日経平均が-2,566円27銭(-3.95%)下がって、62,364円92銭で終わりました。一時は下げ幅が3,000円を超えて、62,000円も割っています。
でも、この日の売買代金は9兆1,959億円。前日が9兆3,556億円だったので、前日より1.71%減っています。
急落した日は、普通なら売買代金が増えます。慌てて売る人が増えて、それを拾う人も出てくるからです。減ったということは、この下げは少し違う種類のものかもしれない、と思いました。
前回の仮説チェック
前回の記事で立てた3つの仮説を、今日のデータで答え合わせします。
仮説①: 半導体の売りは「1日限りのショック」ではなく、調整の2日目に入る トリガー: 7/27夜の米SOX指数(アメリカの半導体株をまとめた指数)が続落 → 7/28の東京でも半導体売りが続く 結果: ✅ 確認された 学び: SOXは-2.23%(11,554.88)で続落し、東京ではキオクシアが-18.33%でストップ安、東京エレクトロンが-10.96%、アドバンテストが-10.11%。「2日目」どころか、規模は前日より大きくなりました。前回書いた「RSIが70超の銘柄が下げ始めた時は、1日で底が入ることは少ない」というルールは、今回は機能した側です。ただ当たったから偉いのではなく、機能したルールを次も同じ条件で使えるかが本題だと思っています。
仮説②: NT倍率(日経平均÷TOPIX。日経の方が強いと数字が大きくなる)15.9台への低下=TOPIX優勢が「トレンド」として定着しつつある トリガー: 7/28もTOPIXが日経を上回り、NT倍率が15.9台以下で引ける 結果: ✅ 数字の上では確認された。でも中身は自分の想定と真逆だった 学び: TOPIXは-2.52%、日経は-3.95%。TOPIXの方が傷が浅く、NT倍率は15.97→15.73まで下がりました。トリガー通りです。でも前日の低下は「TOPIXが+1.37%上がって日経が+0.50%しか付いてこなかった」低下で、今日の低下は「日経が壊れた」低下です。同じ方向・同じ水準の数字なのに、原因が正反対。トリガーを数字だけで書くと、こういう取り違えが起きる——今日の一番の学びはこれでした。
仮説③: FOMCと日銀会合を控えて、売買代金が細る トリガー: 売買代金が9兆円を明確に下回る 結果: ❌ 否定された(トリガーが発動しなかった) 学び: 9兆1,959億円で、9兆円台は維持しました。ただ「細らなかった」で終わらせると見落とすことがあって、-3.95%の急落日なのに前日比で減っているという部分が引っかかりました。この違和感が今日の記事の入口になっています。
主要指数
・日経平均 62,364.92円(-2,566.27 / -3.95%) ・TOPIX 3,963.59(-102.48 / -2.52%) ・東証グロース250 676.57(-18.35 / -2.64%) ・東証プライム 値上がり478/値下がり1,043/変わらず31 ・売買代金 9兆1,959億円(前日比 -1.71%) ・NT倍率 15.73倍(前日 15.97倍) ・ドル円 163.70円台(ほぼ横ばい)
値下がり銘柄は1,043で、全体の約67%です。前日は値上がりが1,397で全体の約9割でしたから、たった1日でひっくり返りました。
ただ「全面安」とは言い切れません。33業種のうち11業種はプラスで終わっています。ここが今日の分かれ目です。
相場を動かした3つのポイント
① 米国で-2.23%だったものが、韓国で-8.10%に増幅されて返ってきた
前日(7/27)のアメリカ市場は、指数だけ見ると静かな日でした。S&P500が+0.02%、NYダウが+0.51%、Nasdaqが-0.18%。恐怖指数と呼ばれるVIXも18.67で落ち着いています。
崩れていたのは半導体だけでした。SOX指数(アメリカの主要半導体株をまとめた指数)が-2.23%、エヌビディアが約-5%。
そして今日のアジアで、これが増幅されます。韓国のKOSPI指数が**-8.10%**まで下がってサーキットブレーカー(値動きが激しすぎる時に取引を一時停止する仕組み)が発動。KOSPIでは今年8回目です。SKハイニックスが-11%、サムスン電子が-9%超。
並べるとこうなります。アメリカ-2.23% → 韓国-8.10% → 日本-3.95%。日本は震源地ではなく、二次波を受けた側です。
同じ日のアジアはどこも下がりました。ただ、下落率がきれいに階段になっていました。韓国-8.10%、日本-3.95%、台湾の加権指数は場中に-4%前後、香港ハンセン-1.27%(25,006.16)、上海総合-1.27%(14:55時点で3,808.95)。メモリーや半導体を多く抱える市場ほど、深く沈んでいる。同じ「アジア株安」という言葉でも、傷の深さは震源からの距離で決まっていました。
ここは最初、香港と上海が場中でプラスや小幅安だったのを見て「震源から遠い市場は平気だった」と書きかけました。でも大引けまで確認したら両方とも-1.27%で、平気ではなかった。場中の数字で結論を書くと逆の話になるところでした。
→ 僕のルール:日本株が大きく下げた日は、まず「日本発か、輸入か」を切り分けます。輸入なら震源地(今日は韓国のメモリー株)が止まるまで日本も止まらないので、日経平均のチャートを見るより先に、SKハイニックスとサムスンの動きを見る順番にしています。
② 下げ幅の約4分の1が、アドバンテスト1社
15時の時点で日経平均が-2,755円だったとき、アドバンテスト1社の押し下げが730円11銭分ありました(株探)。下げ幅の約26.5%が1社です。
半導体の下落率を並べると、キオクシア-18.33%(44,550円・ストップ安)、SUMCO-16.53%、ローツェ-15.16%、KOKUSAI ELECTRIC-14.17%、レーザーテック-14.05%、ディスコ-12.37%、東京エレクトロン-10.96%、SCREEN-10.82%、ソシオネクスト-10.36%、アドバンテスト-10.11%。メモリーと製造装置がほぼ全部2桁安です。電子部品にも飛び火して村田製作所-11.71%、太陽誘電-11.00%。
業種別の下落率下位5つは、非鉄金属-6.89%、電気機器-6.16%、金属製品-5.30%、ガラス・土石製品-5.19%、機械-4.85%。全部「モノを作る側」に固まっています。
ここで気づいたことがあります。7/23はアドバンテストがほぼ1社で日経を押し上げ、7/24はキオクシア1社で下げ幅の28%を作り、そして今日は再びアドバンテストが26.5%。4営業日で3回、指数の動きが1〜3社に集中している。日経平均という数字が、もはや「日本の株全体」を表していないのではないか、という疑いが自分の中で濃くなってきました。
→ 僕のルール:日経平均の数字を見た後、必ず「今日の下げ幅の何%が何社分か」を確認します。1社で25%を超える日は、指数の下げ幅そのものを景気の話として読まないようにしています。
③ 同じ日に、小売+2.17%・空運+1.89%は上がっていた
半導体が地獄だった同じ日に、11業種はプラスです。小売業+2.17%、空運業+1.89%、陸運業+1.10%、輸送用機器+1.09%、食料品+0.82%。
ファーストリテイリングは**+3.33%**(79,950円)で、指数を支える側に回りました。押し上げ寄与の上位はファストリ、KDDI、リクルートHD。内需と通信と人材です。
さらに引っかかったのが決算銘柄の反応でした。カプコンは第1四半期の売上が54%増、営業利益が66%増という強い内容を出して**+0.28%(3,529円)。日東電工は上期の純利益予想を630億円→660億円に上方修正して-0.14%**。どちらもほぼ無反応です。
一方で円谷フィールズHDは通期の上方修正+特別配当を出して**+26.14%でストップ高**(1,930円)。SHIFTが+7.69%、さくらインターネットが+6.90%、富士通が+6.26%。個別の材料が完全に死んでいたわけではないんです。
つまり今日は「全部が売られた日」ではなく、半導体だけが売られ、他はほぼ通常営業だった日。それでも日経平均が-3.95%になるのが、今の指数の構造です。
→ 僕のルール:指数が大きく下げた日は、値上がり業種の数を必ず数えます。11業種がプラスなら「相場全体が壊れた」とは判断せず、下がったセクターの中だけで理由を探すようにしています。
セクターの強弱——「何が買われて、何が売られたか」
売られたのは、AI向け半導体を作る側とその周辺(メモリー、製造装置、検査装置、電子部品、非鉄金属)。買われたのは、AIとほぼ関係のない内需(小売、空運、陸運、食料品)。
構図は極端にシンプルです。「AI設備投資の話」から降りて、「日本国内でお金を稼ぐ話」に乗り換えた1日。
売買代金上位・注目銘柄
・キオクシアHD 44,550円(-18.33%)— ストップ安。売買代金トップ ・ソフトバンクG 5,095円(-4.43%)— AI投資回収懸念の継続 ・アドバンテスト 25,510円(-10.11%)— 押し下げ寄与トップ ・東京エレクトロン 55,920円(-10.96%) ・村田製作所 7,153円(-11.71%) ・三菱UFJ 3,661円(-3.63%)— 下落率は相対的に小さい ・太陽誘電 10,275円(-11.00%) ・フジクラ 4,073円(-5.83%) ・ファーストリテイリング 79,950円(+3.33%)— 代金上位で唯一のプラス ・レーザーテック 37,440円(-14.05%)
売買代金上位10のうち9つが下落で、プラスはファストリだけ。資金が向かった先ではなく、資金が逃げた先が代金上位に並ぶ——下げの日の代金ランキングはこう読むものだと、今日ようやく体で分かりました。
個別株で目立った動き
急落:キオクシア-18.33%(ストップ安)、SUMCO-16.53%、ローツェ-15.16%、KOKUSAI-14.17%、レーザーテック-14.05%。半導体とは関係のない事業(地方創生・在宅医療)のJSHも-16.76%でストップ安になっていて、こうなると銘柄ごとの理由というより地合いの巻き込みだと思います。
急騰:円谷フィールズHD+26.14%(上方修正+特別配当でストップ高)、誠建設工業+15.91%、ハイパー+12.65%、エスポア+12.13%、ベルパーク+11.52%、SHIFT+7.69%、さくらインターネット+6.90%、富士通+6.26%。
面白いのは、ストップ高もストップ安も同じ日に出ていることです。地合いが悪い日は全部沈むイメージがありましたが、業績で上方修正を出した会社はちゃんと買われている。相場全体の空気と、会社ごとの評価は、別々に動く場所があるんだと分かりました。
為替と外部環境
・ドル円 163.70円台(レンジ 163.67〜163.84。ほぼ動かず) ・ユーロ円 186円台前半 ・S&P500(7/27) 7,413.18(+0.02%) ・Nasdaq(7/27) 24,932.08(-0.18%) ・NYダウ(7/27) 52,210.08(+0.51%) ・SOX指数(7/27) 11,554.88(-2.23%) ・VIX(7/27) 18.67 ・WTI原油 $82.61(約-7%) ・金 $4,076(+0.58%)
2つ、通常と違う動きがありました。
1つはドル円が動かなかったこと。株が-3.95%も下がる日は、リスクを避けるお金が円に戻って円高になることが多いです。それが163.67〜163.84円の狭いレンジ。今日の下げが「日本経済への不安」ではなかったことの裏付けだと受け取りました。
もう1つは原油が2日連続で急落したのに、金が上がったこと。WTIは$82.61まで下がりました(前日比で約7ドル、約-7%。下落率はデータ元によって-5%台〜-8%台とばらつきがあるので、幅として受け取っています)。米国とイランの緊張が和らいだ(和平協議再開の観測)ことで、戦争リスク分の値段が抜けています。普通なら金も一緒に下がるはずですが、金は+0.58%で$4,076。**「戦争の心配は減ったけど、株は怖い」**という、行き先の違うお金が同時に動いた形です。
テクニカルで見る今の位置
・日経225 ETF(1321):RSI 35.35(「売られすぎ」と言われる30には届いていない)、MACDは-1,138でシグナル線(-499)を下回る弱気配置 ・TOPIX ETF(1306):RSI 44.65、MACDは-0.8でシグナル線(0.1)とほぼ接触水準 ・アドバンテスト(6857):RSI 39.51、MACD-360.1(シグナル25.9を明確に下回る) ・東京エレクトロン(8035):RSI 33.12、MACD-1,570.1(ヒストグラム-1,914.8で最も深い)
RSI(買われすぎ・売られすぎを0〜100で表す指標)が日経ETFで35.35、東エレクで33.12。30を割っていないのが引っかかります。あれだけ下げても「売られすぎ」の領域に入りきっていない、ということは前の水準がそれだけ高かったという意味で、もう少し下がる余地が数字の上では残っています。
そしてTOPIX ETFのRSIが44.65で、日経ETFの35.35と10ポイント近く差があります。同じ市場の同じ日でも、傷の深さがここまで違う。前回NT倍率で気づいたことが、テクニカル指標でも同じ形で出ていました。
※テクニカル分析はTradingViewのリアルタイムデータに基づく。投資判断は自己責任で。
全体像:売りが激しかった下げではなく、買い手が消えた下げ
震源はアメリカの半導体セクターで、そこから韓国で増幅されて日本に着弾しました。日本の景気やお金の流れが悪くなったわけではないので、小売+2.17%・空運+1.89%が同時に成立し、ドル円は動かず、好決算のカプコンは横ばいで済んでいます。
ここで一番効いている数字が、冒頭に書いた売買代金です。-2,566円の急落日に、売買代金は前日から1.71%減って9兆1,959億円。慌てた売りが殺到する日なら代金は膨らむはずで、減ったということは「売りが激しかった」より**「買う人がいなくなった」**下げに近い。FOMC(7/28-29開催、声明は米国時間7/29=日本時間7/30未明)と日銀会合(7/30-31、結果は7/31)を控えて誰も動かない薄い板を、半導体の売りだけが通り抜けた——そういう1日だったと理解しています。
こういう相場で僕が意識しているのは、下げ幅の大きさと、下げの「重さ」は別物だということです。-2,566円は数字としては大きいけれど、11業種がプラスで、売買代金が増えていない。全員が売っている下げではないので、震源(メモリー株)が止まれば戻る余地もある。逆に、代金が膨らんで全業種が沈む日が来たら、そっちの方が数字が小さくても重い下げだと考えます。
今日の迷い・判断メモ
迷ったポイント:前回立てた仮説②(NT倍率15.9以下=TOPIX優勢の定着)が、トリガー通りに「15.73」で引けたとき、これを✅にすべきか迷いました。数字は完全に条件を満たしています。
結局どう考えたか:✅にしつつ「中身は真逆」と併記しました。前日の低下はTOPIXが上がった結果で、今日の低下は日経が壊れた結果です。トリガーは満たしたけれど、自分が確認したかった「TOPIXに資金が向かうトレンド」は確認できていない。ここを✅だけで済ませると、明日の自分が「TOPIX優勢は定着した」と誤読します。トリガーの達成と、仮説の意図の達成は別だと分けて書くのが誠実だと判断しました。
後から振り返って:これは仮説の書き方の問題でした。「NT倍率が15.9以下」ではなく「TOPIXがプラスで日経を上回る」と書いておけば、今日は自動的に判定不能になったはずです。数字だけの条件は、想定と逆の理由でも達成されてしまう。明日以降のトリガーは、水準だけでなく方向(プラスかマイナスか)も書き込むようにします。今日一番の収穫はこれでした。
もう1つ:売買代金が9兆円台を維持したので、仮説③は最初「❌で終わり」と処理しかけました。でも「9兆円を割らなかった」の裏に「前日より減っている」があるのを見て、書き直しています。❌の仮説を素通りすると、その周辺のデータも一緒に捨ててしまう——外れた仮説の周りを一度覗く習慣を、ルールに足したいと思いました。
自分なら何を確認してから動くか
- SKハイニックスとサムスン電子が前日比プラスで引けたかを確認する。今日の震源はこの2社で、日経平均のチャートを見ても震源の状態は分からない。
- 売買代金が11兆円台に膨らむ日が来たかを確認する。買い手不在の下げは、代金が膨らんで初めて「投げ売りと受け皿が揃った」と判断できると考えている。それまでは反発を数字で信じない。
- FOMC声明(日本時間7/30未明)と日銀会合結果(7/31)を通過するまでは、業種の並びだけを記録する。イベント前の薄い相場での上下は、材料より人がいないことで振れやすいので、意味づけをしすぎないようにする。
明日の観測ポイント
① 仮説:この下げは「買い手不在」型なので、売買代金が膨らむ日が来るまで底は入らない トリガー:7/29の売買代金が11兆円を超える(=投げ売りとその受け皿が同時に出る) 無効条件:売買代金9兆円前後のまま日経が+1,000円以上戻す(=買い手不在のまま自律反発) → 僕のルール:代金が増えないまま戻った相場は、戻りの根拠が「売り疲れ」だけなので、もう一度同じ水準を試しに来ることが多いと考えています。だから代金の裏付けがない反発では動きません。
② 仮説:NT倍率の低下は「TOPIX優勢」ではなく「半導体の傷」だったので、半導体が止まればNT倍率は戻る トリガー:キオクシアとアドバンテストがともにプラス圏で引け、NT倍率が15.8台以上に戻る 無効条件:NT倍率が15.6台以下へ続落(=日経の傷がさらに深い) → 僕のルール:今日の反省を踏まえて、トリガーに「プラス圏で」という方向を入れました。水準だけの条件は、想定と逆の理由でも達成されてしまうので、方向とセットで書きます。
③ 仮説:FOMC声明(日本時間7/30未明)までは、半導体以外へ資金が逃げ続ける トリガー:7/29も小売・空運・陸運などの内需系が値上がり業種の上位に残る 無効条件:値上がり業種が5業種以下に減る(=セクター選別から全面リスクオフへ移行) → 僕のルール:値上がり業種の数を毎日カウントして、11 → 5 → 2 のように減っていく流れが出たら「セクターの問題」から「相場全体の問題」に切り替わったと判断します。この数え方はコストゼロで続けられるので、指標として気に入っています。
明日この仮説がどうなったか、また振り返ります。気になることがあればコメントで。
今日の3語メモ
「-2,566円」「売買代金9兆1,959億円(前日比-1.71%)」「11業種プラス」 — この3つを覚えておけば、7/28の日本株は思い出せます。大きく下げた日に、代金が増えていなくて、上がった業種が11もあった日、と。
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この記事はjiyon(@jiyon_kizuku)の相場振り返りシリーズです。 投資判断は自己責任でお願いします。データは2026年7月28日時点のものです。
