「うちも対象ですか」に3行で答える
今日は先に、前回の宿題を2つ片付けます。どちらも決着がつきました。
✅ 補助金の第5次、日程が出ました(9月29日17時)。あと名前が変わってます
前回、「第4次が8月25日17時で締切だから、次の日程が出るなら今週が山」と書きました。出ました。
今日、公式サイトを直接見にいった結果がこれです。
| 項目 | 日付 | |---|---| | 申請締切 | 2026年9月29日(火)17:00 | | 交付決定日 | 2026年11月9日(月)(予定) | | 事業実施期間 | 交付決定〜2027年4月30日(金)17:00(予定) |
対象は通常枠/インボイス枠(対応類型・電子取引類型)/セキュリティ対策推進枠の4枠です。第6次は項目だけあって日程は空欄のまま。
ここで、前回の自分の書き方を2つ訂正させてください。
ひとつめ。制度の名前が変わっています。 公式サイトのタイトルは「デジタル化・AI導入補助金2026」で、根拠になっている事業名は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」。「IT導入補助金」は2025年までの呼び方で、サイト内でも過年度の案内として分けられています。
検索してたどり着く先は同じなので実害は小さく見えるんですが、公募要領と申請様式のファイル名が変わります。去年の様式を渡してしまうと、支援先が申請直前で気づいて慌てることになる。名前を切り替えておいたほうがいいです。
ふたつめ。前回「5枠すべて同一スケジュール」と書きましたが、今の表では成り立っていません。複数者連携デジタル化・AI導入枠だけ回次も締切も別で、第3次締切が2026年10月30日(金)17:00。前回は第4次の時点で全枠揃っていたので同じだと書いたんですが、今は分かれています。
✅ OpenAIの一次情報、RSSで抜けました
こっちは地味ですが、自分にとっては大きい話です。
OpenAIの公式ニュースページ(openai.com/news/)が、6日連続で403(アクセス拒否)を返していました。つまり公式発表の中身を、公式から直接確認できない状態が続いていた。提案資料を作るときに「一次ソースで確認しました」と言えなくなるので、地味に効きます。
今日、別ルートを試しました。結果はこうです。
openai.com/news/→ 403(変わらず)openai.com/news/rss.xml→ 200、1,148件のフィードが取得できた
RSS(サイトの更新情報を配信する仕組み。ニュースアプリが記事を拾ってくるときに使うやつ)は、本体のページとは配信経路が別なので、片方が塞がっていても通ることがあるんですね。
これで「いつ、何を発表したか」は一次で確定できるようになりました。ただし記事本文へのリンク先は依然403なので、数字や対象プランの詳細は取れません。今日の記事でOpenAI関連の話に数字が少ないのは、これが理由です。正直に書いておきます。
ちなみに同じ手をxAI(イーロン・マスクのAI企業)に試したら、本体もRSSも両方ダメでした。効くサイトと効かないサイトがあります。
注目ニュース TOP3
① 生成AIの知財ルールが確定版に。効くのは「誰が対象か」のほう
何が起きたか
内閣府の知的財産戦略推進事務局が、「生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード」の確定版を公開しました(8月25日)。8月18日の会議では「(案)」がついていましたが、今回それが取れています。全14ページ、原則は3つ。
報道の見出しは「政府が生成AI事業者に情報開示を求める」という書き方が多いです。法的な強制力はなく、罰則もありません。「実施するか、実施しないなら理由を説明する」という方式です。
なぜ重要か
見出しだけ読むと、AIを使っている会社まで身構えてしまいます。実際、支援先から「うちも何かしないといけないんですか」と聞かれる類の話です。
でも実務で効くのは、開示義務の中身ではなく**「誰が生成AI事業者なのか」の線引き**のほうでした。これがPDFに具体例つきで書いてあって、読むとかなりハッキリしています。
自分でPDFを開いて読んだ範囲で、判定はこの3段階でした。
- 社内でAIを使っているだけ → 対象外。文書は「公衆への提供を行っておらず、研究・開発を行っているにすぎない者は、生成AI事業者に該当しない」と明記しています
- 一社のデータだけで作ったAIを、その会社にだけ提供している → 対象外。特化版を作った受託側(PDFでいう法人B)も、それを自社の顧客だけに提供している側(法人C)も、どちらも該当しないと具体例に書かれています
- 他社から得たデータも混ぜて、業界の複数社に配っている → 該当し得る。ただし義務がかかるのは、元の汎用サービスに「付加した部分」に限定されます
つまり境目は「他社データを混ぜて外に配り始めたかどうか」の一点です。
→ 採用・中小企業への影響:社内の採用AIや問い合わせボットを内製している会社は、まず1に入るので今日やることはありません。ただし、その仕組みを同業他社にも売ろうという話が出た瞬間に3の側へ寄ります。AI内製化がうまくいった会社ほど「これ商品にできるんじゃないか」と言い出すので、その相談が出たときに一緒に読む1ページとして持っておくといいです。
→ 個人の実務・副業への影響:文書は「その目的、法人・個人の別を問わない」と何度も書いています。副業で作ったAIツールを不特定多数に公開している人は、規模に関係なく対象になり得ます。逆に「統計データや推論結果にとどまる生成物」しか出さないものは除外され得るという規定もある。罰則はないので慌てる必要はないですが、知らずに対象だったのと、知っていて様子見なのは別物だと思っています。
受入れを表明する届出の仕組みも用意されていますが、公式ページには「届出の開始時期については、別途お知らせします」とあって、まだ始まっていません。今の時点で急ぐ必要はありません。
② 引越会社がCAIOを置いて3か月、月320時間を自動化。全部内製
何が起きたか
アップル引越センターが、社長室直下にCAIO=最高AI責任者を新設したと今朝発表しました。2026年5月に就任した谷和俊氏が、約3か月で営業・経理・バックオフィスの定型業務を月あたり約2人月分=約320時間削減しています。
なぜ重要か
数字より、やり方のほうが参考になります。プレスリリースにはっきりこう書いてあります。
- 外注に頼らず社内で自動化ツールを内製・実装
- 大規模なシステム投資に頼っていません
- 現場のボトルネックを見極め、「効く順」に一つずつ実装
そして削減した業務の例が、拍子抜けするくらい地味なんです。挙がっているのは「1件あたり5分かかっていた案件登録」。同社は年間6万2千件の引越しを扱っているので、1件5分でも積み上がると人月単位になる。リリースはこれを「見えない事務作業」と呼んでいます。
派手なAI活用ではなくて、単価の低い作業を頻度で殴るタイプの成果です。
⚠️ 注意点を2つ書いておきます。 ひとつ、同社は「中堅の引越し専業社」で、従業員数はリリースに書かれていません。年6万2千件を扱い、東京圏に加えて北海道・仙台・名古屋・大阪・広島・福岡へ事業を広げているので、10〜50人の会社とは前提が違う可能性が高いです。「うちでもできる」とそのまま言える事例ではありません。ふたつ、削減業務の一覧は本文で「以下をはじめとする」と書かれた箇条書きにあるんですが、その部分がテキストとして取得できませんでした(おそらく画像)。案件登録以外に何を消したかは、現時点で確認できていません。
→ 採用・中小企業への影響:真似すべきは「CAIOを置く」ではなく、「効く順に一つずつ、内製で」という順番のほうです。10〜50人の会社に入るとき、最初にやるのは業務の棚卸しではなく「1件◯分×月◯件」で書ける作業を探すこと。ここは後半でもう少し具体的に書きます。
→ 個人の実務・副業への影響:副業でAI自動化を売るなら、この見せ方は使えます。「AIで業務効率化します」ではなく「1件5分×月◯件=月◯時間」に翻訳して出す。金額換算より時間換算のほうが、決裁する人が自分の会社の数字に置き換えやすいです。
CAIOのコメントにあった「AX・DXの一番の敵は、実は社内の抵抗だったりする」は、正直いちばん現場感がありました。ツールの問題で止まっている案件って、あんまり無いんですよね。
③ IBMがApache 2.0で3B/8B/30Bを出した。ノートPCで動くやつ
何が起きたか
IBMが「Granite 4.2」という推論向けのAIモデルを公開しました(8月25日)。3B・8B・30Bの3サイズで、すべてApache 2.0ライセンス(商用利用も改変も自由な、制限のゆるいオープンライセンス)。じっくり考えるモード/すぐ答えるモード/軽く考えるモードの3段階を切り替えられて、ツールを自分で呼び出す機能も入っています。量子化版(モデルを軽くして小さいマシンでも動かせるようにしたもの)も配布されています。
⚠️ ベンチマークの点数は今日は書きません。 収集の段階でスコアの報告が上がってきたんですが、公式ブログの該当する表を自分で直接確認できなかったので、未確認として保留します。数字が要るときは元のブログを直接見てください。
なぜ重要か
「Apache 2.0」「3B・8B」「量子化版あり」の3つが揃うと、社内のパソコンやオンプレのサーバーで動くという意味になります。
同じ8月25日に、外部との通信を完全に遮断した環境で動くローカルAIツール「SUGI」(Ikotas Labs)も発表されています。「データを外に出さないAI」の選択肢が、同じ日に2つ増えたのが今日の地味な流れでした。
→ 採用・中小企業への影響:採用の内製化をやっていると、必ず「応募者の個人情報を外部のAIに投げていいのか」を聞かれます。普通は契約とデータの取り扱い条件で答えるんですが、ローカルで動く選択肢を知っていると会話が変わります。ただ現実には、8Bクラスを社内で運用するには誰かが面倒を見ないといけないので、ひとり人事の会社にいきなり勧めるものではありません。「選択肢として存在すると知ったうえでクラウドを選ぶ」——この順番が正しいと思っています。
→ 個人の実務・副業への影響:ノートPCで動くサイズにツール呼び出しが入ったので、ネットに出せない案件の下書き作業をローカルで回す構成が現実的になってきました。
これ、自分はまだ触っていません。8Bをローカルで動かして求人票を書かせてみて、実用に足るかどうかを報告します。
AIツール・アップデート情報
- OpenAI「Admin plugin」:ChatGPT WorkとCodex向けの管理者用プラグイン。誰がどれだけ使っているかの分析、メンバーと権限の管理、上限の調整が1か所でできる → 会社にAIを入れた「あと」の話。導入提案のときに「野放しにならない」と言える材料になります
- ClaudeのチャットとCoworkのメモリが統合:片方で話した内容がもう片方でも引き継がれるように。会話中も継続的に更新され、保存内容は自分で見て消せます。健康・人種・宗教などはデフォルトで記憶しない設定 → 伴走の案件で使うなら、クライアントの情報が蓄積される前提になるので、消し方を先に確認しておいたほうがいいです
- GitHub Copilotの「Customize」タブが正式提供に:拡張機能やスキルを1つの画面で選べるようになりました
- エクサウィザーズの営業ロープレAIに「かんたんAIシナリオ作成」:提案書をアップロードするとAIが練習用のシナリオと評価基準を自動生成 → 面白い方向ですが、導入は金融機関中心の大企業で、中小企業向けの提供や価格はリリースに書かれていません
- Anthropicが無料の学習サイト「Claude Academy」を開設
ツール選びのワンポイント。今日みたいに新機能が並ぶ日ほど、増やすより今使っている1つの設定を見直すほうが効きます。上のAdmin pluginもメモリ統合も、新しく契約するものではなく「今の契約の中で見ていない設定」の話です。
AIが中小企業の採用・現場をどう変えるか(TSUMUGU視点)
今日から試せることを2つ。
1. 「うちも生成AI事業者ですか」に3行で答えられるようにしておく
さっきの3段階を、そのまま手元に置いておきます。
- 社内だけで使っている → 対象外
- 自社のデータだけで作って、自社と自社の顧客にだけ出している → 対象外
- 他社のデータも混ぜて、業界の複数社に配っている → 該当し得る(付加した部分に限る)
聞かれてから14ページを開くと、答えるまでに時間がかかります。届出はまだ始まっていないので、今日やるのは「該当したときに何を開示することになるのか」を原則1の項目リストで眺めておくところまでで十分です。
2. AIの提案をする前に、「1件◯分×月◯件」で書ける作業を3つ探す
引越会社の事例で効いていたのは、AIの性能ではなく作業の選び方でした。
ヒアリングで「どこに時間がかかっていますか」と聞くと、たいてい「面接の日程調整」みたいな大きい塊が返ってきます。そうではなく、こう聞きます。
「毎日やってるけど、やったと報告するほどでもない作業を3つ挙げてください」
出てきたものを「1件◯分 × 月◯件 = 月◯時間」の形に直す。この形になった瞬間に、AIを入れるかどうかを経営者が自分で判断できるようになります。こちらが説得しなくてよくなるんですよね。
同社が「人を削る」ではなく「作業そのものをなくす」と言い切っているのも、そのまま提案の言い回しとして使えます。
個人の副業・実務への影響
公開しているAIツールがあるなら、自分が対象かどうかを今日確認する。 プリンシプル・コードは法人・個人を問わないと明記しています。不特定多数に公開しているGPTsやAIアプリを持っているなら、対象になり得ます。罰則もなく届出もまだ始まっていないので慌てる必要はありませんが、適用範囲の節だけなら10分で読めます。
もうひとつ、ローカルで動くモデルを1本持っておく。守秘の厳しい案件で「これはローカルで処理します」と言えるかどうかは、受けられる仕事の幅に効きます。自分もまだ触っていないので、動かしたら結果を書きます。
今日のまとめ:ルールが決まった日にやることは、たいてい「読む」だけ
今日は規制の話が主役でした。ただ、こういう日にいちばんやりがちなのが慌てて何かすることだと思っています。
プリンシプル・コードは、罰則もなく、届出もまだ始まっていません。今日やるべきなのは、対応でも表明でもなく、自分と支援先がどの側にいるかを確認しておくことだけです。そして確認してみると、AIを使っているだけの会社はだいたい対象外でした。
自分が一番気になったのは、引越会社の「1件5分の案件登録」のほうです。AIで何ができるかの話が3年続いていて、そろそろどの作業に当てるかのほうが差になってきている。年6万件動く会社が、まずやったのが案件登録だった、という事実は結構重いと思っています。
補助金の第5次は9月29日17時。名前が「デジタル化・AI導入補助金2026」に変わっているので、そこだけ気をつけてください。
来週の注目ポイント
① プリンシプル・コードの「届出」がいつ始まるか → 始まると「届け出ている事業者の一覧」が公表される設計になっています。支援先が使っているAIサービスがそこに載るかどうかは、提案の材料になります。
② 補助金の第6次の日程と、様式のファイル名 → 第5次は出ましたが第6次はまだ空欄。あわせて、名称変更で公募要領や様式の名前が変わっていないかを確認します。古い様式を渡す事故を防ぐためです。
③ 省力化投資補助金の事務局に電話する(4日連続で未実施) →「単一もしくは複数の生産工程を自動化する」という条件に、採用や人事のような間接業務がどこまで乗るのか。これは調べても出てこないので、電話するしかありません。明日かけます。
④ Granite 4.2の8Bをローカルで動かして、求人票を書かせてみる →「データを外に出さないAI」を提案の選択肢に入れられるかは、触らないと判断できません。
AIは使ってみないと分かりません。気になるツールがあったら、まず触ってみてください。
この記事はHIRO(@hiro_tsumugu)のAIニュースまとめシリーズです。 情報は2026年8月26日時点のものです。
TSUMUGU — 採用AI内製化コーチ 地方中小企業の採用を、AIを使って内製化する伴走サービスを提供しています。

