11業種のうち7業種が上がった。それでもダウの上げの87%は6銘柄だった|8月3日 米国株分析
原油が5%下がって、株がほぼ全部上がった日でした。NYダウは+693.38ポイントで史上最高値を更新。
前回の記事で「この上昇は2社の決算による急騰であって、市場全体の地合いは改善していない」という仮説を立てました。今日、その仮説は外れました。 11業種のうち7業種が上がり、小型株のラッセル2000も+1.73%。前回自分で決めた「こうなったら間違い」の条件をきれいに満たしています。
ただ、外れ方が少し変でした。上がった業種は7つに増えたのに、ダウの693ポイントの上げのうち601ポイント(86.8%)は、たった6銘柄が押し上げた分でした。参加した銘柄は増えたのに、力を出しているのは相変わらず少数。この矛盾を今日は追いかけます。
前回の仮説チェック
前回(7月31日)に立てた3つの仮説を、今日のデータで答え合わせします。
仮説①: 今回の上昇は決算による2社の急騰であって、市場全体の地合いは改善していない トリガー: 上昇業種が6つ未満にとどまる → 個別要因説が確定 無効条件: 上昇業種が6つ以上になり、同時にラッセル2000がプラスに転じる → 地合いそのものが改善していた 結果: ❌ 否定された。上昇業種7つ、ラッセル2000 +1.73%で無効条件が成立 学び: 業種の本数で判定するルール自体は機能した。ただし「本数」は参加した銘柄の広がりを測れても、上げ幅がどこに集中しているかは測れない。今日はその穴が見えた
仮説②: 10年債4.75%への上昇は、原油高ではなく経済指標の上振れが主因である トリガー: 原油が落ち着いても10年債が4.70%以上を維持する → 指標が主因 無効条件: 原油が$80台前半に戻ると同時に10年債が4.65%以下へ低下 → 原油が主因 結果: ⏳ 判定不能。原油は$80.34($80台前半に戻った)、10年債は4.687%。4.65%以下でも4.70%以上でもなく、どちらの条件にも当たらなかった 学び: 条件の設定が甘かった。4.65%と4.70%の間に5bpの隙間を空けてしまい、そこに入られた。「どちらでもない」が出る余地を残した自分のミス
仮説③: 円高(157.40)は介入によるもので、日米の金利差そのものは変わっていない トリガー: 介入の報道が途切れた後、ドル円が160円方向へ戻る → 介入の効果は一時的 無効条件: 介入の報道がなくても157円台以下に定着 → 金利差以外の要因が効き始めている 結果: ⏳ 判定保留。ドル円は156円台まで円高が進んだが、8月3日に日本の財務省が「必要ならさらなる行動も辞さない」とコメントしており、「介入の報道が途切れた」という前提条件がまだ成立していない 学び: 仮説の前提条件(介入報道が途切れる)が満たされないと、そもそも検証が始まらない。この場合は待つしかない
3つ立てて、❌が1つ、⏳が2つ。外れたのは1つですが、⏳の2つは条件の作り方が下手でした。ここは後で反省として書きます。
主要指数
・NYダウ 53,178.41(+693.38 / +1.32%)※史上最高値を更新 ・S&P500 7,600.50(+110.78 / +1.48%) ・Nasdaq総合 25,913.90(+540.05 / +2.13%) ・ラッセル2000 2,981.93(+50.59 / +1.73%) ・VIX(恐怖指数) 15.86(-0.13 / -0.81%)
ダウの53,178.41は終値ベースで史上最高値です。7月6日につけた前の記録を122.50ポイント上回りました。ただしS&P500は6月上旬の最高値まであと0.3%、Nasdaq総合は6月につけた27,000台の最高値にまだ届いていません。「最高値更新」と言えるのはダウだけで、3指数が揃って最高値というわけではない点は押さえておきたいところです。
VIX(恐怖指数。数字が高いほど市場が先行きを不安に感じている)は15.86。20を超えると警戒モード、15を割ると楽観が強い、というのがざっくりの目安なので、今はかなり落ち着いた状態です。
ただし前日比は**-0.13(-0.81%)とほとんど動いていません**。ダウが史上最高値を更新した日なのに恐怖指数がほぼ横ばい、というのは少し意外でした。理由は単純で、7月31日の時点ですでに15.99まで下がっていたからです(7月31日は日中18.70まで上がってから15.99で引けており、その日に-6.44%と大きく下げ切っていた)。不安はもう前の営業日に解消されていて、今日はその続きだったということになります。
市場の幅を示す数字も良好でした。ダウの30銘柄では19銘柄が上昇。ニューヨーク証券取引所全体でも値上がり銘柄が値下がり銘柄の2.41倍だったと報じられています(こちらは引け間際時点の集計で、確定値ではありません)。7月31日は「3指数プラスなのに7業種下落」でしたが、今日はその逆に転じています。
相場を動かした3つのポイント
① トランプ大統領がイランへの攻撃を中止 → 原油が5%下落
8月2日(日)、トランプ大統領がイランへの軍事攻撃を中止すると発表しました。本人が「第二次大戦以来最大の攻撃」と表現していた計画です。中止の条件は「素早く合意すること」で、想定されている中身はホルムズ海峡(中東の原油が通る海の通り道)の完全な開放と、イランの核開発の停止です。
これを受けてWTI原油(アメリカの代表的な原油の値段)は**$80.34まで下落、-5.11%**。7月に20%以上上がっていた「戦争が起きるかもしれない分の上乗せ」が、一気に剥がれ落ちた形です。
ただし話はまだ固まっていません。イラン側は「月曜に交渉を再開する」というトランプ大統領の発言内容を否定しており、トランプ大統領自身も24時間と経たないうちにイラン指導部を「信じられないほど不誠実だ」と再び非難しています。
→ 僕のルール:「合意した」と「合意しそう」は別物として扱います。今日下がったのは合意したからではなく、合意しそうだと市場が期待したからです。期待だけで動いた値段は、期待が消えたら同じ速さで戻ります。
② ISM製造業が4年ぶりの好数字。それなのに金利は下がった
同じ日に、7月のISM製造業景況指数(アメリカの製造業の景気を測る調査。50を超えると景気が拡大しているという意味)が発表されました。結果は55.6。市場予想の54.0を大きく上回り、2022年5月以来の高い水準です。
中身も強かった。生産が58.5(前月比+6.3)、雇用が52.8(+3.1)で33ヶ月ぶりに50を超えました。調査対象18業種のうち15業種が拡大しています。
普通、景気が強い数字が出ると金利は上がります。景気が良い=物価が上がりやすい=お金を貸す側はもっと利息を要求する、という流れです。ところが今日の10年債利回りは4.687%へ、約5.6ベーシスポイント(0.056%)低下しました(金曜は4.743%)。
理由は①の原油です。原油が5%下がると、ガソリンも輸送費も下がって物価が上がりにくくなる。「景気が強いから金利上昇」と「原油が安いから金利低下」が同じ日にぶつかって、原油側が僅差で勝った、というのが今日の金利です。
→ 僕のルール:金利が動いた日は、その日に出た材料を全部並べてから理由を決めます。1つの材料で説明できてしまう時ほど、逆向きの材料を見落としています。今日は「ISMが強かったから金利上昇」と反射的に書きそうになりました。
③ 大型テックが軒並み上昇。アップルだけ逆を向いた
7月31日の決算を受けた大型テックの買い直しが続きました。アルファベット(グーグル)は+4.88%。クラウド事業の売上が前年比+82%($248億、利益率35.6%)だったことが改めて評価されています。メタ+6.02%、マイクロソフト+4.93%、アマゾン+4.58%。アマゾンは時価総額が3兆ドルに到達しました。
その中でアップルだけが**-1.78%**。7月31日の決算で示した次の四半期の売上見通し(前年比9〜11%増)が、市場予想の12%増に届かなかったことを引きずっています。7月31日は-7.35%、今日も戻せず、2営業日連続の下落です。
市場全体がこれだけ楽観に振れた日に、1社だけ逆を向いている。周りの雰囲気が良くても、その会社自身の数字への失望は別会計で処理されるということだと思います。
→ 僕のルール:全面高の日に下がっている銘柄は必ずメモします。地合いという言い訳が使えない日の下落は、理由がその会社の中にあるからです。
セクターの強弱——「何が買われて、何が売られたか」
11業種のうち7業種が上昇、4業種が下落しました。
上がった側:通信サービス(+2.86%)が最も強く、テクノロジー(+1.53%)、資本財が続きます。アルファベットとメタは通信サービスに、マイクロソフトはテクノロジーに入るので、大型テックの上昇がそのまま出た形です。
下がった側:エネルギー(-1.28%)が最も弱い。原油が5%下がったので当然です。あとはヘルスケアと生活必需品が小幅安でした。この2つは「景気が悪くても人は薬を買うし食べ物も買う」という理由で、不安な時に買われやすい業種です。それが下がったということは、今日は不安が後退したということになります。
数え方の注記:市場のまとめ記事は「11業種のうち7業種が上昇」としていますが、業種ごとのETF(その業種の株をまとめて買える商品)で数え直すと8業種上昇・3業種下落になりました。差が出たのは公共事業で、+0.02%とほぼ横ばいのため、集計元によって上昇側に入ったり入らなかったりしています。7でも8でも「6つ以上」という前回の判定条件は変わらないので結論は同じですが、業種の本数で判定するなら、何をもって1業種と数えるかを先に決めておかないといけない、というのは今日の宿題として残りました。上記の騰落率も業種ETFの実測値です。
構図としては、**「戦争が遠のいた → エネルギーは要らない、守りの業種も要らない、成長する会社を買う」**という、教科書どおりのきれいな並びでした。
Mag7(超大型テック7社)の動き
・メタ $590.24(+6.02%)— 今日のMag7で最強 ・マイクロソフト $487.65(+4.93%)— ダウを135.4ポイント押し上げた最大の立役者 ・アルファベット $373.51(+4.88%)— クラウド+82%が再評価 ・アマゾン $284.02(+4.58%)— 時価総額3兆ドル到達 ・テスラ $322.08(+3.49%) ・エヌビディア $206.64(+2.93%)— 7社の中では控えめ ・アップル $303.42(-1.78%)— 唯一の下落
6社が+2.9%〜+6.0%で上昇し、アップルだけがマイナス。7月31日はアマゾンが+15.32%と突出していましたが、今日は上げが7社のうち6社に広がっています。
一方でエヌビディアの+2.93%は、他の5社と比べると弱い。AIの主役という位置づけの割に、今日は主役ではありませんでした。
個別株で目立った動き
ダウを押し上げた6銘柄(合計601.5ポイント=上げ幅の86.8%)
・マイクロソフト +135.4ポイント ・キャタピラー +108.6ポイント ・アルファベット +104.3ポイント ・ボーイング +101.9ポイント ・シャーウィン・ウィリアムズ +76.4ポイント ・アマゾン +74.9ポイント
ダウ全体の上げが693.38ポイントなので、この6社で86.8%です。そしてダウの30銘柄のうち11銘柄は下がっています。
ここが今日いちばん引っかかったところです。11業種のうち7業種が上がり、小型株も上がり、値上がり銘柄が値下がり銘柄の2.41倍。数え方によっては「幅の広い上昇」に見える。でも金額のインパクトで見ると、6銘柄でほぼ全部です。
エネルギー株の反応も面白かった:原油が-5.11%も下がったのに、エクソンモービルは-0.24%、シェブロン-1.85%、オクシデンタル・ペトロリアム-2.80%。原油の下げ幅に比べて株の下げはずっと小さい。原油が下がる理由が「需要が消えた」ではなく「戦争リスクが消えた」だったので、会社の実力そのものへの評価は変わらなかった、と読めます。
決算:引け後にパランティアが発表し、売上$19.4億(前年比+93%)、調整後EPS $0.41。事前予想(売上$18.0〜18.1億、EPS $0.33〜0.35)を両方上回りました。アメリカの民間向け事業が+149%。通期の売上見通しも$81.5億超(+82%)へ引き上げ、時間外で約+12%です。
マクロ環境(大きな経済の流れ)
・米10年債利回り 4.687%(-5.6bp/金曜4.743%) ・米2年債利回り 約4.26〜4.28%(データ元により幅あり) ・WTI原油 $80.34(-$4.33 / -5.11%) ・金 $4,090.50(-$16.50 / -0.40%) ・銅 $6.52/lb(+1.26%) ・ドル円 約156.3〜156.7円(円高/3営業日続伸)
金が-0.40%と小幅に下がっています。金は不安な時に買われる資産なので、戦争リスクが後退した日に下がるのは筋が通っています。一方で銅は+1.26%。銅は工場や建設で使われるので、景気が良くなる期待で買われます。**「不安の資産(金)が下がって、景気の資産(銅)が上がる」**という並びも、今日の相場観と一致していました。
為替は少し特殊な状況が続いています。 7月31日に、1998年のアジア通貨危機以来はじめて、日本とアメリカが協力してドルを売り円を買う為替介入を実施しました。介入前は163円台と40年ぶりの円安水準でしたが、今は156円台。財務省は8月3日に「必要ならさらなる行動も辞さない」とコメントしており、市場は追加介入を警戒しています。
経済指標(8月3日発表)
・7月ISM製造業景況指数 55.6(予想54.0/前回53.3)→ 大幅上振れ ・7月S&Pグローバル製造業PMI 確報 53.9(速報53.8) ・6月建設支出 前月比-0.1%(前年比-3.2%)
金融政策については、9月16日の会合で市場が見込んでいるのは25bpの利上げが64.1%、据え置きが35.9%(Investing.comの集計ツールで実測)。利下げではなく利上げ方向が多数派です。今のアメリカの政策金利は3.50〜3.75%で、前回の会合では利上げを支持する反対票が3票出るという珍しい展開でした。
※CME FedWatchの公式ページは接続できず、代替データを使っています。
テクニカルで見る今の位置
TradingViewの日足データで、主な指標の位置を確認します。
・S&P500(SPY) 757.67(+1.42%):RSI 59.50(中立)、MACDはゴールデンクロス状態(強気)、短期の移動平均線から+5.27%上 ・Nasdaq100(QQQ) 700.07(+1.76%):RSI 50.02(ちょうど中立)、MACDはデッドクロス状態(弱気)のまま、短期線から+5.60%上 ・ラッセル2000(IWM) 296.22(+1.72%):RSI 54.65(中立)、MACDは弱気だがゼロに近い ・アルファベット 373.51(+4.88%):RSI 61.12(中立)、MACDはゴールデンクロス ・エヌビディア 206.64(+2.93%):RSI 53.07(中立)、MACDは弱気だがゼロ近く、クロス接近中 ・アップル 303.42(-1.78%):RSI 40.34(中立のやや弱い側)、MACDは弱気で開きが大きい、短期線から+21.67%上
RSI(買われすぎ・売られすぎを0〜100で測る指標。70超で買われすぎ、30割れで売られすぎが目安)は全部40〜61の中立ゾーンでした。これだけ上がった日なのに、過熱を示す銘柄が1つもない。
気になったのはSPYとQQQのズレです。SPYはMACD(勢いの向きを見る指標)がゴールデンクロス(強気サイン)なのに、QQQはデッドクロス(弱気サイン)のまま。今日いちばん上がったのはNasdaqなのに、勢いの指標はまだ弱気圏を抜けていません。値段は上がったけれど、勢いはまだ戻りきっていない、という読み方ができると思います。
アップルは短期の移動平均線から+21.67%も上に離れたまま急落しています。上に行きすぎた分の調整が、まだ途中に見えます。
※テクニカル分析はTradingViewのリアルタイムデータに基づく。投資判断は自己責任で。
全体像:幅は広がった。厚みは変わらなかった
因果の流れははっきりしていました。イラン攻撃中止(8/2)→ 戦争リスク分の上乗せが剥落 → 原油-5.11% → 物価上昇の心配が後退 → 10年債-5.6bp → 株が全面高。この流れが、同じ日に出たISM製造業55.6という4年ぶりの好数字(本来なら金利上昇の材料)を押し切りました。今日は金利が「強い景気」より「安い原油」に反応した日です。
株の中身を見ると、前回の自分の見立ては外れていました。11業種のうち7業種が上昇、ラッセル2000は+1.73%、値上がり銘柄は値下がり銘柄の2.41倍。前週の「7業種下落・小型株マイナス」から明確に転換しています。
ただし上げ幅の分布は変わっていません。 ダウの693ポイントのうち601.5ポイント(86.8%)は6銘柄で、30銘柄のうち11銘柄は下がっている。参加している銘柄は増えたのに、押し上げている銘柄は増えていない。
こういう相場で僕が意識しているのは、「幅」と「厚み」を別々に数えることです。 幅は参加した銘柄の数、厚みは上げ幅がどれだけ分散しているか。前回の僕は業種の本数だけで判定するルールを作りましたが、それだと「幅」しか測れませんでした。今日みたいに幅が広がって厚みが変わらない日は、そのルールだと「地合い改善」と一言で片づけてしまう。数える対象を1つ増やす必要がある、というのが今日いちばん大きい気づきです。
今日の迷い・判断メモ
迷ったポイント:前回の仮説①が外れたと認めるかどうかで、正直けっこう迷いました。上昇業種7つ・ラッセルプラスで無効条件は明確に成立しているのに、ダウの上げの86.8%が6銘柄という数字を見ると「やっぱり集中は続いてるじゃないか、仮説の中身は間違ってなかったのでは」と言いたくなった。
結局どう考えたか:外れたと書くことにしました。理由は、自分で「こうなったら間違い」と事前に決めた条件が満たされたからです。後から別の数字を持ってきて「本質的には合っていた」と言い出すのは、条件を決めた意味がなくなる。ルールを作るのは、こういう時に自分の都合で解釈を曲げないためだと思うので。
後から振り返って:判断は維持します。ただし、外れたのは「仮説」ではなく「仮説の測り方」だったという整理は残しておきたい。集中が続いているという見立て自体は今日のデータでも生きているのに、それを検証できる条件を自分が設定していなかった。仮説が外れたというより、測る道具を間違えたというのが正確なところです。次からは条件に「上げ幅の集中度」を必ず入れます。
もう1つ、仮説②で4.65%と4.70%の間に隙間を空けてしまったのも同じ種類のミスでした。条件と条件の間に「どちらでもない」が入る余地を残すと、答え合わせができなくなる。
自分なら何を確認してから動くか
今日の相場を受けて、自分が次に何かする前に確認することを3つ書いておきます。
- ダウが大きく動いた日は、寄与上位6銘柄の合計が全体の何%かを毎回計算する。今日の86.8%が特別なのか普通なのかは、数日並べないと分からないので。
- イラン交渉の続報が「合意」まで進んだか確認する。今日の原油安は期待で下がった分なので、合意が流れたら$85超まで戻る可能性がある。戻ってから金利がどう動くかを見たい。
- 8月7日の雇用統計まで大きな判断はしない。今週はJOLTS(火)、ADP雇用(水)、失業保険(木)と雇用系の指標が続いて、金曜が本番。ISMの雇用が33ヶ月ぶりに50を超えたのが本物かどうかは、金曜の数字で答えが出ます。
明日の観測ポイント
「予測」ではなく「仮説+トリガー(こうなれば正しい)+無効条件(こうなれば間違い)」で書きます。今日の反省を踏まえて、条件の間に隙間を作らないようにします。
① 仮説: 上げ幅が少数銘柄に集中する構造は一過性ではなく、7月から続いている トリガー: 8/4以降、ダウが±300ポイント以上動いた日に、寄与上位6銘柄の合計が変動幅の70%以上を占める → 構造だと確定 無効条件: 同じ条件の日に、上位6銘柄の合計が70%未満になる → 分散が進んだ → 僕のルール:しきい値は70%の1本だけにして、上と下で隙間を作りません。今日の反省の反映です。
② 仮説: 10年債の低下は原油要因が主で、ISMの強さはまだ金利に反映されていない トリガー: 原油が$85超へ反発した局面で、10年債が4.75%以上へ戻る → 原油が主因と確定 無効条件: 原油が$80以下に留まったまま、10年債が4.75%以上へ上昇 → 景気指標や国債の需給が主因 → 僕のルール:同じ4.75%というしきい値で、原油の水準だけを変えて切り分けます。金利の条件を2つに分けると今日みたいに判定不能になるので。
③ 仮説: 円高は介入と追加介入への警戒によるもので、日米の金利差そのものは変わっていない トリガー: 財務省の発言が3営業日以上途切れた後、ドル円が160円方向へ戻る → 介入の効果は一時的だった 無効条件: 発言が3営業日以上途切れた状態で、ドル円が155円台以下に定着 → 金利差以外の要因が効き始めている → 僕のルール:前提条件(発言が途切れる)に「3営業日以上」と日数を入れました。前回は「途切れた後」としか書かず、いつ判定していいか分からなくなったので。
今週の経済指標:8/4(火)6月貿易収支(予想 赤字$735億)・JOLTS求人/8/5(水)ADP雇用・ISM非製造業/8/6(木)新規失業保険申請/8/7(金)7月雇用統計 ※雇用統計の非農業部門雇用者数の予想は、調べたデータ元によって+9.0万人〜+13.0万人と幅があります。失業率は4.2%維持の予想。6月の実績は+5.7万人で、予想の+11.5万人を下回りました。
決算:8/4(火)寄り前にキャタピラー、引け後にAMD。
明日この仮説がどうなったか、また振り返ります。気になることがあればコメントで教えてください。
今日の3語メモ
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「7業種上昇でも86.8%は6銘柄」:11業種のうち7業種が上がり、小型株のラッセル2000も+1.73%。それでもダウの693ポイントの上げのうち601.5ポイントはマイクロソフト・キャタピラー・アルファベット・ボーイング・シャーウィンウィリアムズ・アマゾンの6社だった。30銘柄のうち11銘柄は下落。「幅」(何銘柄が参加したか)と「厚み」(上げ幅がどれだけ分散しているか)は別々に数える
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「ISM 55.6で金利が下がった」:ISM製造業は55.6と予想54.0を大きく上回り2022年5月以来の高水準。普通なら金利上昇の材料なのに、10年債は4.687%へ5.6bp低下した。同じ日に原油が-5.11%下がったから。金利が動いた日は、その日出た材料を全部並べてから理由を決める。1つで説明できる時ほど逆向きの材料を見落としている
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「原油-5%でエネルギー株は-1%」:WTIは-5.11%も下がったのに、エクソンモービル-0.24%、シェブロン-1.85%、オクシデンタル-2.80%と株の下げは小さかった。原油が下がった理由が「需要が消えた」ではなく「戦争リスクが消えた」だったから。同じ値下がりでも、理由が需要か地政学かで、関連する株への効き方が変わる
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この記事はjiyon(@jiyon_kizuku)の相場振り返りシリーズです。 投資判断は自己責任でお願いします。データは2026年8月3日時点のものです。
