値上げなら、誰かが気づきます。請求書を見ている人がいるからです。
でも今日GitHubが出した告知の中身は、請求額に出ません。 Copilotのチャットデータの保存期間が、9月28日以降、28日間からアカウントがある限りに変わります。会社のコードや業務の相談をAIに投げている会社にとって、これは社内ルールの書き換えが要る話です。
そして厄介なのは、この一文が**「ポリシーと課金についてのお知らせ」という見出しの記事の、統合機能の説明文の途中に挟まっている**ことでした。僕は最初、課金の話だと思って閉じかけました。
前回の宿題の答え合わせ
昨日の記事で「来週見る」と書いた4つのうち、動きがあったものと、なかったものを分けます。
① Nvidia×Hugging Faceの公式発表 → 出ていません(4日目)
両社ノーコメントのまま。ただし今日、この件が単発の話ではなかったことが分かりました(TOP3の②で詳しく書きます)。
② 116社の共同書簡の原文特定 → できていません
TechCrunchの記事では「100社超(100 other companies)」という表記でした。昨日僕が書いた「116社」の裏がまだ取れていません。資料に書くなら「100社超」で止めます。
③ デジタル化・AI導入補助金2026 第6次の日程 → 公式は9日連続で未公表
今日も公式スケジュールページを開いて確認しました。通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠の確定締切は「2026年9月29日(火)17:00」(5次)のままで、6次の日付欄は空です。 そして「2026年10月30日(金)17:00」は、公式では複数者連携デジタル化・AI導入枠の3次締切として載っています。昨日の判断で合っていました。
④ 省力化投資補助金 第8回の受付開始 → 変化なし(7日目)
「申請受付開始:2026年9月中旬(予定)」「公募締切:2026年10月中旬(予定)」のまま。事務局への電話確認は7日連続で未実施です。ここは正直に書きます。7日間「予定という表示を眺める」を繰り返しているので、今週中に電話します。
注目ニュース TOP3
① Copilotのチャット履歴が「28日で消える」から「アカウントがある限り残る」に変わる
何が起きたか:GitHubが8月28日、Copilotのポリシーと課金についての予告を出しました。9月28日以降、いまバラバラに動いている3つ(Copilot cloud agent/github.com上のCopilot Chat/GitHub MobileのCopilot Chat)が1つに統合されます。その結果、github.com上のCopilotのチャットデータの保存期間が、28日間からアカウントの存続期間中に変わります。
原文はこうです。"chat data will be retained for the life of the account instead of 28 days"。
同じ告知に、課金の変更も書かれています。9月1日から Copilot Business / Enterprise の新規サインアップ受付が再開され(こちらもクレジットカードまたはPayPal払いが対象)、10月1日から クレジットカードまたはPayPal払いの既存Business / Enterprise顧客について、割り当て済みシート分が次の課金サイクル開始時に前払い課金になります。あわせて Copilot code reviewのデフォルトのレビュー強度が Lite から Balanced に変わります(9月28日から)。
正確に書いておくと、価格そのものが上がるとは書かれていません。変わるのは請求のタイミングです。そしてFree / Pro / Pro+ といった個人向けプランについては、この告知に一切言及がありません。
なぜ重要か:3つの変更のうち、課金の2つは経理が気づきます。金額の話だからです。
保存期間の変更だけは、誰も気づきません。 請求書に何も出ないからです。社内でAIツールを使っていいと決めたとき、たいてい「28日で消えるので」という説明が根拠のどこかに入っています。その根拠だけが、9月28日に静かに古くなります。
僕がこの記事で今日いちばん学んだのは、変更の中身そのものより、大事な変更が見出しに出ないことがあるというほうでした。見出しは "policies and billing" です。主役は課金です。保存期間は、統合の説明の副作用として1文で書かれている。これは今後のベンダー告知の読み方を変える話です。
→ 採用・中小企業への影響:Copilot Businessを使っている会社なら、9月28日より前にやることは1つです。社内のAI利用ルールを開いて、「データの取り扱い」の欄に保存期間の記述があるかを見る。 あれば、そこが今回ズレます。多くの中小企業はそもそもルールを持っていないので、その場合は「持っていない」と分かるだけでも収穫です。
→ 個人の実務・副業への影響:クライアントのコードをCopilot Chatに貼っているなら、9月28日以降それはアカウントがある限り残ります。守秘義務のある案件を持っている人には、契約の話に触れます。ただし個人向けプランが対象かどうかは、今日の告知からは分かりません。「たぶん大丈夫」で流さず、9月末に読み直すのがいちばん安い対策です。
僕は今日、この告知を最後まで読み直しました。最初に読んだときは課金のところで止めていて、保存期間の一文は完全に飛ばしていました。ベンダーの告知は、見出しで重要度を判断すると取り落とします。
② 「オープンなAIを作る会社」が買収の本命になっている。ただし使っている企業は6%
何が起きたか:昨日書いたNvidiaによるHugging Face買収交渉が、単発ではなくパターンの一部だったという整理記事が出ました(TechCrunch、8月28日)。挙がっている案件は3つです。
- Nvidia × Hugging Face:130億ドル(報道ベース。両社ノーコメント・未署名)
- Nvidia × Poolside:60億ドル
- Stripe × OpenRouter:70億ドル超
理由として記事が挙げているのは、①モデルを作る会社が自前でチップまで作り始めたことへのNvidiaの対抗 ②開発者のユーザーベースを押さえればチップと標準に誘導できる ③推論コストを下げたい(中国勢との競争)④Stripe側の理屈として「トークン(AIが処理する文字のかたまり。処理量に応じて課金される単位)は企業にとっての中央通貨」だから、という4点でした。
ここが今日いちばん引っかかった数字です。
- オープンウェイトモデル(重みが公開されていて自社サーバーで動かせるAI)を使っている企業:6%(Ramp調査)
- ソフトウェアエンジニアの利用率:2%(Jellyfish計測)
なぜ重要か:普及率6%のものに、130億ドルの値段が付いています。この歪みは2通りに読めます。「これから伸びるから先回りしている」とも読めるし、「使われていないものに値段が付いている」とも読める。どちらが正しいかは、今日の情報では決められません。 決められないので、決めずに書きます。
ただ、中小企業への提案という文脈では、どちらの読みでも結論が同じになります。
→ 採用・中小企業への影響:「応募者の個人情報を外に出したくないので、AIを自社サーバーで動かせないか」という相談は、地方の中小企業からも出ます。今日の数字は、その相談への答え方を1段はっきりさせてくれました。企業全体で6%しか使っていない。 つまり、社内に運用できる人がいない会社が手を出すと、動かすところまではできても、その後の面倒を見る人が社内にも周りにも少ない。
僕が提案書に書くならこうします。「オープンモデルの自社運用は技術的には可能ですが、継続運用できている企業は多くありません(企業採用率6%/Ramp調査)。まず外部サービスを社内ルールで縛って使うところから始め、データ保護の要求水準が上がった段階で再検討することを推奨します」。選択肢としては残す。でも初手では選ばない。
→ 個人の実務・副業への影響:オープンウェイトモデルを触れる人は、いま希少な2%側にいます。ただそれが仕事になるかは別で、企業側の採用率が6%である以上、「組める」だけでは案件の母数が小さい。食えるとしたら、たぶん「組める」より「組まない判断も含めて提案できる」ほうです。
③ 27卒の新卒採用は「3月一斉スタート」が崩れた。過半数が年内に選考を始めていた
何が起きたか:学情が、全国の企業採用担当者618人に聞いた27卒採用の振り返り調査です(調査は2026年6月1日〜19日、HRプロが8月27日に紹介)。
エントリーシートの受付を始めた時期は、「3年生の3月」が19.1%で最多。ただし前年から約10ポイント落ちています。「3年生の10月」が14.4%、「3年生の12月」が13.9%と続きます。
内々定を出した時期は、「3年生の12月」が18.5%で最多、「3年生の3月」と「4年生の4月」が各15%、「3年生の1月」12.3%、「3年生の2月」8.3%。
そして決定的な1つ。「3年生の12月まで」に選考を開始した企業が56.1%。過半数です。
なぜ重要か:かつて「3月広報解禁」という高い山が1つあった場所に、いまは10月・12月・3月の低い丘が3つ並んでいます。最大だった3月ですら19.1%しかなく、どの月にも過半数がいません。
なお、この調査には中小企業に限定した集計も、AI活用についての設問も含まれていません(記事本文で確認しました)。ここは推測せずに書いておきます。
→ 採用・中小企業への影響:ひとり人事の会社にとって、これは単純に悪いニュースです。年に1回の準備が、年3回になったという話だからです。求人票も、説明会資料も、スカウト文面も、別々の学年・時期に向けて作り直すことになります。ひとり人事にその時間はありません。
だからここがAIの効き所です。 断っておくと、AIで「いい採用」ができるようになるわけではありません。効くのは回数が増えた部分だけです。求人票の職種・時期違いのバリエーション、スカウト文面の対象学年別の書き分け、説明会資料の同じ内容の作り直し。どれも「ゼロから考える」仕事ではなく「一度決めたことを形を変えて何度も出す」仕事で、ここは生成AIがいちばん外しません。
逆に、どの月に山を張るかは自動化できません。 56.1%が年内に動いているという事実を前に、自社も年内に出るのか、あえて3月に絞って出遅れた学生を取りにいくのか。これは経営判断です。ここを人が握っているかどうかが、AIを入れて速くなる会社と、速く的外れになる会社の分かれ目になります。
→ 個人の実務・副業への影響:正直に書くと、この項目に個人・副業の示唆はほとんどありません。無理に接続すると嘘になるので書きません。
AIツール・アップデート情報
・ChatGPT / Codex:Gmail・Googleカレンダー・Google連絡先の複数アカウント接続に対応(8月28日) 1つの会話の中で個人用と仕事用を併用できるようになりました。報道では対象プランは Plus / Pro / Business / Enterprise とされていますが、プラン名の列挙まで確認できる一次ソースには到達できていません(利用可否はプランと管理者設定で変わる、という記述までは確認できました)。→ 副業と本業でアカウントを分けている人は、切り替えの手間が消えます。 毎日発生していた小さな摩擦が消えるタイプの更新は、実際いちばん効きます。※OpenAIの公式サイトが取得できず、報道経由の情報です。
・GitHub:Copilot code review に「解決理由」が追加(8月27日) 指摘をなぜ解決扱いにしたかを残せるようになりました。→ 内製化支援で「AIの指摘をどう捌いたか」の記録が要る現場には効きます。
・Cursor:リポジトリなしでゼロから始められるように(8月27日) → 既存コードがない状態から試作する用途に。社内の小さな業務ツールを作ってみる入口が1段下がります。
・Hugging Face:音声認識のランキング(Open ASR Leaderboard)に初のグローバルサウス言語が追加(8月28日) 追加されたのはヒンディー語で、多言語タブに載った初のインド系言語です。→ 外国人材の面接記録の書き起こしを考えるなら、遠くない領域の話です。
ツール選びのワンポイント:今日のCopilotの件でもそうですが、ツールを増やすより、いま使っている1つの「仕様変更の告知」を最後まで読むほうが、実務のリスクは減ります。 新しいツールを試す時間より、既に使っているツールの変更点を読む時間のほうが、いまは足りていません。
AIが中小企業の採用・現場をどう変えるか(TSUMUGU視点)
1. 「仕様変更の告知が出た週に、こちらから1通送る」を運用にする
今回のCopilotの件がちょうどいいケースです。やることは3つ、20分で終わります。
- 支援先がCopilot Business / Enterpriseを使っているか確認する(使っていなければ終了)
- 社内のAI利用ルールの「データの取り扱い」欄に、保存期間の記述があるか見る
- 「9月28日以降、github.com上のCopilotのチャットデータの保存期間が28日からアカウント存続期間中に変わります。御社のルールの◯◯が該当します」という5行のメールを送る
ルールを持っていない会社のほうが多いはずです。その場合は「該当する記述がないので今回は変更不要です。ただし記述自体がない状態なので、別途整備を提案させてください」と正直に書けばいい。この1通が、月額をもらっている側の存在証明になります。
「うちは大丈夫ですか」と聞かれてから調べるのでは、順番が逆です。
2. 補助金の日付は、公式ページのスクリーンショットと一緒に渡す
今日も公式を直接開いて確認しました。確定しているのは9月29日(通常枠5次)で、通常枠6次は未定。10月30日は複数者連携枠の3次締切です。 まとめサイトには「通常枠6次=10月30日」と書かれているものがありますが、公式では確認できません。
「10月まで余裕がある」と思っていた会社が、実は9月29日しか確定していなかった。1か月の読み違えは、中小企業の申請準備では致命的です。
3. 分散した採用に対しては、「判断」と「作業」を分けてからAIを当てる
56.1%が年内に選考を始めている以上、いつ出るかの判断は経営が持つ。増えた回数分の作業だけをAIに渡す。この線引きを最初にやらないと、判断ごとAIに預けた会社が、いちばん速く的外れになります。
個人の副業・実務への影響
クライアントのコードをCopilot Chatに貼っているなら、9月末に一度立ち止まってください。
9月28日以降、github.com上のCopilotのチャットデータはアカウントがある限り残ります。守秘義務のある案件を受けているなら、これは契約の話です。
ただし正確に言うと、Free / Pro / Pro+ について、GitHubの告知は何も言っていません。 だから「個人プランも同じになる」とも「個人プランは対象外だ」とも言えません。分からない、が今日時点の正しい答えです。
もう1つ、オープンウェイトモデルの話。企業採用率6%という数字は、この領域を勉強している個人にとって悪い知らせに見えるかもしれません。でも読み方を変えると、「まだ誰も社内に運用者を置けていない」という意味でもあります。 案件の母数は小さい。ただし競合も少ない。どちらを取るかは、時間の使い方の問題です。
今日のまとめ:確定していることと、まだ決まっていないこと
確定していること
- 9月28日以降、github.com上のCopilotのチャットデータの保存期間が28日間からアカウント存続期間中に変わる(GitHub公式)
- 10月1日から、Copilot Business / Enterprise の割り当て済みシートが前払い課金になる(クレカ・PayPal払いの既存顧客)
- 9月28日から、Copilot code review のデフォルトが Lite から Balanced になる
- デジタル化・AI導入補助金2026の確定締切は9月29日(火)17:00(通常枠5次)。10月30日は複数者連携枠の3次
- 27卒採用で、選考開始が「3年生の12月まで」の企業は56.1%(学情・採用担当者618人)
まだ決まっていないこと
- Copilotの個人向けプラン(Free / Pro / Pro+)が保存期間変更の対象かどうか。告知に記載がない
- Nvidia×Hugging Faceの買収。報道ベースのまま、両社ノーコメント・未署名
- デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠6次の締切日(公式は9日連続で未公表)
- 省力化投資補助金 第8回の確定日(「予定」表記のまま7日目)
昨日の記事で、僕は「情報が古いなら更新日で気づける。でも先走っている情報は新しく見えるから、発行元を開くしかない」と書きました。今日はその逆のケースでした。発行元が正しく書いているのに、見出しから外れた場所に置かれていて見落としかけた。
古い情報も、先走った情報も、発行元を開けば防げます。でも「発行元の本文の、見出しに出ていない一文」だけは、最後まで読むことでしか拾えません。
来週の注目ポイント
① Copilotの個人向けプランについて続報が出るか → 今日の告知に一切言及がありません。9月28日までに出るか、出ないまま実施されるかで、副業でコードを書いている層への影響範囲が変わります。出なければ「出なかった」と書きます。
② デジタル化・AI導入補助金2026 第6次の日程/省力化投資補助金 第8回の確定日 → どちらも1週間以上「予定」のままです。9月29日の締切が近づくので、この前後で動く可能性があります。事務局への電話確認を今週中にやります。7日間ページを眺め続けているので、やり方を変えます。
③ Nvidia×Hugging Faceが公式発表されるか、破談になるか → 4日連続で報道ベースのままです。Poolside 60億ドル、OpenRouter 70億ドル超と続く連鎖の起点なので、確定するか消えるかで全体の見え方が変わります。
④ ローカルで動くAIモデルを実際に試す件 → 3日連続で「試す」と書いて試していません。宣言が実行を生んでいないので、注目ポイントから外します。動かせたときだけ、結果とセットで書きます。
今日は、新しいツールの話をほとんどしませんでした。代わりに、もう使っているツールの告知を最後まで読むという話になりました。地味ですが、9月28日を過ぎてから気づくよりはましです。
この記事はHIRO(@hiro_tsumugu)のAIニュースまとめシリーズです。 情報は2026年8月29日時点のものです。
なお本日は、海外メディアのうちReuters・The Verge・Bloomberg・CNBC・Axios・Ars Technicaがいずれも取得できず、国内でも日本の人事部・HRzineが取得できませんでした。海外ニュースとHR領域の国内ニュースには取りこぼしがある前提で読んでください。 OpenAIとxAIの公式サイトも8日連続で取得できていないため、両社の情報はすべて報道経由です。
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