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米軍がイランを空爆した日に、原油は0.4%しか動かなかった|7月30日 米国株分析

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米軍がイランを空爆した日に、原油は0.4%しか動かなかった|7月30日 米国株分析

前の日の夜、米軍がイラン国内の軍司令部やミサイル工場に対して、約2時間の大規模な空爆を行いました。米中央軍が「heavy wave(重い波)」と表現するほどの規模です。きっかけは、イラン側がヨルダンにある米軍基地へ弾道ミサイルを撃ち込もうとしたこと(米軍が全弾迎撃)。戦争は、明らかに一段広がりました。

なのに、原油はほとんど動きませんでした。 WTI原油(アメリカの代表的な原油価格)は$84.12で、前の日から**-0.40%**。中東の戦争といえば原油、というのが普通の連想だと思うんですが、その原油が0.4%しか動かなかった。

代わりに動いたのは金でした。 金は$4,154.80で**+2.98%**、銀も+2.35%。同じ「中東が震源」のはずなのに、反応した資産としなかった資産がはっきり分かれた。ここが今日いちばん引っかかったところです。

そして株のほうは、マイクロソフトが**+15.51%**という異常な上げ方をして、ナスダックが+2.78%高。ただしこっちにも裏があって、11ある業種のうち6つは下がっていました

前回の仮説チェック

昨日(7/29)の記事で立てた3つの仮説を、今日のデータで答え合わせします。

① 仮説: 前日の金利上昇は原油由来なので、原油が落ち着けば10年債も戻る トリガー: WTIが$80を割り、10年債が4.60%台に戻る 結果: ⏳ 未確定。WTIは$84.12(-0.40%)で$80を割らず、10年債は4.68%(+1bp)で高止まり。そもそも原油が下がらなかったので、判定条件が発生しなかった 学び: 「原因が2つ考えられるときは、片方だけが消える場面を待つ」というルールを立てていたけど、その場面が来なかっただけでした。判定できないときに無理やり判定しない、というのがルールを立てた本来の目的なので、今日は待ちで正解。ただし10年債4.68%・期待インフレ率+1bpという構図は前日から変わっていないので、火種は残ったままです。

② 仮説: 2年債-4bpとFedWatchの利上げ確率57%超は両立しない。どちらかが実勢を映していない トリガー: コアPCE(6月・予想+0.2%)が予想を上回り、2年債が4.30%超へ跳ねる → FedWatch側が正しい 無効条件: コアPCEが予想通りで2年債が4.20%台に留まる → 57%という確率が前のめり 結果: ❌ トリガー側は否定、無効条件が成立。コアPCE(6月)は前月比**+0.1%で、予想の+0.2%を下回りました**。2年債は4.23%(+1bp)で4.20%台のまま 学び: 「9月に利上げ」という57%超の確率のほうが前のめりだった、という結果になりました。ここで大事なのは、中央銀行の会議で3人が利上げを主張した(=タカ派)という事実と、実際の物価データが弱かったという事実は、両立するということ。会議の空気と数字は別物で、金利に効くのは最終的に数字のほうでした。噛み合わない数字を見つけたら、どちらかを選ばずに「どちらが壊れるか」を待つ——このルールは今日ちゃんと機能しました。

③ 仮説: 「設備投資を増やすと言った企業が売られる」構図は、メタ固有ではなく今の市場のルールになっている トリガー: 以降の決算で、設備投資を引き上げた企業が下落する 無効条件: 設備投資を引き上げても上昇する企業が出る 結果: ❌ 否定。マイクロソフトがクラウド事業(Azure)の成長率43%という決算を出して**+15.51%**。AI関連の投資を最も大きく積んでいる会社の1つが、上げた側に回りました 学び: 「1社の反応でルールを作らない。3社目で再現するかを確認してから型に入れる」と書いていたのが、そのまま効きました。もし昨日の時点で「設備投資を増やす企業は売られる」を判断の型にしていたら、今日いちばん上がった銘柄を逆に見ていたことになります。メタが下げたのは、設備投資のせいというより利益が予想に届かなかった(EPSが$6.18で、市場予想を約1ドル下回った)ことのほうが大きかった、と修正します。

主要指数

・S&P500 7,437.63(+121.48 / +1.66%) ・Nasdaq 25,122.18(+679.24 / +2.78%) ・NYダウ 52,208.06(+613.92 / +1.19%) ・ラッセル2000 2,946.10(+39.79 / +1.37%) ・VIX(恐怖指数) 17.09(-3.57 / -17.28%)

VIXは「これから相場がどれくらい荒れそうか」を数字にしたもので、20を超えると警戒モード、15前後だと落ち着いている、というのが目安です。前の日は20.66まで跳ねていたのが、今日は17.09まで一気に下がりました。数字の上では「警戒がゆるんだ」形です。

※CNNのFear & Greed指数(市場の感情を0〜100で表す指標)は、今回は確定値が取れませんでした。調べたソースによって32・38・40とバラバラで、どれが引け時点の値か特定できなかったためです。同じく、値上がり銘柄と値下がり銘柄の数(騰落レシオ)と出来高も、検索して出てくるのが全部7/29のデータだったので、今日は載せません。数字が取れなかったときに、それっぽい数字で埋めないのが自分のルールです。

相場を動かした3つのポイント

① 米軍がイランを空爆したのに、原油は0.4%しか動かなかった

まず時系列を整理します。

  1. 7/29の夜:イラン革命防衛隊が、ヨルダンにある米軍基地へ弾道ミサイルを複数発射(米中央軍が全弾迎撃したと発表)
  2. 同日夜:米軍がイラン国内の軍司令部・ミサイル工場・沿岸の監視施設などへ、約2時間の大規模空爆を実施
  3. さらに、クウェートでの攻撃で作業員1名が死亡、エジプトの港で米国所有のタンカーがドローン攻撃を受けたとの報道も出ています

戦争の規模としては、明確に一段上がっています。それなのに、資産ごとの反応がここまで割れました。

  • WTI原油:$84.12(-0.40%) — ほぼ無反応
  • 金:$4,154.80(+2.98%) — 急伸
  • 銀:$59.22(+2.35%) — 急伸
  • ドル指数(DXY):100.02(-0.77%) — ドル安

自分なりに考えた答えはこうです。**市場が見ているのは「戦争が起きたかどうか」ではなく、「石油が実際に運べなくなったかどうか」**なんじゃないか、と。イラン国内の軍事施設が攻撃されても、原油そのものの積み出しや輸送路が止まっていなければ、供給の量は変わらない。だから原油価格は動かない。一方で金は「世の中が不安になると買われる」という性質なので、戦争の拡大そのものに反応した。

これはあくまで仮説です。ただ、そう考えると「同じ震源なのに片方だけ動いた」という矛盾が一応筋の通る話になります。

僕のルール:地政学のニュースが出たときは、見出しの大きさじゃなく「モノの流れが止まったか」で判断する。今日は施設が攻撃されても輸送路は止まっていないので、原油の無反応のほうが正しい反応だと考えます。ニュースの派手さと価格の動きがズレたときは、価格のほうを信じます。

② ナスダック+2.78%の正体は、マイクロソフト1社だった

今日いちばん上がった銘柄はマイクロソフトで、+15.51%($390.54 → $451.10)。時価総額(会社全体の値段)は1日で約4,500億ドル増えていて、これはアメリカの上場企業として過去最大級の増え方です。

理由は7/29の引け後に出した決算でした。

  • 1株あたり利益(EPS):$4.74(予想$4.24を上回る)
  • 売上:$90.01B(予想$87.63Bを上回る)
  • クラウド事業(Azure)の成長率:43%(予想40.2%を上回る)

ここまでは分かりやすい話なんですが、セクター(業種)ごとに見ると景色が変わります

  • 上がった業種は5つ:情報技術**+5.50%**/資本財+0.98%/一般消費財+0.70%/金融+0.56%/エネルギー+0.53%
  • 下がった業種は6つ:通信サービス**-2.68%**/生活必需品-2.16%/ヘルスケア-1.64%/不動産-1.44%/公益-0.56%/素材-0.19%

S&P500全体が+1.66%なのに、情報技術だけが+5.50%と突き抜けている。そして11ある業種のうち6つは、この上げ相場の日に下がっていたんです。

つまり今日の株高は「市場全体が明るくなった」というより、「マイクロソフトを中心としたハイテクだけが引っ張り上げた」形でした。

僕のルール:指数が大きく上がった日は、業種の内訳を必ず見る。上がった業種の数が下がった業種の数を下回っているなら、「相場が良くなった」とは判断しません。今日はまさにその形(上げ5・下げ6)でした。

③ 会議は「利上げすべき」3票、でも物価データは予想より弱かった

7/28-29に開かれた中央銀行(FRB)の会議(FOMC)は、金利を3.50-3.75%に据え置きました。ただ中身が普通じゃなくて、9対3の票割れで、反対した3人はいずれも「0.25%の利上げをすべき」と主張しています。利上げを求める反対票が3つ出るのは2016年9月以来で、かなりタカ派(金融を引き締めたい姿勢)に寄った会議でした。声明文にも「中東の紛争に一部起因する高い不確実性」「エネルギーなどの供給ショックによる物価上昇」という表現が入っています。

ところが翌日の7/30に出た物価のデータは、逆の方向でした。

  • コアPCEデフレーター(6月・前月比):+0.1%(予想は+0.2%)
  • コアPCE(前年比):+3.3%
  • PCE総合(前月比):-0.1%、前年比+3.7%

コアPCEというのは、FRBが物価を判断するときに最も重視している指標で、食品とエネルギーを除いた値段の動きを見るものです。これが予想を下回った=物価の上がり方は、会議で心配されていたほど強くなかったということになります。

債券市場の反応は静かでした。金利の動きに最も敏感な2年債は4.23%で、たったの+1bp(0.01%)。10年債も4.68%で+1bp。会議のタカ派っぷりが本物なら2年債はもっと跳ねるはずなのに、動いていないんです。

僕のルール:中央銀行の「言葉」と物価の「数字」がズレたときは、数字のほうを見る。ただし決めつけずに、次の物価データ(8/12のCPI)まで結論を保留します。今回は「会議の空気に引っ張られて2年債を見誤らなかった」ことが、自分としては一番の収穫でした。

セクターの強弱——「何が買われて、何が売られたか」

今日の強弱は、いつものリスクオン(強気)の形とは違いました。

  • 強かった業種:情報技術+5.50%(マイクロソフト主導)。それ以外はどれも+1%未満で、資本財+0.98%・一般消費財+0.70%・金融+0.56%・エネルギー+0.53%と小幅
  • 弱かった業種:通信サービス-2.68%(メタの下落が直撃)、生活必需品-2.16%、ヘルスケア-1.64%、不動産-1.44%

引っかかったのは、生活必需品・ヘルスケア・公益という「守りの業種」がまとめて下がっていることです。普通、相場が強気になると守りの業種からお金が抜けて景気に強い業種へ移るんですが、今日は景気に強い業種(資本財・素材・金融)もほとんど上がっていない。素材にいたっては-0.19%とマイナスです。

じゃあ抜けたお金はどこへ行ったのか。同じ日に金が+2.98%、銀が+2.35%上がっていることを考えると、株の中の守りから抜けて、株の外の守り(金・銀)へ移った——という見方ができます。これも仮説ですが、業種の内訳とコモディティの動きが同じ方向を指しているので、それなりに筋は通っていると思います。

Mag7(超大型テック7社)の動き

・マイクロソフト(MSFT) $451.10 +15.51%(決算で急騰) ・アマゾン(AMZN) $235.50 +3.90% ・テスラ(TSLA) $308.85 +3.53% ・エヌビディア(NVDA) $195.04 +2.65% ・グーグル(GOOGL) $333.83 -0.86% ・アップル(AAPL) $333.43 -1.41% ・メタ(META) $538.50 -8.05%(決算で急落)

7社が真っ二つに割れました。上位4社が上げて、下位3社が下げている。「ハイテクが買われた日」と一言でまとめたくなるけど、実際には同じハイテクの中で明暗が分かれていて、その差を作ったのは決算の中身でした。

個別株で目立った動き

上がった側(決算が良かった)

  • ラムリサーチ(LRCX)+17.98% — 半導体をつくる装置の会社。EPS $1.82(予想$1.72)に加えて、次の四半期の売上見通しが市場予想を約10億ドル上回った
  • エムコア・グループ(EME)+19.31% — 設備工事の会社。EPS $9.06(予想$7.25)で、1年間の利益見通しを$28.25-29.75から$32-33.25へ引き上げた

下がった側(見通しが悪かった)

  • アルナイラム(ALNY)-28.31% — 製薬会社。1年間の主力製品の売上見通しを$4.4-4.7Bから$4.2-4.5Bへ引き下げ。市場が期待していた$5.61Bを大きく下回った
  • メタ(META)-8.05% — EPS $6.18(市場予想を約1ドル下回る。予想値はソースにより$7.17〜7.22と差があります)、次の四半期の売上見通しの下限も予想割れ

ここが昨日との一番大きな違いです。7/29は「良い数字を出した企業も売られる」日でした。7/30は逆で、良い決算はそのまま買われ、悪い見通しはそのまま売られた。同じ決算シーズンの連続する2日で、市場の反応の仕方がひっくり返っています。

⚠️ 引け後に決算を出した2社(今日の終値には反映されていません)

  • アップル(AAPL):EPS $2.02(予想$1.89を上回る)、売上$109.42B、iPhone販売+22%。ただし「供給の制約」を理由に次の見通しが弱く、サービス部門も予想に届かず → 時間外で約-6%
  • アマゾン(AMZN):売上$200.61B(前年比+20%で予想超え)、クラウド事業(AWS)も予想超え → 時間外で約+9%

今日のアップルの終値-1.41%は決算発表のの動きなので、決算とは関係ありません。ここを混ぜると翌日の分析が丸ごと狂うので、分けて記録しておきます。

マクロ環境(大きな経済の流れ)

・米10年債利回り 4.68%(+1bp) ・米2年債利回り 4.23%(+1bp) ・10年-2年の差 +0.45%pt(変化なし) ・期待インフレ率(10年) 2.27%(+1bp) ・ドル円 160.49円(-2.81円 / -1.72%) ・ドル指数(DXY) 100.02(-0.77%) ・WTI原油 $84.12(-0.40%) ・金 $4,154.80(+2.98%) ・銀 $59.22(+2.35%)

金利は10年債・2年債ともに+1bpで、ほぼ動いていません。期待インフレ率(この先10年の物価上昇率を市場がどう見ているかの数字)も+1bp。名目の金利と期待インフレ率が同じだけ動いたということは、その差である実質金利もほぼ横ばいだった計算になります。※ただし7/30時点の実質金利の実測値はデータが未更新で取れなかったので、断定はしません。

ここが金を考えるうえで重要でした。金が上がる理由は普通「実質金利が下がる」か「ドルが安くなる」か「不安が増える」のどれかなんですが、今日は実質金利がほぼ動いていない。残るのはドル安(-0.77%)と地政学の不安の2つです。

ドル円は160.49円まで約2.8円の円高ドル安。一部の報道では同じ日の日銀の決定が関係しているとされていますが、その内容は今回確認できなかったので、原因の断定は避けます。

※金と銀の数字について補足します。 上に載せたのはCOMEXという取引所の「先物」の値段です。実は同じ金でも、現物(スポット)の値段を出しているKitcoなどでは$4,113前後・+1.2%程度、金のETF(GLD)では+1.64%と、上げ幅が半分以下に見える数字が出てきます。理由は、先物と現物では価格の基準時刻や決済のタイミングが違うから。どちらかが嘘というわけではなく、同じ「金が上がった」でも、どの市場の数字を見るかで+1.2%にも+3.0%にもなるということです。記事では先物の値を採用していますが、上げ幅そのものより「原油が動かない中で金だけが買われた」という方向のほうを重く見ています。

経済指標(7/30発表)

  • コアPCEデフレーター(6月・前月比):+0.1%(予想+0.2%を下回る)/前年比+3.3%
  • PCE総合(前月比):-0.1%/前年比+3.7%
  • 個人所得:+0.2%(+549億ドル)
  • 個人消費支出:+0.3%(+652億ドル)
  • 新規失業保険申請(7/25終了週):197,000件(前週比+9,000件)

CME FedWatch(市場が次の金利をどう見ているかの確率)は、今回は公式サイトにアクセスできず確認できませんでした。二次的な報道では「9月の利上げ確率が57%超に上がった」とされていますが、自分で一次情報を確認できていないので未検証扱いにします。

テクニカルで見る今の位置

TradingViewのデータで確認しました。全銘柄、日付が7/30であることをデータのタイムスタンプで検算しています。

・S&P500(SPY):$741.69(+1.68%)/RSI 49.19(中立)/MACDはデッドクロス継続 ・Nasdaq(QQQ):$683.55(+3.30%)/RSI 43.17(中立)/MACDはデッドクロス継続 ・マイクロソフト(MSFT):RSI 71.81(買われすぎ圏)/MACDはゴールデンクロス直後 ・テスラ(TSLA):RSI 30.56(売られすぎ圏)/-2σ接近/MACDは下向き加速

RSIは「買われすぎ/売られすぎ」を0〜100で表す指標で、70超で買われすぎ、30割れで売られすぎが目安です。MACDは2本の線の位置関係で流れの向きを見るもので、デッドクロス=下向き、ゴールデンクロス=上向きと考えます。

ここで気になったのが、SPYもQQQも大きく上がったのに、MACDはデッドクロスのままでRSIも50を割っていることです。1日で+1.68%、+3.30%も上がって、それでも指標の向きは変わっていない。これは、戻った水準は大きいけど、流れの向きまでは戻っていないということだと理解しています。1日の急騰と、流れが変わることは別物ということですね。

一方でテスラはRSI 30.56で売られすぎ圏に入っています。ただMACDは下向きが加速していて、この2つは逆のことを言っている。こういうときは、片方だけ見て判断しないようにしています。

※テクニカル分析はTradingViewのデータに基づく。投資判断は自己責任で。

全体像:反応した資産と、しなかった資産が分かれた日

因果を順番に並べるとこうなります。7/28-29の中央銀行の会議で3人が利上げを主張 → 7/29に株が急落 → その裏でマイクロソフトが好決算を出していた → 7/30、決算を出した企業にだけ買いが集中した。 ラムリサーチ+17.98%、エムコア+19.31%も同じ形で、昨日の「良い数字でも売られる」相場から1日でひっくり返っています。

ただし買われたのは決算を出した企業だけでした。11業種のうち6業種が下がっていて、守りの業種(生活必需品・ヘルスケア・公益)はまとめて売られている。抜けたお金の行き先が株の外にあった可能性が高くて、その証拠が金+2.98%と銀+2.35%です。

そして今日いちばんの違和感が原油でした。米軍がイランを大規模空爆した当日に、WTIは-0.40%。地政学の不安が金には効いて原油には効かなかったということは、市場が値段に反映しているのは「戦争そのもの」ではなく「石油が実際に運べなくなるかどうか」だと考えられます(仮説)。

こういう相場で僕が意識しているのは、「上がった/下がった」の1行で今日を記憶しないことです。今日を「株が上がった日」と覚えると、次に似た形が来たときに読み違えます。今日は「マイクロソフトだけが上がって、業種の過半は下がって、金が買われて、原油は動かなかった日」。この解像度で覚えておくと、次に戦争のニュースが出たときに「で、原油は動いてる?」と自分に聞けるようになる。相場を1行に圧縮しないことが、たぶん一番の学びの残し方だと思っています。

今日の迷い・判断メモ

迷ったポイント:マイクロソフトの+15.51%を見た瞬間、「AI関連はまだ買われる」という話に持っていきそうになりました。前日にメタが下げたのを見て「設備投資を増やす企業は売られる」という仮説を立てていたので、それがひっくり返ったのを見て、逆側の結論(AI投資は評価される)に飛びつきそうになった、という感じです。

結局どう考えたか:業種の内訳を先に見ることにしました。そこで「11業種のうち6業種が下がっている」ことに気づいて、これは"AI関連が評価された日"じゃなくて"決算を出した1社が単独で押し上げた日"だと判断を変えました。同じAI投資組でも、エヌビディアは+2.65%とそこまで大きくありません。「AI関連が買われた」なら、もっと横並びで上がるはずです。

もう1つ迷ったこと:金の上げ幅を書くときに、どの数字を使うかで手が止まりました。先物では+2.98%なのに、現物の値段を出しているKitcoでは+1.2%程度、ETF(GLD)では+1.64%。同じ日の同じ金なのに、上げ幅が倍以上違う。最初は自分の取ったデータが間違っているのかと思って、取引所の値を取り直して確認しました。結論は「どちらも正しくて、基準が違うだけ」。記事には先物の値を載せたうえで、幅がある事実そのものを補足として書くことにしました。数字が食い違ったときに片方を消すんじゃなく、食い違っていること自体を書くほうが誠実だと思ったからです。

後から振り返って:判断は維持します。ただ、1日で仮説がひっくり返ったときに、反対側の仮説に飛びつくのが自分のクセだと分かったのが今日の収穫でした。仮説が否定されたときに次にやるべきなのは「逆の仮説を立てる」ことじゃなくて、「なぜ最初の仮説が間違っていたのか」を特定することのはずです。今回で言えば、メタが下げた理由は設備投資じゃなくて利益が予想に届かなかったこと(EPS $6.18で市場予想を約1ドル下回った)だった、という原因の特定のほうが大事でした。

自分なら何を確認してから動くか

具体的な保有銘柄は書きません。手順だけ残します。

  1. アップルとアマゾンの時間外の動き(-6%と+9%)が、翌日の寄りでどこまで残るかを見る。 時間外の値動きは参加している人が少ないので、そのまま翌日に持ち越されるとは限りません。特に今日のアップルの終値(-1.41%)は決算のの動きなので、決算の評価はまだ株価に入っていない。ここを混ぜて見ないようにします。

  2. 業種の上げ下げの数(上げ5・下げ6)が、翌日どちらに寄るかを見る。 今日の上げが本物の地合い改善なら、翌日は上げの業種の数が増えるはずです。逆にまた上げ5・下げ6のような形が続くなら、指数が上がっても「一部だけが強い相場」が続いていると判断します。

  3. 金が$4,150を維持するかと、ドルが戻るかをセットで見る。 今日の金の上昇はドル安と地政学の合成です。ドルが戻っても金が高いままなら地政学のほうが主因、ドルが戻ると金も下がるならドル安が主因。原因が2つあるときは、片方だけが消える場面を待つ——このルールを今日また使います。

明日の観測ポイント

「予測」ではなく「仮説+トリガー(こうなれば正しい)+無効条件(こうなれば間違い)」で書きます。

① 仮説: 市場が値段に反映しているのは戦争の規模ではなく、石油が実際に運べなくなるかどうかである トリガー: 追加の空爆や攻撃が起きても、WTIが$85を超えない → 「実害が出るまで反応しない」が確定 無効条件: 輸送路(ホルムズ海峡など、中東の原油が通る海の通り道)に影響する事象が出た瞬間にWTIが$90超へ跳ねる → 原油は"実害待ち"で反応するだけだった、という形で仮説が具体化する → 僕のルール:地政学のニュースは、見出しの大きさで動かない。「モノの流れが止まったか」だけを見て判断します。

② 仮説: 今日の金の上昇は、地政学よりドル安が主因である トリガー: 中東情勢が落ち着いても、ドル安が続く限り金が高値を保つ → ドル安が主因と確定 無効条件: ドルが反発しても金が$4,150超を維持 → 地政学のほうが主因 → 僕のルール:同じ日に2つの原因が動いているときは、どちらかを選ばずに、片方が消える場面まで待ちます。今日の時点で決める必要はありません。

③ 仮説: 今日の上昇は決算という個別の事情によるもので、市場全体の地合いは改善していない トリガー: アップル(時間外-6%)とアマゾン(時間外+9%)の反応が打ち消し合って、S&P500が方向を出せない → 個別要因説が補強される 無効条件: 翌日に業種の過半が上昇に転じる → 地合いそのものが改善していた → 僕のルール:指数の数字より、上がった業種の数を先に見ます。数が過半を超えるまでは「相場が良くなった」とは判断しません。

この先の経済指標:8/3(月) ISM製造業景況指数/8/7(金) 雇用統計(7月分)/8/12(水) CPI(7月分) ※このカレンダーは発表の慣例から組んだもので、公式カレンダーで確定させたわけではありません。

明日この仮説がどうなったか、また振り返ります。気になることがあればコメントで教えてください。

今日の3語メモ

  • 「空爆した日にWTI -0.40%」:米軍がイラン国内へ約2時間の大規模空爆を実施した当日に、原油はほぼ動かなかった。代わりに金が+2.98%、銀が+2.35%。同じ中東が震源でも、反応した資産としなかった資産が分かれた。地政学のニュースは「事件が起きたか」ではなく「モノの流れが止まったか」で値段に効く

  • 「上げ5・下げ6」:S&P500は+1.66%、ナスダックは+2.78%。なのに11業種のうち下がったのは6業種で、上がった5業種より多い。上げの中身は情報技術+5.50%(ほぼマイクロソフト1社)だけが突出していた。指数が上がった日は、上がった業種の数と下がった業種の数を数える

  • 「会議はタカ派3票、物価は+0.1%」:中央銀行の会議では3人が利上げを主張(2016年以来の多さ)。でも翌日のコアPCEは前月比+0.1%で予想の+0.2%を下回り、2年債は+1bpしか動かなかった。会議の空気と物価の数字はズレることがあり、金利に効くのは数字のほう


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この記事はjiyon(@jiyon_kizuku)の相場振り返りシリーズです。 投資判断は自己責任でお願いします。データは2026年7月30日時点のものです。

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