6月CPI(消費者物価指数=物価がどれだけ上がったかを測る指標)が予想を大きく下回り、Fed(アメリカの中央銀行)の利上げ確率が一夜で40%→20%と半分になりました。2年債の利回りは最大-14bpと、コロナ以降で最大級の下げ幅です。市場は「Fedはやっぱり動かない」と一斉に安心を織り込み、指数は反発しました。
ただ、同じ日にIBMが予備決算警告(正式な決算発表の前に「見通し悪い」と会社が事前に開示すること)を出し、株価は-24〜26%と社史上最悪の1日下落を記録。指数のプラスの裏で、個別のショックが中身を大きく割った日でした。
もう一つ、忘れちゃいけないのが原油。米・イラン紛争が激化して、Brent(欧州の原油指標)は+4.72%で$87台に急騰。「CPI(6月の過去のデータ)は冷えたのに、今の原油(7月・未来のインフレ材料)は燃えている」という、時間軸のねじれが今の相場を難しくしています。
前回の仮説チェック
前回(7/10)に立てた3つの仮説を、今日のデータで答え合わせします。
仮説①: 7/14 CPIが市場予想を上回れば利上げ懸念で株が崩れる、予想通り〜下回れば安心買い トリガー: CPI総合YoYが予想(3.8%)以下 結果: ✅ 確認された(総合YoY 3.5%、コアYoY 2.6%、いずれも予想を大きく下回った) 学び: 「予想通り〜下回れば安心買い」の仮説どおり指数はプラスに反発。ただし7/10終値SPY $754.95→7/14終値$751.83と、間に7/13(月)の地政学ショックがあって完全には戻せていない。「予想を大きく下回った」割にはCPI後の上げ幅は控えめだった、というのが正直な感想。原油急騰が水を差した可能性が高い。
仮説②: メモリー株の「代替効果 vs 相乗効果」の綱引きは、SK Hynix上場後も続く トリガー: 今週もミクロンが軟調・SK Hynixが堅調なら代替効果、両方揃って上げるなら相乗効果 結果: ⏳ 未確定(今日はメモリー株個別の値動きを取れる一次データが不足) 学び: ただし今日IBMが「顧客がメモリ・サーバー確保に設備投資を急シフトした」ことを予備警告の要因として挙げていて、BarclaysがSK hynixに新規Overweight(目標株価$330)を出した。IBMの警告が意図せずメモリ需給逼迫観測を強めたという副産物は起きている。ただ具体的な株価反応は明日以降。
仮説③: 指数の「狭い上げ」(メガキャップ集中・小型株弱)が続く トリガー: 来週もラッセル2000がマイナス・上げがNVDA/META頼み 結果: ⏳ 部分継続(ラッセル+0.39%は反発、でもNASDAQ内は51%が値下がり) 学び: ラッセル2000は反発したので「小型株が完全に置いていかれた」わけではない。ただMag7の中でもNVDA+4%とAAPL-0.7%/MSFT-1.5%で分裂は継続、NASDAQ銘柄の51%が値下がりしているのに指数だけプラスという「上げは狭いまま」の性質は変わっていない。「幅は少しだけ広がったが、まだ健全とは言えない」が今の位置。
主要指数
・S&P500 7,543.59(+28.25 / +0.38%) ・Nasdaq 26,107.01(+233.83 / +0.90%) ・NYダウ 52,508.27(+9.63 / +0.02%) ・ラッセル2000 2,964.76(+11.60 / +0.39%) ・VIX(恐怖指数) 16.50(-0.66 / -3.85%)
VIX(株式市場の不安の大きさを示す数字。上がるほど市場が怖がっている)は16.50と低い水準で、CPI発表後にさらに-3.85%と下げました。「Fedが動かないなら怖がることは減った」というシンプルなメッセージです。Fear & Greed Index(CNNが出す市場心理の指標。0-100で0が極度の恐怖、100が極度の楽観)は43.8で、まだ「Fear」ゾーン。VIXの落ち着きと市場心理のFearが同居していて、「不安は減ったけど、まだ楽観にはなれない」という等身大の位置です。
今日の指数を見てひとつ気づいてほしいのが、Nasdaqが+0.90%と最も強かったのに、NASDAQ銘柄の51%は値下がりしていたこと。時価総額の大きいハイテク大手(NVDA+4%など)が指数を押し上げた一方で、中小型ハイテクは半分以上が下げていた。「Nasdaqがプラスだった=ハイテク全体が強い」ではないことを、まず頭に入れておいてください。
相場を動かした3つのポイント
① CPIが予想を大きく下回り、Fed利上げ確率が40%→20%に一夜で半減
6月CPIは総合YoY +3.5%(予想+3.8%)、コアYoY +2.6%(前月+2.9%、予想+2.9%)と、総合もコアも予想を大きく下回りました。特にコアCPI月次(MoM)は0.0%(予想+0.2%)と、月次でみるとインフレはほとんど止まっている水準。エネルギー価格が-5.7%(1ヶ月の下落幅としては2020年4月以来最大)で総合を押し下げたのが主因です。
この結果、CME FedWatch(先物市場から利上げ・利下げ確率を推定するツール)で7/29会合の据え置き確率は発表前の58.3%→85.6%へ跳ね上がり、市場が織り込んでいた利上げ確率は40%超→約20%と一夜で半減しました。2年債(Fedの金融政策の期待を最も敏感に反映する短期金利)は最大-14bpと、コロナ以降で最大級の下げ幅。10年債はほとんど動かず(-2bp)、2年-10年のスプレッドが一気に広がる「ブルスティープ化」(利下げ・据え置き期待で短期金利だけ急降下する形)が起きました。
→ 僕のルール:CPI1本の数字で「Fedは動かない」と決めつけない。市場は勢いで織り込みすぎることがある。実際、CPIより上流にあるPPI(生産者物価指数)が7/15に控えていて、そこで数字が逆転すれば「CPI1回の低下は一時的」と評価が変わる可能性もある。1つの指標で流れを断定せず、上流〜下流のインフレ像を組み立ててから判断する。
② IBMが予備決算警告で-24%、社史上最悪の1日下落
IBMが正式決算発表の前に「Q2予備警告」を出しました。売上$17.2Bと予想$17.86Bを大幅に下回り、株価は-24〜26%と1日下落幅としては同社史上最悪。HSBCも即日Hold→Reduceに格下げし、目標株価$231→$191へ引き下げました。
面白いのは警告の理由です。「IBMのメインフレーム(Zシリーズという企業向け大型コンピュータ)のTransaction Processingソフトの需要が想定を下回った」ことに加えて、「顧客企業が価格上昇前にメモリ・サーバーを確保する動きに設備投資を急シフトした」ためと説明されました。つまり顧客はお金を使わなくなったんじゃなくて、お金をIBMのソフトじゃなくメモリ・サーバーの物理的なハードに回した、というローテーション(お金の流れ先の変更)の話です。
その副産物として、Barclaysが同日SK hynix(韓国のメモリー大手)に新規Overweight(買い推奨)、目標株価$330を提示。CrowdStrike +11%、Palo Alto Networks +7%とサイバーセキュリティ株も急伸しました(IBM CEOが「顧客がサイバーセキュリティ懸念に振り回された」とコメントしたのが引き金)。IBM 1社の警告が、メモリ・セキュリティという別セクターの資金流入を作った1日でした。
→ 僕のルール:1社の予備警告は「その会社固有の問題」か「業界全体の兆し」かを、翌日〜2日目の関連セクターの動きで判定する。今日IBMを下げた資金がメモリやセキュリティに流れているなら、来週それが続くかで「1日限りの連想買い」か「本物のCapExローテーション」かが分かる。
③ 米・イラン紛争激化で原油急騰、それでも株はCPI軟化で反発
7/13(月)はTrump大統領が「ホルムズ海峡通過全船舶に20%通行料を課す」と表明→撤回→軍事衝突は継続、という荒れた地政学ニュースでDowが下落しました。7/14当日もWTI原油+3.4%($80.80)、Brent+4.72%($87.23)と急騰。エネルギーETF XLE(エネルギー株の詰め合わせ)は+3.2%上昇しました。
普通ならこの原油急騰は「7月以降のインフレ再燃リスク」として株の売り材料になるはず。でも今日の相場は「先に出た6月CPIの安心感」を優先して株を買いに行きました。過去のインフレデータ(6月・冷えた)と未来のインフレ材料(7月の原油・燃えている)を、市場は「過去」を選んで織り込んだ、というのが今日のねじれの正体です。
→ 僕のルール:地政学リスクは「今の株価」ではなく「翌月のCPIに乗ってくるコスト」で考える。原油高がインフレに乗るまでには1〜2ヶ月のタイムラグがある。今日の反発を「地政学リスク織り込み済み」と読むのは早すぎる可能性がある。
セクターの強弱——「何が買われて、何が売られたか」
今日の11業種の騰落を並べると、こうなります。
上げたセクター(グロース系・景気敏感系)
- Technology +1.86%(半導体主導)
- Basic Materials +1.48%
- Communication Services +1.18%
- Financial +0.44%(銀行決算好感)
- Energy +0.39%(原油急騰)
下げたセクター(ディフェンシブ系+IBM要因)
- Healthcare -1.62%(IBMのドラッグ含む)
- Consumer Defensive -1.16%
- Real Estate -0.16%
- Consumer Cyclical -0.03%
構図を一言でまとめると、「Fedが動かないなら金利は下がる → グロース株を買う」というCPI後の教科書どおりのローテーション。金利低下でグロース(成長株。テクノロジー、通信サービスなど)が買われ、金利が下がると魅力が薄れるディフェンシブ(生活必需品、ヘルスケアなど)が売られました。CPI軟化のシナリオがきれいにセクターに映った日です。
Mag7(超大型テック7社)の動き
・NVDA +4.06%($211.80)── 反発リーダー ・GOOGL +1.9%($357.33)── AI関連買い ・META +0.7%($661.04)── 続伸 ・TSLA +0.36%($396.18)── 小幅高 ・AMZN +0.2%($247.49)── ほぼ横ばい ・AAPL -0.7%($314.86)── KeyBanc格下げ影響 ・MSFT -1.5%($384.93)── 弱含み
Mag7の中でもきれいに二分しました。NVDA+4%・GOOGL+1.9%の「AI2大巨大株」が指数を押し上げた一方で、AAPLとMSFTの2社は下げ。AAPLはKeyBankがSector Weight→Underweight(推奨引き下げ)、目標株価$250と発表したのが直接の逆風です。**「CPI軟化でハイテク全部が買われた」ではなく、「AIに強く見える2社が特に買われた」**というのが実態。前回7/10の記事で書いた「AIの2枚看板だけが強い」構図は、看板の顔ぶれ(NVDA・METAからNVDA・GOOGLへ)は変わりつつも、性質としては継続中です。
個別株で目立った動き
急騰
- IBM関連メモリ・セキュリティ株
- Tower Semiconductor(TSEM) 終値+11.24%(日中は+13.74%まで上昇) ── Marvellと共同のAIフォトニクス出荷拡大、日本30億ドル拡張計画
- CrowdStrike(CRWD) +11% ── IBM CEO発言起点のサイバー買い
- Palo Alto Networks(PANW) +7% ── 同上
- CleanSpark(CLSK) 終値+8.82%(プレマーケットは+15%まで上昇) ── Georgia データセンター20年インフラリース$6.6B
急落
- IBM -24〜26% ── 予備決算警告、社史上最悪の1日下落
- AppLovin(APP) -12.65% ── 5日連続下落、自社材料なし(AI/半導体リスクオフ+地政学の巻き添え)
面白かったのはAppLovin -12.65%です。決算警告もなく、自社の悪いニュースもなく、それでも5日連続で下げて今日は-12%。「材料はないのに下がる」は、市場全体で「モメンタム系(勢いで買われてきた銘柄)から資金が抜けている」時に起きるパターン。AppLovinはこの1〜2年で最も上げてきたAI関連銘柄の1つで、上げが大きかった分だけ利益確定売りが集中しやすい位置にいます。指数がプラスでも、モメンタム系の中では静かに資金が抜けている──そういう「表と裏の乖離」も、今日は起きていました。
マクロ環境(大きな経済の流れ)
・米10年債利回り 4.583%(前日から-2bp超) ・米2年債利回り 4.185%(前日から-7bp、日中安値4.14%) ・米30年債利回り 5.096〜5.102%(ほぼ横ばい) ・10年-2年スプレッド 約+0.40%(ブルスティープ化) ・ドル円 162.20円(前日から-0.15%と小幅な円高) ・DXY(ドルの総合的な強さ) 100.91(-0.35%) ・WTI原油 $80.80(+3.40%) ・Brent原油 $87.23(+4.72%) ・金(ゴールド) 約$4,013(-2.6%)
今日はイールドカーブ(利回り曲線)のブルスティープ化が最大のトピックです。ブルスティープというのは「短期金利(2年債)だけが急降下して、長期金利(10年債)はあまり動かない」形。Fedが動かないと市場が信じると、Fedの政策金利を反映しやすい短期金利だけが下がる、というのが典型です。今日はまさにその教科書どおりの形が出ました。
もうひとつ気になったのが、ホルムズ海峡発の地政学リスクが続いているのに、金(ゴールド)は-2.6%と下げたこと。普通なら地政学の火種があれば「安全資産」として金が買われるはずですが、今日はCPI軟化で「Fedは動かない=リスクを取っていい」という流動性ドライブ(お金がリスク資産に向かう流れ)が勝って、安全資産の金が売られた、というのが僕の理解です(これは仮説)。7/13の記事でも「地政学の日に金が-1.4%」を実質金利で説明したのと同じ構図が、今日はさらに強く出た形です。
経済指標:CPI以外の主要指標は当日発表なし。ただしFed議長Kevin Warsh氏(今のFed議長です)が下院金融サービス委員会で半期議会証言を行い、「インフレ高止まりへの許容度はゼロ」と発言しました。7/15には上院銀行委員会でも証言予定で、明日以降のFed高官発言もイールドカーブに影響する可能性があります。
FedWatch(CME):7/29会合の据え置き確率85.6%/利上げ確率約20%。9月会合の利上げ確率は約53%、据え置き約40%と、依然「利上げvs据え置き」の綱引きが続く局面です(利下げは市場コンセンサスに入っていません)。
テクニカルで見る今の位置
TradingView(チャート分析ツール)のリアルタイムデータで、今の立ち位置を整理します。
・S&P500(SPY):終値$751.83。RSI(買われすぎ・売られすぎを0-100で測る指標。50が中立、70超で買われすぎ)56.04で中立寄り強気。MACD(勢いを見る指標)3.30 / Signal 2.60 / Histogram +0.69でゴールデンクロス継続。移動平均線は短中長期すべて上向きで、指数はまだ上昇トレンドの中にいる位置。 ・Nasdaq(QQQ):終値$719.69。RSI 50.69で完全に中立。ただしMACD 0.90 / Signal 2.18 / Histogram -1.28で、デッドクロス接近(勢いが下向きに転換しそうな形)。指数はプラスでも勢いは弱いという「ねじれ」が7/10から拡大している。 ・NVDA:終値$211.80。RSI 56.39、MACD Hist +1.67で底打ち反発サイン。今日の+4%はテクニカル的にも整合。 ・AAPL:終値$314.86。RSI 61.45、MACD Hist +2.33でゴールデンクロス継続だが、KeyBank格下げで当日は逆風。テクニカルは強気でもファンダ(アナリストのレーティング)が引きずった典型。
チャートを見て気づいたのは、SPYはまだGCが続いていて上昇余地はあるけど、QQQはDC接近で勢いは減退中というねじれです。指数はプラスでも、内部の勢いは弱まりつつある。前回7/10でも同じ「QQQのMACDが弱い」ねじれを指摘したのですが、今日はそれがさらに拡大しました。上げの土台がハイテク大手の一部(NVDA・GOOGL)に頼っている状態が続いていて、この2社がコケた時に指数も一緒に崩れやすい構造は残っている、と僕は見ています(これは仮説です)。
※テクニカル分析はTradingViewのリアルタイムデータに基づく。投資判断は自己責任で。
全体像:「Fedが動かない」と信じた1日、でも中身は割れていた
今日の流れを一本の線にすると、こうなります。6月CPIが総合・コアともに予想を大きく下回る → 市場は「Fedは利上げしない」と一斉に織り込み直す → 2年債が-14bp、Fed利上げ確率は40%→20%に半減 → グロース株にお金が回りNasdaq+0.90%。ところが同じ日にIBMが予備決算警告で-24%(社史上最悪)、AAPL/MSFTのMag7ラガードも下げ、NASDAQ内は51%が値下がり。指数はプラスでも上げの中身は半分だった。
こういう相場で僕が意識しているのは、「マクロ(大きな流れ)と個別(1銘柄の話)は別レイヤー」ということです。CPIとFedというマクロは間違いなく追い風。でもその追い風の中で、IBMの予備警告のような個別の悪材料が刺されば、指数のプラスの裏で個別株は大きく崩れる。「マクロが良いから買っておけば大丈夫」ではなく、マクロが良い日ほど「どの個別が置いていかれているか」を分解する。今日で言えば、CPI追い風でグロースが買われた一方で、IBMは-24%、AppLovinは-12%、AAPLはアナリスト格下げで-0.7%。マクロの追い風が全銘柄に平等に効くわけじゃない。
今日の迷い・判断メモ
迷ったポイント:CPIが総合・コアともに大きく予想を下回ったのに、SPYが+0.36%と控えめだったこと。7/10終値$754.95→7/14終値$751.83で、CPI大幅軟化のインパクトのわりには戻り幅が小さい。ここで「実はCPI後の織り込みは市場が思ってるほど強くない、上げが弱い=翌日以降失速する」と警戒したほうがいいのか、それとも「7/13の地政学ショック分を戻せていないだけで、これから追いつく」と楽観していいのか、判断がつかなかった。
結局どう考えたか:「どちらとも決めつけず、明日以降のPPIとエネルギー動向で確認する」と保留にしました。理由は2つ。①CPIの好結果はコア0.0%(MoM)まで冷えているので、単独では非常に強い材料。それでも上げが控えめだったのは、原油+4.72%が「7月インフレ再燃」を意識させて上げを削った可能性が高い。②QQQのMACDがDC接近と、テクニカル的にはむしろ弱含みのサインが出ている。マクロの好材料と、勢いの弱さと、原油の逆風が同居している状態で「反発が本物」と断定するのは早い。
後から振り返って:現時点では判断は維持。ただ、「マクロの数字の良さ」と「株価の反応の弱さ」の乖離を測る自分なりの物差しがまだないことに気づきました。CPIが予想を0.3%下回ったなら、通常SPYはどれくらい上がるはずなのか、その基準がない。過去のCPI発表日の株価反応を数個並べて「予想差 → 株価反応」の相関を大雑把に持っておくと、今日みたいな「大きな好材料に対して反応が控えめ」の違和感を数字で判断できるようになる。次のCPIまでにこの物差しを作りたい。
自分なら何を確認してから動くか
今日の相場を受けて、次にアクションを取る前に確認したい3つ。
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7/15のPPI(生産者物価指数=物価の上流を測る指標)の結果。CPIは下流(消費者向け)の物価で、PPIはその上流。PPIが同じように予想を下回れば「インフレ抑制シナリオ」が強化される。逆にPPIが予想を上回れば「CPIの軟化は一時的、上流はまだ熱い」で今日の織り込みが巻き戻される。マクロの数字は1本で決めつけず、上流〜下流の全体像を組み立ててから判断する。
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来週もラッセル2000・NASDAQ内の値下がり銘柄比率が改善するか。今日はラッセル+0.39%だったが、NASDAQ内は51%が値下がりのまま。「幅は少し広がったが健全とは言えない」状態。ラッセルとMag7ラガード(AAPL/MSFT)の両方が翌週プラスに転じるまでは、指数のプラスを「相場全体が強い」とは受け取らない。
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原油とドルの動きを毎日追う。Brent $90超えは「7月インフレ再燃」の警戒ラインとして自分の中で意識しておく。逆に停戦報道でBrentが$80割れなら「原油リスクは過去のもの」で今日の反発が正当化される。原油はマクロインフレの先行指標として、CPIより先に自分のダッシュボードに置く。
明日の観測ポイント
① 仮説: 7/15のPPI(6月分)がCPI軟化を追認する トリガー: PPIコアYoYが予想以下 → 「インフレ抑制シナリオ」がさらに強化、10年債4.5%割れ・グロース株継続買い 無効条件: PPIが予想を上回る → 「CPIは一時的、上流はまだ熱い」でFed利上げ観測が復活、株軟化 → 僕のルール:CPI1本の数字で「Fedは動かない」と決めつけない。PPIまで見て初めて上流〜下流のインフレ像を組み立てる。
② 仮説: ホルムズ海峡発の原油高がCPI軟化の効果を打ち消しに来る トリガー: Brent $90超え or 米軍のイラン追加攻撃報道 → 7月インフレ再燃警戒でFed利上げ観測復活、株軟化 無効条件: 停戦・タンカー通航再開の報道 → 原油急落で「利上げ懸念消えた・インフレ低下」で全面高 → 僕のルール:地政学は「今の株価」ではなく「翌月のCPIに乗ってくるコスト」で考える。原油高がインフレに乗るまで1〜2ヶ月のタイムラグがある。
③ 仮説: IBM警告発のメモリ・セキュリティローテーションが続く トリガー: SK hynix・Micron・CrowdStrike・PANWが週内も強い → 「IBMの警告は業界全体のCapExシフトを示唆」で本物のテーマ 無効条件: メモリ・セキュリティ株がIBM警告翌日には失速 → 「1日限りの連想買い」で狭いテーマで終わる → 僕のルール:1社の予備警告発のローテーションは、翌日〜2日目の連想買いの持続性で本物か判定する。
明日この仮説がどうなったか、また振り返ります。気になることがあればコメントで教えてください。
今日の3語メモ
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「CPI大幅軟化で利上げ確率が40%→20%に半減」:総合YoY 3.5%・コアYoY 2.6%と予想を大きく下回った。市場は一夜で「Fedは動かない」と織り込み直し、2年債は最大-14bpとコロナ以降で最大級の下げ。金利低下で教科書どおりグロース株が買われた1日。
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「IBM -24%、社史上最悪の1日下落」:正式決算前の予備警告で株価急落。理由は「顧客がメモリ・サーバー確保に設備投資を急シフト」というローテーションの話。副産物としてSK hynix買い推奨、サイバーセキュリティ株急伸。1社の警告が別セクターの資金流入を作った日。
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「6月CPIは冷えたのに、7月の原油は燃えている」:Brent+4.72%とホルムズ海峡発の原油急騰は継続中。過去のインフレ(6月CPI・冷えた)と未来のインフレ材料(7月の原油・燃えている)が同居している状態で、市場は今日「過去」を選んで買った。この時間軸のねじれを頭に入れておく。
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この記事はjiyon(@jiyon_kizuku)の相場振り返りシリーズです。 投資判断は自己責任でお願いします。データは2026年7月14日時点のものです。

