9月25日(米国時間)、MicrosoftがCopilot(Microsoft 365に入っているAIアシスタント)を作り直すと発表しました。
画面は「Home」「Code」「Autopilot」の3つのタブになります。そしてパートナー向けの案内には、もう1つ大事なことが書かれていました。2026年11月2日から、CSP(Microsoftの販売代理店)経由で新しく買う Microsoft 365 Copilot Business には、従量課金(使った分だけ払う料金)が最初からオンで付く、という内容です。
この連載では3日続けて「単価ではなく、1件いくらで比べる」と書いてきました。その考え方が、中小企業がいちばん使っているOfficeの契約にも入ってきます。
今日はそこから始めます。
前回予告の検証
🔮 加州の職場AI法案2本:9月26日時点でも、署名も拒否もされていない
カリフォルニア州の SB 947 と AB 1883 は、州議会の公式ページで見ると、最新の記録はまだ「知事へ送付」(SB 947は9月9日、AB 1883は9月10日)のままです。知事府の発表にも、2本の法案番号は出てきません。
前回書いたとおり、加州では9月30日までに知事が拒否しなければ、そのまま法律になります。残りは4日です。
1点だけ注意があります。調べている途中で、AI検索の要約に「AB 1883は9月3日に署名済み」という文が出てきました。でも知事に送られたのは9月10日なので、それより前に署名されることはありえません。AIの要約をそのまま信じると、規制の話ほど危ない。改めてそう感じました。
🔮 3つのモデルの「1件あたり費用」を自分で測る:まだです
Opus 5.5、GPT-6 Sol、GPT-6 Luna を同じ採用系の作業で比べる宿題は、今日もできていません。正直に書いておきます。次回に持ち越します。
✅ Otame4 Work Skills の企業側スキルはどうなったか:消えておらず、6つに分かれていた
9月23日に取り上げた、日本語の仕事用 Agent Skills 集(AIに特定の作業手順を覚えさせる部品集)の続報です。企業側のスキル「otameshi-employer」が見当たらなかった件は、9月17日の更新で6つに分けられていたことがわかりました。
- 任せる仕事と費用を決める
- 募集文を書いて、掲載前に点検する
- 社内で予算を通す
- 応募者に返信する
- 契約条件を書面で示す
- 体験後に振り返る
想定している利用者は「専任の採用担当者、現場のマネージャー、小規模企業の経営者」と書かれています。採用の募集前の段階を厚くした作りで、中小企業のひとり人事にも近い粒度でした。リポジトリの数が「24個」になっている内訳までは、今日は確定できていません。
注目ニュース TOP3
① Copilotが「Home/Code/Autopilot」の3タブに。11月から新規のCopilot Businessは従量課金が既定オン
✅ 何が起きたか
Microsoftの発表(9月25日)によると、新しいCopilotは次の3つのタブで構成されます。
- Home:チャットと、作業を任せる機能(Cowork)を1か所にまとめたもの
- Code:開発者でなくても、言葉で指示してアプリや自動化を作れる
- Autopilot:任せた作業を自分で進め続けるエージェント(自律的に動くAI)
Word・Excel・PowerPointのファイルも、Copilotの中で作ったり直したりできるようになります。提供はHomeとCodeが先行利用プログラム(Frontier)から数週間かけて順番に、Autopilotは9月末までに限定プレビューの対象を広げる予定です。
料金については、パートナー向けブログに「2026年11月2日から、CSP経由で購入する新規の Microsoft 365 Copilot Business ライセンスは、単体・セット販売ともに従量課金が既定で有効になる」と書かれています。
なぜ重要か
これまでCopilotの費用は「1人あたり月いくら」で考えればよいものでした。これからは、それに加えて「エージェントを動かした分」が別にかかる形が標準になります。
月額×人数で予算を組んでいた会社にとっては、請求額が月ごとに動くということです。使い方がばらばらのまま入れると、誰がどれだけ使ったのか後から追えません。
→ 採用・中小企業への影響
10〜50人規模の会社で、ひとり人事の方がExcelの応募者管理表を整えたり、面接の日程調整の文面を作ったりする。こういう作業は、Copilotに任せやすくなります。
一方で、11月以降に販売代理店経由で新規契約する会社は、従量課金が最初からオンです。導入前に「定額の範囲でできること」と「使った分だけかかる操作」を分けておき、使う人の範囲を決めてから入れるのが安全です。
→ 個人の実務・副業への影響
「Code」タブは、Excelの集計や、ちょっとした自動化を言葉で作る用途に向いています。事務作業が多い副業とは相性がいいはずです。個人向けにいつ使えるようになるかは、一次情報ではまだ確認できていません(🔮)。
僕はまだ新しい画面を触れていません。Frontierの対象外なので、使えるようになったら「1つの作業にいくらかかったか」を含めて報告します。
② 「文章を作らないAI」を採用AIに組み込む。候補者と求人のマッチ度を"判定だけ"で出す
✅ 何が起きたか
9月25日、フォワード社が、TypeSafe AI社のAIモデル「Jev」を、自社の採用AI「エースジョブ」に導入したと発表しました。
Jevは文章を生成しないAIです。あらかじめ決めた選択肢の中から、判定だけを返します。発表によると、1回の判定は0.07〜0.5秒で、同じくらいの性能の大規模言語モデル(ChatGPTやClaudeの中身の技術)より40〜200倍速いとされています(発表元の説明値です)。
エースジョブはすでに250社超で使われています。あわせて、エンジニアが企業の現場に入り、今ある採用システムへの組み込みから選考結果の回収、精度の改善までを伴走する支援も始めるそうです。
なぜ重要か
採用にAIを使うとき、いちばん怖いのはそれらしい文章で理由を作ってしまうことです。文章が上手なぶん、人間はつい信じてしまいます。
判定を選択肢に閉じれば、AIが何を言ったかは一目でわかります。「AIの判定」と「人の判断」を並べて比べるのも簡単です。冒頭の加州の法案 SB 947 も、AIだけで人事の判断をせず、人が確認することを求めています。人が確認しやすい形でAIを使うという意味で、方向は同じです。
→ 採用・中小企業への影響
この考え方は、専用のAIがなくても真似できます。書類選考の補助なら、たとえばこうです。
- 出力は「A:面接へ/B:保留/C:見送り+理由の番号(1〜5)」だけ
- それ以外の文章は書かせない
- 最終判断は必ず人がする
- AIと人の判断が割れたものだけ記録し、月に1回、基準を見直す
採用AIというと「志望動機の要約を書かせる」を思い浮かべがちです。でも本当に時間がかかっているのは、読んだあとに「で、次に進めるか」を決めるところです。先に判定の型を作ったほうが、効果も説明のしやすさも上です。
→ 個人の実務・副業への影響
問い合わせメールの振り分けや、受ける案件の選別をしている人は、同じ発想で「分類だけさせる」指示文を作ってみてください。文章を作る指示と、分ける指示を別にする。ツールを変えずに精度を上げる、いちばん手軽な方法です。
この「選択肢だけにした指示文」と「文章で答えさせる指示文」で判定のぶれがどれくらい違うか、手元のClaudeで比べてみます。結果が出たら報告します。
③ 小売・外食の350人調査。外食は32.9%が「何から始めればよいかわからない」
✅ 何が起きたか
9月26日、プロガイド社が、小売・外食で働く人を対象にした調査を発表しました(インターネット調査、各調査の有効回答350名)。
- DX・AIを進めるうえでの課題:小売は「活用方法が分からない」18.9%、外食は「何から始めればよいかわからない」**32.9%**がそれぞれ最多
- 外食がAIに期待する効果:「コスト削減」30.0%、「人手不足解消」29.4%
- 人事の最大の課題:「次世代リーダー・管理職の育成」24.0%、「人件費上昇対応」22.9%、「店舗スタッフ採用」20.6%
- バックオフィスのデジタル化:「あまり/ほとんど進んでいない」が34.0%
なぜ重要か
人が足りない現場ほど、AIに期待しています。それでも「何から始めればいいかわからない」で止まっている。足りないのはツールではなく、最初の一手の決め方だということが、数字で見えました。
→ 採用・中小企業への影響
多店舗の飲食・小売の社長さんに、いきなり「採用AIを入れましょう」と言っても動きません。それより、1つの業務で1週間以内に効果が見える入口のほうが伝わります。
- 求人票の型を1枚つくる
- シフト希望の集め方と集計を決める
- 店長との面談記録を要約して、次の面談の論点を出す
最後の1つは、人事の最大課題「リーダー・管理職の育成(24.0%)」にそのまま答えています。採用だけの話にせず、店長育成とセットにして話すほうが刺さると思います。
→ 個人の実務・副業への影響
店舗や飲食のDX支援を副業にしたい人は、「業務 × AIでできること × かかる時間」を1枚にまとめたメニュー表を作ってみてください。「何から始めれば」への答えになり、そのまま営業資料として使えます。
AIツール・アップデート情報
・GitHub Copilot(Business/Enterprise):新機能を最初からオンにするかどうかを、管理者が一括で決める設定ができた。10月22日から適用 → 採用業務で直接は使いませんが、社内でCopilotを契約している会社は、10月22日までに管理画面で既定の設定を決めておくと安心です。
・GitHub:セキュリティの自動修正機能が、過去の修正パターンを覚えて使い回せるように(プレビュー) → 社内ツールを自分たちで作っている会社ほど効きます。
・Cloudflare「Turnstile Spin」:Webサイトのボット対策の設定を、Claude CodeやCursorなどのAIエージェントに丸ごと任せられる → 採用サイトの応募フォームにスパムが来て困っている会社には、試す価値があります。
・Liquid AI:画像も読める小さなAIを、手元の端末で最大3.13倍速く動かす技術を公開 → 今すぐ仕事で使う話ではありませんが、「スマホやPCの中だけで動くAI」はデータを外に出したくない会社にとって今後の選択肢になります。
ツール選びで僕が大事にしているのは、**「新しいものを足す前に、今あるもので判定の型を作る」**ことです。今日の②はまさにその話でした。
AIが中小企業の採用・現場をどう変えるか
1. AI の費用は「月額×人数」から「使った量」へ
Copilotの従量課金が既定オンになることで、中小企業でも「AIにいくら払ったか」が月ごとに変わる時代に入ります。導入前に使う人と用途を決めておくことが、そのまま予算管理になります。
2. 採用AIは「書かせる」より「判定させる」
判定を選択肢に閉じると、人が確認しやすく、説明もしやすくなります。規制の流れとも同じ向きです。
3. 人手不足の現場は「最初の一手」で止まっている
外食の32.9%が「何から始めれば」で止まっています。小さく始めて1週間で成果を見せる入口の設計が、今いちばん求められています。
ひとり人事の方が今日から試せること
書類選考でAIを使っているなら、出力を「A/B/C+理由の番号」だけにして、1週間だけ自分の判断と並べてみてください。割れたところに、自社の採用基準のあいまいな部分が見えてきます。
あわせて、デジタル化・AI導入補助金2026の5次締切は9月29日(火)17時です。検討中の会社は、事務局のスケジュールページで今の状況を確認しておいてください。
個人の副業・実務への影響
「作る」と「分ける」を別の指示にする
AIに頼むとき、文章を作らせる指示と、分類させる指示を分けるだけで、速さもぶれにくさも変わります。
今日から試せること
受信箱の問い合わせを「すぐ返す/あとで返す/返さない」の3つにだけ分けさせてみてください。理由の文章はいりません。1週間続けると、自分の判断基準がはっきりしてきます。
今日のまとめ:AIは「どれだけ書けるか」より「どう確かめるか」
今日のニュースは、ばらばらに見えて同じ方向を向いていました。
Copilotは使った分だけ払う形になり、「誰が何に使ったか」を確かめる必要が出てきます。採用AIは文章を捨てて判定だけを返し、人が確かめやすい形になりました。加州の法案も、AIの判断を人が確認することを求めています。
僕が一番気になったのは②です。AIの能力が上がるほど、文章のうまさで判断をごまかせてしまう危うさも大きくなります。だからこそ、あえて「書かせない」という設計が出てきたのだと思います。
ひとり人事の方ほど、まず判定の型を1つ作ってみてください。
来週の注目ポイント
① 9月30日、加州の SB 947/AB 1883 は拒否されるか、そのまま成立するか → 知事が拒否しなければ法律になります。10月1日以降に、州の公式ページで最終的な記録を確認します。
② デジタル化・AI導入補助金、5次締切(9/29)のあとの6次の日程 → 間に合わなかった会社の次の目安になります。事務局の発表を確認します。
③ Copilot Business の従量課金(11月2日から)の単価と、上限の決め方 → 中小企業の予算に直接かかわります。料金ページやパートナー向けFAQの一次情報で確認します。
AIは使ってみないとわからない。気になるものがあったら、まず1つだけ触ってみてください。
この記事はHIRO(@hiro_tsumugu)のAIニュースまとめシリーズです。 情報は2026年9月26日時点のものです。
