S&P500が上がった日に、11業種のうち7業種は下がっていた|7月31日 米国株分析
7月最後の取引日は、主要3指数がそろって上昇しました。S&P500が**+0.70%、ナスダックが+1.00%、NYダウが+0.53%**。数字だけ見れば、普通に良い日です。
ただ、業種別に数えると話が変わります。 S&P500を構成する11の業種のうち、上がったのは4つだけ。残りの7つは下がっていました。 さらに、小型株を集めたラッセル2000という指数は**-0.50%のマイナス**。
上がった4業種の中身を見ると、ほとんどがアマゾン(+15.32%)とアルファベット(+6.73%)という2社の動きでした。逆にアップルは**-7.35%**。
指数の数字は上を向いているのに、市場全体の中身はむしろ下を向いている。今日はこのズレを、業種の「本数」から追いかけます。
前回の仮説チェック
昨日(7/30)の記事で立てた3つの仮説を、今日のデータで答え合わせします。今日は3本とも、**「仮説の中身は合っていたけど、判定に使った条件の書き方が雑だった」**という結果になりました。ここが一番の学びです。
① 仮説: 市場が値段に反映しているのは戦争の規模ではなく、石油が実際に運べなくなるかどうかである トリガー: 追加の攻撃が起きても、WTIが$85を超えない → 「実害が出るまで反応しない」が確定 無効条件: 輸送路(ホルムズ海峡など、中東の原油が通る海の通り道)に影響する事象が出た瞬間にWTIが$90超へ跳ねる 結果: ❌ トリガーは否定。ただし無効条件も未成立。WTIは**$86.80(+3.84%)**で、$85は超えたが$90には届かなかった 学び: 数字の線の引き方を間違えていました。今日実際に起きたのは、イランがホルムズ海峡を通過するタンカー2隻を攻撃したという報道(Bloomberg、CNBC)。これはまさに仮説が言っていた「石油が実際に運べなくなるかどうか」そのものです。つまり仮説の中身は当たっていて、$85/$90という数字の線のほうが粗かった。 「輸送路に手がかかったか、かかっていないか」というイベントで見るべきところを、価格の水準で判定しようとしたのが失敗でした。イベントで見るべきものを価格で見ようとすると、こうなります。
② 仮説: 前日の金の上昇は、地政学よりドル安が主因である トリガー: 中東情勢が落ち着いても、ドル安が続く限り金が高値を保つ → ドル安が主因と確定 無効条件: ドルが反発しても金が$4,150超を維持 → 地政学のほうが主因 結果: ⏳ トリガー・無効条件のどちらも成立せず。ただし判定に使える別の材料が出た 学び: 想定していた組み合わせと、まるごと逆の組み合わせが来ました。中東は落ち着くどころか悪化(タンカー攻撃)、ドルは反発も下落もせずほぼ横ばい(ドル指数-0.21%)。そして金は**$4,098.60(-0.04%)でほとんど動かなかった**。ここが重要で、地政学が悪化したのに金が動かなかったということは、金を押し上げていたのは地政学ではなかった可能性が高い、という材料になります。仮説を検証するとき、自分が想定した組み合わせが来なくても、来た組み合わせから読めることはある。条件表に書いた2択の外側も見る、というのを覚えておきます。
③ 仮説: 前日の上昇は決算という個別の事情によるもので、市場全体の地合いは改善していない トリガー: アップル(時間外-6%)とアマゾン(時間外+9%)の反応が打ち消し合って、S&P500が方向を出せない → 個別要因説が補強される 無効条件: 翌日に業種の過半が上昇に転じる → 地合いそのものが改善していた 結果: ✅ 仮説は支持された。ただしトリガーは外れ、無効条件のほうが機能した 学び: S&P500は+0.70%で、きっちり方向を出しました(トリガーは不成立)。でも業種は上昇4/下落7で、過半は下落(無効条件も不成立)。ラッセル2000も-0.50%。結論として「地合いは改善していない」は正しかったわけですが、それを教えてくれたのはトリガーではなく無効条件のほうでした。1社が+15%も上げれば、指数は簡単に方向を出します。だからトリガーを「指数が動くかどうか」で書いた時点で無意味だった。 見るべきだったのは最初から業種の本数で、それは無効条件のほうにちゃんと書いてあった。トリガーは指数の%ではなく、市場の幅(何業種が上がったか)で書く——今日いちばん持って帰る修正はこれです。
主要指数
・S&P500 7,489.72(+52.09 / +0.70%) ・Nasdaq 25,373.85(+251.68 / +1.00%) ・NYダウ 52,485.03(+276.97 / +0.53%) ・ラッセル2000 2,931.34(-14.76 / -0.50%) ・VIX(恐怖指数) 15.99(-1.10 / -6.44%)
ラッセル2000というのは、アメリカの小さめの会社2000社を集めた指数です。S&P500が大企業500社の集まりなので、この2つを並べると「大きい会社だけが上がったのか、小さい会社も一緒に上がったのか」が分かります。今日は大きいほうがプラス、小さいほうがマイナス。上昇が一部に偏っていたことが、ここからも見えます。
VIXは「これから相場がどれくらい荒れそうか」を数字にしたもので、20超が警戒モード、15前後で落ち着いている、というのが目安です。今日は**15.99(-6.44%)**まで下がりました。中東でタンカーが攻撃された日に、株式市場側の警戒はむしろゆるんでいます。
CNNのFear & Greed指数(市場の感情を0〜100で表す指標)は42.46で、「Fear(恐怖)」ゾーン。前日の38.91からは改善しましたが、まだ中立の50には届いていません。
※値上がり銘柄と値下がり銘柄の数(騰落レシオ)と、NYSE公式の集計出来高は、今日も信頼できるデータが取れませんでした。取れなかった数字をそれっぽい値で埋めないのが自分のルールです。 その代わり、市場の幅は「業種の上昇下落の本数」と「ラッセル2000」の2つで見ています。
相場を動かした3つのポイント
① 過去最高の四半期を出した会社が-7.35%、同じ日に別の会社が+15.32%
前の日(7/30)の引け後に決算を出した2社が、翌日まったく逆に振れました。
アマゾン:+15.32%($271.58) クラウド事業のAWS(企業向けにコンピューターの計算能力を貸すサービス)の成長率が**+37%**。市場が想定していた+31%程度を大きく上回りました。当日だけで証券会社7社以上が目標株価を引き上げています(ゴールドマン $335→$375、JPモルガン $330→$365、シティ $325→$350など)。
アップル:-7.35%($308.91) こちらは数字そのものは強かったんです。売上$109.4B(+16%)、1株あたり利益$2.02(+29%)、iPhone売上$54.3Bは4〜6月期として過去最高。それでも売られました。
理由は3つ。サービス部門の売上$30.74Bが市場予想に届かなかったこと、中国の売上が予想未達だったこと、そして次の四半期についてメモリ(半導体の部品)の供給が足りなくなる可能性を会社側が警告したこと。証券会社は逆に目標株価を軒並み引き下げています(モルガン・スタンレー $364→$360、ゴールドマン $370→$360、JPモルガン $345→$340、バークレイズ $253→$245)。
過去最高の四半期を出した会社が-7%、同じ日に別の会社が+15%。 決算は「良かったか悪かったか」では動かなくて、「どこが事前の予想とズレたか」で動いている。アップルは全体では過去最高でも、サービスと中国という市場が見ていた場所が外れた。
→ 僕のルール:決算の記事を読むとき、まず「予想と実績の差」がどの項目に出たかだけ探します。売上や利益の総額ではなく、その会社について市場が今いちばん気にしている項目がどうだったか。アップルなら今はiPhoneではなくサービスと中国でした。
② 経済指標が3つとも予想を上回り、10年債利回りが4.75%へ
今日発表された米国の経済指標は、3つとも市場予想を上回りました。
| 指標 | 実績 | 予想 | 前回 | |---|---:|---:|---:| | 雇用コスト指数(4-6月期・前期比) | +0.9% | +0.8% | — | | ミシガン大消費者信頼感(7月確報) | 55.2 | 54.4(速報) | 49.5(6月) | | シカゴPMI(7月) | 57.6 | 55.0 | 56.7(6月) |
雇用コスト指数は「会社が人を1人雇うのにかかるお金」がどれくらい増えたかを示すもので、賃金が上がり続けているかを見る指標です。ミシガン大の指数は「消費者が今の景気をどう感じているか」のアンケート。シカゴPMIは「シカゴ周辺の企業の景況感」で、50を超えると拡大方向を意味します。
3つとも上振れ=経済が思ったより強い。となると中央銀行が金利を下げる理由が減るので、金利が上がります。
米10年債利回りは4.75%(+7bp)、2年債4.28%(+5bp)、30年債5.27%(+6bp)(すべて米財務省の公表データ)。bp(ベーシスポイント)は0.01%のことなので、10年債は0.07%上がったということです。
そして金利上昇は、金利に弱いところを正確に殴りました。 公益(電気・ガス・水道)-0.69%、不動産-0.51%。どちらも借金をして設備や物件を持つビジネスなので、金利が上がるとコストが増えます。同じ理由で、借入に頼りがちな小型株(ラッセル2000)も-0.50%。
※中央銀行の9月の会合について、市場が利下げをどれくらい見込んでいるかの確率(CME FedWatch)は、調べたソースによって0%から63%までバラバラで、どれが正しいか特定できませんでした。今日は載せません。
→ 僕のルール:経済指標が強かった日は、指数の%より先に「公益・不動産・小型株」の3つを見ます。この3つが下がっていたら、金利上昇が実際に効いた日。指数がプラスでも、市場の中では引き算が起きています。
③ ホルムズ海峡でタンカー2隻が攻撃され、WTIが$86.80へ
今日、イランがホルムズ海峡を通過するタンカー2隻を攻撃したと報じられました(Bloomberg、CNBC)。米国とイランの一時停戦は崩れた形です。
ホルムズ海峡は、中東の原油が世界に出ていく海の通り道です。ここが詰まると、原油の量そのものが減ります。
WTI原油 $86.80(+3.84%)、ブレント原油 $90.12(+1.22%)。エネルギー業種は+1.00%で、今日上がった4業種の1つに入りました。7月の原油は月間で20%超上がっています。
しかも今日の原油は、日中の安値が$81.06、終値が$86.80。一度$81台まで下げてから、そこから$5以上切り返して終わっています。1日の中で方向が変わった形で、タンカー攻撃の報道がその折り返し地点にあたります。
ここで昨日の記事と繋がります。7/30に米軍がイランを空爆した日、原油は-1.03%($84.46→$83.59)しか動きませんでした。 今日、タンカーが2隻攻撃されたら+3.84%動いた。空爆という「事件の大きさ」では動かず、タンカー攻撃という「モノが運べなくなる話」で動いた。2日並べると、原油が何を見ているかがかなりはっきりします。
ひとつ訂正があります。 昨日の記事では7/30の原油を「-0.40%」と書きましたが、これは誤りでした。今日あらためて同じデータ元(Yahoo Financeの日足)で7/29から7/31まで通して並べ直したところ、正しくは**-1.03%です。昨日は別のソースの数字を使っていて、そこだけデータ元が混ざっていました。-0.40%でも-1.03%でも「ほとんど動かなかった」という話の結論は変わらないのですが、日をまたいで比べる数字は、途中でデータ元を変えたらそもそも比べられなくなる。** ここは自分のミスなので、そのまま残して直しておきます。
一方で、同じ日に金は$4,098.60(-0.04%)でほとんど動かず、銀は-1.77%。VIXも-6.44%で低下。地政学が悪化した日に、逃避先とされる資産が反応していない。動いたのは原油だけでした。
→ 僕のルール:地政学のニュースは、見出しの大きさではなく「モノの流れが止まったか」だけを見ます。昨日この形で書いて、今日それが2日連続で確認できました。ただし判定に価格の線($85など)を使うのはやめます。イベントで見るものは、イベントで判定する。
セクターの強弱——「何が買われて、何が売られたか」
上がった業種は4つ、下がった業種は7つ。 数の上では下落のほうが多い日でした。
| 上がった業種 | | 下がった業種 | | |---|---:|---|---:| | 一般消費財 | +3.29% | 金融 | -0.11% | | 通信サービス | +1.56% | 情報技術 | -0.22% | | エネルギー | +1.00% | 生活必需品 | -0.49% | | 資本財 | +0.81% | 不動産 | -0.51% | | | | ヘルスケア | -0.59% | | | | 公益 | -0.69% | | | | 素材 | -2.34% |
(業種別ETFの終値から算出)
上がった一般消費財と通信サービスは、それぞれアマゾンとアルファベットが入っている業種です。つまり上昇した4業種のうち上位2つは、実質的に個別2社の話。
面白いのは情報技術がマイナス(-0.22%)で終わっていること。マイクロソフト+3.02%、エヌビディア+2.93%と上がった銘柄もあるのに、アップル-7.35%がそれを打ち消して業種全体をマイナスにしました。 ハイテクが売られた日、というより「アップルが売られた日」です。
一番下げたのは素材の-2.34%ですが、これが何で下げたのかは今日調べた範囲では特定できませんでした。ドルはほぼ横ばいだったので、為替が理由とも言い切れません。分からないものは分からないままにしておきます。
構図としては、「テーマで買われた日」ではなく「決算が良かった2社だけが買われた日」。 業種のローテーション(お金がある分野から別の分野へ移る動き)は、今日は起きていません。
Mag7(超大型テック7社)の動き
・アマゾン $271.58(+15.32%)——AWS+37%の決算。今日の主役 ・アルファベット $356.13(+6.73%)——クラウド事業とAI関連の評価 ・メタ $556.71(+3.28%) ・マイクロソフト $464.72(+3.02%)——前日+15.51%からさらに上乗せ ・エヌビディア $200.75(+2.93%) ・テスラ $311.21(+0.76%) ・アップル $308.91(-7.35%)——過去最高のiPhone売上でも売られた
7社中6社が上昇。数だけ見れば強いのですが、その6社が入っている業種のうち、情報技術はマイナスで終わっています。 Mag7が上がっても業種全体が上がるとは限らない、というのが今日の形でした。
個別株で目立った動き
・マイクロン $823.03(-5.90%) メモリ(半導体の記憶部品)を作る会社。競合が生産を増やすことで値下げ競争になる懸念に加え、著名投資家が空売り(株価が下がると儲かる取引)を増やしたとの報道が重なりました。
・AMD $476.15(-1.90%)
・半導体指数(SOX) 11,311.08(+0.07%) 7/29から7/30にかけて大きく反発した後、今日は横ばい。
・レディット 約-21%(S&P500には入っていない銘柄) 決算の数字自体は良かったんです。売上$804.9Mで、市場予想の$731.8Mを上回っていました。それでも売られたのは、AI関連の新しいデータ提供契約が発表されなかったから。「良い決算を出したのに、市場が期待していた別のものが出てこなかったから売られる」という、今日のアップルとまったく同じ構図です。
ちなみに決算シーズンの進捗としては、S&P500の61%の企業が発表済みで、そのうち86%が1株利益の予想を上回っています(FactSet、7/31時点)。8割以上が予想を上回っているのに、指数は7月の月間で-0.13%。 決算が良いことと株価が上がることは、思ったより別の話です。
マクロ環境(大きな経済の流れ)
| 項目 | 7/31終値 | 前日比 | |---|---:|---:| | 米10年債利回り | 4.75% | +7bp | | 米2年債利回り | 4.28% | +5bp | | 米30年債利回り | 5.27% | +6bp | | ドル円 | 157.40 | -1.74%(円高) | | ドル指数(DXY) | 99.80 | -0.21% | | WTI原油 | $86.80 | +3.84% | | ブレント原油 | $90.12 | +1.22% | | 金 | $4,098.60 | -0.04% | | 銀 | $57.78 | -1.77% |
今日いちばん引っかかったのは為替です。
ドル指数(DXY=ドルが世界の主要通貨に対して強いか弱いかを示す数字)は**-0.21%とほとんど動いていない**のに、ドル円だけが-1.74%の円高になっています。
ドルが全体的に弱くなったなら、ドル円だけでなく他の通貨に対しても同じ方向に動くはずです。でもドル指数は動いていない。つまり動いたのはドルではなく、円のほう。
背景として、7/30に日本政府・日銀が円買いの為替介入(政府が自国通貨を買って為替を動かす操作)を実施したと報じられ、7/31には米財務省がニューヨーク連銀を通じて複数の銀行に円買い介入の可能性を伝えたとの報道も出ています(日経)。日銀は7/31の会合で政策金利を1.00%に据え置き(8対1)。
週間・月間のまとめ
| 指数 | 週間(7/24→7/31) | 7月月間 | |---|---:|---:| | S&P500 | +1.0% | -0.13% | | NYダウ | +1.0% | +0.32% | | Nasdaq | +1.6% | -3.20% | | ラッセル2000 | +0.05% | -3.08% |
7月は、ダウだけがかろうじてプラス。ナスダックと小型株は3%超のマイナスで終わりました。今日のような日が続いていたのだとすると、**「大きい会社の一部だけが持ちこたえた1ヶ月」**という形になります。
※月間の数字はYahoo Financeの日次終値から自分で計算したもので、報道による確定値は取れていません。
テクニカルで見る今の位置
チャートの数字を見ると、今日の上昇は「勢いが戻った」形ではありません。
・S&P500(SPY):RSI 52.99、MACDヒストグラム -0.77、短期移動平均線との乖離 +5.50% ・Nasdaq100(QQQ):RSI 45.09、MACDヒストグラム -2.53、短期移動平均線との乖離 +6.10% ・アップル:RSI 43.24、MACDヒストグラム -1.37 ・アマゾン:RSI 67.88、MACDヒストグラム +1.21、短期移動平均線との乖離 -3.75%
RSIは「買われすぎ・売られすぎ」を0〜100で見る指標で、70超で買われすぎ、30割れで売られすぎが目安。50が真ん中です。MACDのヒストグラムは「上向きの勢いが強まっているか弱まっているか」を示すもので、プラスなら勢いが出ている、マイナスなら弱まっている、という見方をします。
指数は上がったのに、SPYもQQQもMACDヒストグラムはマイナス圏。 さらにQQQのRSIは45.09で、50を下回ったままです。値段は上がったけれど、上向きの勢いはまだ戻っていない。 業種の本数が示していた「中身は弱い」という話と、チャートの数字が同じことを言っています。
そしてもう1つ面白いのがアマゾンです。+15.32%も上げたのに、短期の移動平均線に対してはまだ-3.75%、中期に対しても-1.87%とマイナス圏にいます。 移動平均線というのは過去数十日の平均値なので、これがマイナスということは「+15%上げても、まだ最近の平均値より下」ということ。今回の急騰は水準を新しく切り上げたのではなく、それまでに下げていた分を埋め戻した動きに近い、という読み方ができます。
※テクニカル分析はTradingViewのデータに基づく。投資判断は自己責任で。
全体像:指数の数字と、市場の中身が分かれた日
今日は「上がった日」なのか「下がった日」なのか、指数だけでは判定できない日でした。
S&P500 +0.70%、ナスダック +1.00%、ダウ +0.53%。数字は3つとも上。でも11業種のうち7業種は下落、小型株のラッセル2000は-0.50%。上がった4業種のうち実質的に効いたのは一般消費財(+3.29%)と通信サービス(+1.56%)の2つで、その中身はアマゾン+15.32%とアルファベット+6.73%という個別2社でした。
3本の流れが同時に走っていました。①決算による銘柄の選別(アマゾンとアップルが真逆)、②経済指標3つの上振れによる金利上昇(10年債4.75%)が公益・不動産・小型株を圧迫、③ホルムズ海峡のタンカー攻撃で原油+3.84%。
大事なのは、①が指数を押し上げ、②が市場の幅を削り、③は指数にほとんど影響しなかったという役割分担です。 指数の+0.70%という数字は、①だけを写している。②と③は指数の中には出てきません。
こういう相場で僕が意識しているのは、指数の%を「結果」ではなく「1つの断片」として扱うことです。 今日でいえば、+0.70%という数字は嘘ではないけれど、市場で起きたことの3分の1しか説明していない。残りの3分の2は、業種の本数(4対7)とラッセル2000(-0.50%)と原油(+3.84%)のほうに書いてありました。
昨日の仮説③で「地合いは改善していない」と書いていたのが今日そのまま確認されたのは良かったんですが、そのことを教えてくれたのは自分が設定したトリガー(指数が方向を出すか)ではなく、無効条件(業種の過半が上がるか)のほうでした。 条件の書き方ひとつで、正しい仮説でも判定を間違える。ここが今日の一番の反省です。
今日の迷い・判断メモ
迷ったポイント①: アマゾンが+15.32%した記事を読んだとき、これを「AI・クラウドへの評価が戻ってきたサイン=地合い改善」と読むか、「1社の決算の話」と読むかで判断がつきませんでした。証券会社7社以上が目標株価を引き上げていて、記事のトーンも明るかったので、正直かなり「地合い改善」側に引っ張られました。
結局どう考えたか: 業種の本数を先に数えることにしました。上昇4/下落7だったので、「1社の話」と判断しています。判断の理由は単純で、地合いが本当に改善しているなら、アマゾンと関係ない業種も上がっているはずだから。
後から振り返って: 判断は維持しますが、手順が悪かったと思っています。ラッセル2000が-0.50%だったことに気づいたのが、業種を数えた後でした。業種の本数と小型株は結局同じことを言っていたので、この2つを最初に並べて見ていれば、決算のニュースを読み込む前に答えが出ていた。ニュースを読む時間が長くなるほど、そのニュースに引っ張られる。 数字を先に見る順番を固定しておいたほうがよさそうです。
迷ったポイント②: WTIが$86.80になっているのを見た瞬間、「昨日の仮説①($85を超えない)が外れた」と思って、そこで思考が止まりかけました。
結局どう考えたか: 上がった理由を読んだら「ホルムズ海峡のタンカー2隻攻撃」で、これは仮説本体が言っていた「モノの流れが止まるか」そのものでした。外れたのは仮説ではなく、判定に使った数字の線のほうだと整理し直しています。
後から振り返って: 「トリガーを満たさなかった=仮説が間違い」と自動的に結び付けかけたのが危なかった。トリガーは仮説を判定するための道具であって、トリガーのほうが間違っていることもある。 次回から、仮説とトリガーは分けて評価します。
自分なら何を確認してから動くか
今日の相場を受けて、次に何かを判断する前に確認することを3つ。
1. 上昇した業種の本数が6つ以上あるか(指数の%ではなく本数で見る) 今日は4/11でした。指数がプラスでも本数が過半に届かないうちは、「一部が上がった日」として扱います。
2. ラッセル2000がプラスに転じているか 小型株が付いてきていないうちは、上昇が大企業の一部に偏っている状態だと判断します。今日は-0.50%。1と2は同じことを別の角度から見ているので、両方が揃って初めて信用します。
3. アマゾンの短期移動平均線との乖離がプラスに転じたか +15.32%上げてもまだ-3.75%とマイナス圏です。ここがプラスに転じるまでは「下げた分の埋め戻し」、転じたら「新しい水準」と読み分けます。+15%という数字の大きさだけで判断しないための確認です。
明日の観測ポイント
「予測」ではなく「仮説+トリガー(こうなれば正しい)+無効条件(こうなれば間違い)」で書きます。今日の反省を踏まえて、トリガーは指数の%ではなく市場の幅で書きます。
① 仮説: 今回の上昇は決算による2社の急騰であって、市場全体の地合いは改善していない トリガー: 8/3(月)以降、アマゾン・アルファベット以外の材料で指数が動いた日に、上昇業種が6つ未満にとどまる → 個別要因説が確定 無効条件: 上昇業種が6つ以上になり、同時にラッセル2000がプラスに転じる → 地合いそのものが改善していた → 僕のルール:判定は指数ではなく業種の本数で行います。指数は1社で簡単に動くので、判定材料に使いません。
② 仮説: 10年債4.75%への上昇は、原油高ではなく経済指標3つの上振れが主因である トリガー: 原油が落ち着いても10年債が4.70%以上を維持する → 指標が主因と確定 無効条件: 原油が$80台前半に戻ると同時に10年債が4.65%以下へ低下 → 原油が主因 → 僕のルール:原因が2つ考えられるときは、片方が消える場面まで待ちます。今日の時点でどちらかに決める必要はありません。
③ 仮説: 今日の円高(157.40)は介入によるもので、日米の金利差そのものは変わっていない トリガー: 介入の報道が途切れた後、ドル円が160円方向へ戻る → 介入の効果は一時的だった 無効条件: 介入の報道がなくても157円台以下に定着する → 金利差以外の要因が効き始めている → 僕のルール:ドル円だけを見て「ドルが動いた」と判断しません。ドル指数と並べて、ドル側の話か円側の話かを先に切り分けます。
この先の経済指標:8/3(月) ISM製造業景況指数/8/4(火) 貿易収支・JOLTS求人/8/5(水) ADP雇用・ISM非製造業/8/6(木) 新規失業保険申請/8/7(金) 雇用統計(7月分) ※各指標の市場予想値は、調べたソース間で数字が食い違ったため今日は載せていません。
明日この仮説がどうなったか、また振り返ります。気になることがあればコメントで教えてください。
今日の3語メモ
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「+0.70%で7業種下落」:S&P500は上がったのに、11業種のうち7業種は下がり、小型株のラッセル2000も-0.50%だった。上げた4業種のうち上位2つは、アマゾンとアルファベットが入っている業種。指数がプラスの日は、業種の上昇本数が過半(6つ以上)に届いているかを数える
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「過去最高益で-7.35%」:アップルは売上$109.4B(+16%)、iPhone売上は4〜6月期として過去最高。それでもサービス部門と中国が予想未達で-7.35%。同じ日、レディットも予想超えの決算でAI契約がなかったことを理由に約-21%。決算は「良かったか」ではなく「市場が見ている項目が予想とズレたか」で動く
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「タンカー2隻でWTI $86.80」:7/30の米軍によるイラン空爆では原油-1.03%、7/31のホルムズ海峡タンカー2隻攻撃では+3.84%(日中安値$81.06から切り返し)。同じ地政学でも反応が正反対だった。原油は事件の大きさではなく、モノが運べなくなるかどうかで動く。2日並べて確認できた
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この記事はjiyon(@jiyon_kizuku)の相場振り返りシリーズです。 投資判断は自己責任でお願いします。データは2026年7月31日時点のものです。

