかを見ます
  2. 8/7の雇用統計を前に、決算で上げた銘柄が持ち続けられるか:今週の最大のイベントは金曜の雇用統計です(NFP予想+13.0万人、失業率4.2%)。前回6月は+5.7万人と予想を大きく下回りました。大きなイベントの前は、利益が乗っている銘柄から先に売られやすい。今日上げた銘柄がそこまで持つかを見ます
  3. 原油が$76から戻り始めないか:今日の株高の土台は原油安です。イランとの交渉は実際には始まっていないので、状況が逆戻りすれば原油は跳ね返ります。株を見る前に原油を見る、という順番を守ります

明日の観測ポイント

「予測」ではなく「仮説+トリガー(こうなれば正しい)+無効条件(こうなれば間違い)」で書きます。今日の反省を踏まえて、①は「毎日判定できる形」に条件を作り直しました。

① 仮説: ダウの上げ下げは、少数の銘柄に集中する構造が続いている トリガー: 8/5以降、ダウが±300ポイント以上動いた日に、寄与1位の銘柄だけで変動幅の25%以上を占める → 集中構造だと確定 無効条件: 同じ条件の日に、1位の銘柄が25%未満 → 分散が進んだ → 僕のルール:前回は「上位6銘柄の合計70%」にしましたが、6銘柄分のデータが手に入らず今日判定できませんでした。1位の銘柄の寄与ポイントは報道されやすいので、毎日判定できる条件に変えます。今日はキャタピラーが32.6%でトリガー成立の水準でした

② 仮説: 決算をBeatしても、事前に買われすぎた銘柄は発表後に売られる トリガー: 8/5以降の引け後決算で、決算前日までに+5%以上上げていた銘柄がBeatしたのに時間外でマイナス → 事前の織り込みが主因だと確定 無効条件: 同じ条件の銘柄がBeatして時間外もプラス → 織り込み以外の要因(見通しの中身など)が主因 → 僕のルール:決算をまたぐかどうかの判断基準を「決算の中身の予想」から「事前にどれだけ上げているか」に切り替えます。前者は当てられませんが、後者は事前に数えられます

③ 仮説: 10年国債利回りは原油ではなく、雇用と金融政策の見通しで動いている トリガー: 8/7の雇用統計でNFP(農業以外の雇用者数)が予想の+13.0万人から**±3万人以上ズレたとき、10年債が0.08ポイント以上動く → 雇用が主因だと確定 無効条件: 同じズレ幅でも10年債の動きが0.08ポイント未満** → 金利は別の要因(国債の需給など)で動かなくなっている → 僕のルール:今日、原油-6.36%に対して金利が-0.07しか動かなかったのを見て、前回の「原油主因説」を疑い始めました。仮説は当たり外れではなく、間違っていると分かった時点で書き換えるものだと思っています

明日この仮説がどうなったか、また振り返ります。気になることがあればコメントで教えてください。

今日の3語メモ

  1. 「907ドル高の32.6%は1社」:ダウが史上初の54,000ドル突破。でも上げ幅907.47ポイントのうち約296ポイントはキャタピラー1社。ダウは株価の高さで影響力が決まる指数なので、値がさ株1社で全体が動く。30銘柄中22銘柄がプラスという「参加した数」と、上げ幅の集中度は別々に数える

  2. 「良い決算」より「もう入っているか」:AMDは売上・EPS・次の見通しの3つとも予想超え。なのに時間外-8.79%。決算前に+7.00%上げ、200日移動平均線から+64.9%上という位置にいた。予想を超えるだけでは、期待の水準に届かないことがある

  3. 「原油-6.36%に金利は-0.07」:中東の緊張緩和で原油が急落したのに、10年国債利回りはほとんど動かなかった(4.70%→4.63%)。もし金利が原油を見て動いているなら、この反応の薄さは説明がつかない。金利が見ているのは別のもの(8/7の雇用統計)かもしれない、という仮説に切り替える


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この記事はjiyon(@jiyon_kizuku)の相場振り返りシリーズです。 投資判断は自己責任でお願いします。データは2026年8月4日時点のものです。

データの信頼度について:この記事の数字は、書いたあとに一次ソースへ突き合わせる確認をかけています。その結果、以下は確定できませんでした。

  • VIX(16.50):CBOE等の一次ソースに到達できず未検証(別のスナップショットでは16.34という表示もありました)
  • ドル円:終値が参照先で157.60円と157.81円に割れ、前日比の向きすら確定できていません(本文に詳述)
  • 利下げ確率(42〜45%):CMEの公式ツールが自動で読み取れず未確定
  • セクター別の騰落:大引け確定値ではなく、取引開始後の途中経過です
  • CNNのFear & Greed指数、NYSEの騰落銘柄数・出来高:当日分を取得できませんでした
  • キャタピラーのダウ寄与296ポイント:1媒体のみの数字。本文に自分での検算を載せています

一方、10年債利回り(4.70%→4.63%)は米財務省、貿易収支はBEA、ISMの発表日はISM公式リリース、為替介入は日本の財務省の発表で確認できています。確認できたものと、できなかったものを分けて書くようにしています。

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