日経平均は3営業日ぶりに反発し、66,232.19円(+2,091.07円、+3.26%)。前週末7/17に-2,694円の歴代5位下げ幅を記録した直後の連休明けで、寄付きは+402円と控えめだったのに、そこから一直線のじり高で高値引けになった。
ただ、今日一番覚えておきたいのは反発の大きさより、**「+2,091円のうち+1,134円(54.2%)はアドバンテスト・SBG・キオクシア・東エレクの4銘柄で稼いだ」**という事実のほう。3日前の暴落を主導した顔ぶれと、今日の反発を主導した顔ぶれが、完全に同じだった。指数は上がっても下がっても、この4銘柄次第で決まる相場が続いている。
前回の仮説チェック
前営業日(7/17)の記事で立てた仮説3つを、今日のデータで答え合わせする。
仮説①: 3連休の間に中東情勢と原油が動けば、その3日分が連休明けの寄り付きに一気に反映される トリガー: WTI原油が連休中に85ドルを超える→火曜は続落スタート。緊張緩和報道が出る→ギャップアップスタート 無効条件: 原油が78〜82ドルのレンジのまま動かず、寄り付きも前日終値近辺で始まる 結果: ⏳ 部分的に外れ。原油は連休中に80.12ドル→83.22ドルまで上放れ(トリガーの85ドルには未達だが、無効条件の78-82ドルレンジは離脱)。それでも寄付きは+402円のプラススタートで、続落はしなかった。「原油上放れ=続落」という想定はハズレたけど、じゃあ「原油の影響は消えたか」というとそうでもない。今日の業種騰落を見ると鉱業+4.91%・石油石炭製品+4.80%が上昇上位で、原油関連は原油関連で買われている 学び: 悪材料が「重なった日」の翌週は、その悪材料が続いていても、別の材料(今日は米ハイテク決算期待+韓国KOSPI高+中国国家隊)で相殺されることがある。1つの材料だけを見て寄付きの方向を当てにいくと、こういう日は外す
仮説②: キオクシアは高値から半値をつけたことで、投げ売りの出尽くしが近い トリガー: 売買代金1位のまま下げ止まり、陽線で終える 無効条件: 売買代金を拡大させながらさらに下落する 結果: ✅ 完全に確認された。キオクシアは+8,950円(+17.18%)の61,060円で陽線引け、売買代金は2兆9,464億円で堂々の1位(2位アドバンテストの約10倍)。日経電子版は「信用買い残が膨らんでいた銘柄への強制買い戻し」と表現していて、僕が想定していた「投げ売りの出尽くし」より一段強い「踏み上げ」が起きた形になる 学び: 高値から半値までいった急落銘柄は、下げ止まったときの戻りが「投げ売りの出尽くし」より一段大きい「踏み上げ」になることがある。信用買い残の水準を先に見ておかないと、この反発の勢いは想定できない
仮説③: 日経平均-4.03%に対してTOPIX-2.72%という乖離は、連休明けに「半導体だけの問題」か「相場全体の問題」かがはっきりする トリガー: 火曜にTOPIXが下げ止まり、日経平均だけが軟調なら「半導体固有の調整」で確定 無効条件: TOPIXも-2%超の下落で追いつき始めたら、全面的なリスクオフへの移行を疑う 結果: ✅ 半導体固有だと確定した。反発局面でも同じパターンが逆向きで再現。今日は日経+3.26%に対してTOPIX+2.44%と、日経の方が0.82pt大きく戻した。7/17の暴落日の乖離(日経-4.03% vs TOPIX-2.72%)と方向が正反対なだけで、「値がさ半導体株が指数を歪める」構造は変わっていない 学び: 「日経とTOPIXのどっちが動きが大きいか」は、下げの日だけじゃなくて上げの日にも使える。犯人探しの指標として、このシリーズで一番使えるツールになってきた
主要指数
・日経平均 66,232.19円(+2,091.07円 / +3.26%) ・TOPIX 4,014.95(+95.74 / +2.44%) ・グロース250 704.07(+8.90 / +1.28%) ・JPXプライム150 1,680.78(+36.29 / +2.21%) ・東証プライム 値上がり1,231 / 値下がり294 / 変わらず33 ・売買代金 9兆9,675億円(前週末の暴落日より減少) ・ドル円 162円台半ば(162.40〜162.54円のもみ合い)
グロース250だけが+1.28%と伸び悩んだのも今日の特徴。値がさ半導体主導の反発だったので、時価総額の小さい新興株までは資金が回らなかった、というのが素直な読み方。
相場を動かした3つのポイント
① 「売られた顔ぶれ」がそのまま「買われた顔ぶれ」になった
日経平均+2,091円のうち、アドバンテストが単独で+512.89円、SBG+263.08円、キオクシア+210.02円、ファーストリテ+160.91円、東エレク+147.83円。半導体・AI関連4銘柄(アドバンテスト・SBG・キオクシア・東エレク)合計で+1,134円、指数の押し上げ寄与率54.2%を占めた。前週末7/17の暴落もこの4銘柄が主導していたので、暴落を主導した顔ぶれと反発を主導した顔ぶれが完全に一致。指数の見た目は「+3.26%の全面高」だけど、中身は+2σ級のリバウンド銘柄が数銘柄あっただけ、という構造は前週末と鏡合わせのままだった。
→ 僕のルール:値がさ株の寄与率が50%を超える反発は、「指数が戻った」と考えず「その値がさ株が戻った」と読み替える。翌日以降の相場の主役は、この4銘柄の続伸/失速で決まる
② キオクシア(285A)+17.18%、ストップ安から一晩で+8,950円
キオクシアは前週末に-16.10%のストップ安引けで52,110円まで叩き売られていたが、今日は寄付きから買われて+8,950円の61,060円で終えた。売買代金は約2兆9,464億円と2位アドバンテスト(約2,982億円)の約10倍、東証プライム全体の売買代金9兆9,675億円の約30%を1銘柄で占有。日経電子版はこの急騰を「信用買い残が膨らんでいた銘柄への強制買い戻し」と説明していて、投げ売りが出尽くしただけじゃなく「売っていた側が慌てて買い戻した踏み上げ」まで起きた可能性が高い。
→ 僕のルール:ストップ安の翌々営業日にストップ高水準の反発が起きる銘柄は、投げ売り出尽くしより「踏み上げ」の可能性を先に疑う。踏み上げは初日で終わることも多いので、追いかけて買わない
③ 9:02の安値から一直線のじり高、大引けが高値の「高値引け」
寄付きは+402.93円と控えめで、9:02に一度+62円まで縮小した安値64,203円をつけた。ここが今日の底で、そこから前引け+1,114円、後場寄り+1,448円、14:00 +1,712円、大引け+2,091円と、時間の経過とともに上げ幅が増える一方通行の展開に。ゴールドオンラインは「取引終了にかけじり高基調」と表現していて、大引けの66,232円がそのままこの日の高値になった「高値引け」で終えた。連休明けの寄付きで様子見していた海外筋や機関投資家が、時間が進むにつれて買い方向に舵を切った動きに見える。
→ 僕のルール:高値引けは「今日買った人が全員含み益で終える」ので、翌日の寄付きは強く始まりやすい。ただ、じり高型の高値引けは翌日の寄付きで利食いが出ることも多いので、寄付きの飛び付き買いはしない
セクターの強弱——「何が買われて、何が売られたか」
東証33業種のうち上昇31・下落2という極端に偏った全面高。下落したのはその他製品と水産・農林業だけ。上昇上位は鉱業+4.91%・石油石炭製品+4.80%・保険業+4.24%・非鉄金属・その他金融の順で、資源関連と金融が同時に強かった構図。
「暴落の翌日は全面反発、その中でも景気敏感セクターが伸びる」というリバウンドの教科書に近い動きだった。原油上放れが続く中で鉱業・石油石炭が買われるのは自然だし、金利上昇局面で保険・金融が買われるのも整合的。今日買われなかった「その他製品」の中身は任天堂(-4.13%)などの個別要因が大きかった可能性が高い。
売買代金上位・注目銘柄
・キオクシアHD(285A) +17.18% 61,060円 売買代金1位(約2.9兆円、単独で東証の30%) ・アドバンテスト(6857) +7.73% 29,630円 日経寄与度1位(+512.89円) ・ソフトバンクG(9984) +6.03% 5,751円 日経寄与度2位(+263.08円) ・太陽誘電(6976) +6.43% 11,745円 電子部品 ・村田製作所(6981) +4.83% 8,001円 電子部品 ・東京エレクトロン(8035) +2.26% 66,570円 半導体製造装置 ・日経レバレッジETF(1570) +6.04% 70,080円 指数連動2倍ETF ・三菱UFJ(8306) +3.08% 3,580円 メガバンク ・イビデン(4062) +11.03% 17,415円 ICパッケージ基板 ・レーザーテック(6920) +1.86% 42,670円 半導体検査装置
売買代金上位10銘柄のうち、ETFを除いて9銘柄が半導体・AI関連。前週末に売買代金を占有していた顔ぶれと、今日買われた顔ぶれが、完全に同じ。
個別株で目立った動き(ストップ高/安含む)
ストップ高6銘柄・ストップ安1銘柄(大引け確定)。ストップ高側はYE DIGITAL(2354)、令和アカウンティングHD(296A)、シリコンスタジオ(3907、AI関連物色)、Globee(5575)、チャットプラス(598A、AI関連物色)、バリュークリエーション(9238)。ストップ安側はビープラッツ(4381、東証グロース)。
前週末の「暴落日でもストップ高15銘柄」と比べると今日はストップ高6銘柄と半減している。指数が戻った日の方が個別材料株の物色は薄まる、という一見矛盾する構造が今日の中身の弱さを示している。反発は半導体大型株の踏み上げ主導で、小型の材料株にはあまり資金が回らなかった。
年初来高値更新は58銘柄、安値更新はわずか1銘柄。指数の位置としてはまだ売られすぎ寄りだけど、個別の物色範囲は狭い一日だった。
為替と外部環境
・ドル円 162円台半ばのもみ合い(162.40〜162.54円) ・ユーロ円 185円台半ば(午前中はユーロ安・円高方向) ・米国株(7/17終値) S&P500 -1.01% / ナスダック -1.4% / ダウ -0.77% ・米国株(7/20終値、連休中の実質営業日) S&P500 -0.19% / ナスダック -0.05% / ダウ -0.59% ・米株先物(7/21朝) ナスダック100 +1.3% / SPY +0.56% / QQQ +1.38% ・WTI原油 83.22ドル(7/17の80ドル割れ水準から連休中に+3ドルの上放れ) ・ブレント原油 88ドル台 ・Gold 4,000ドル台前半(連休中の地政学リスク下でも12月FOMC利上げ観測が下押し、方向感は限定的) ・日本10年金利 約2.69%(7/17の2.715%からやや低下) ・中国市場 上海総合+1.79%(3,864.37)/CSI300+3%/香港ハンセン横ばい/背景に国家隊(大手保険5社)の長期保有継続表明 ・韓国KOSPI(同日) 一時+3.41%まで拡大(前日7/20はサーキットブレーカー発動の-4%超急落からの反動)
今日の日本株を持ち上げた材料は、①米株先物のハイテク主導の反発(テスラ・アルファベット決算週への期待)、②アジア株の同時並走の反発(韓国KOSPIが前日-4%からの反動で+3%、中国株も国家隊の下支えで上昇)、③前週末の暴落からの自律反発余地、の3つだった。ここで大事なのは韓国KOSPIが「前日先行して上げた」のではなく「今日一緒に反発した」こと。3市場が同じタイミングで反発している以上、日本の反発を海外に引っ張られたと単純化できず、「地域全体で溜まった売られすぎ圧力の同時解放」と読み替える必要がある。逆に原油と中東情勢は悪材料のまま残っているのに、それが押し切られた形になる。
テクニカルで見る今の位置
・日経225 ETF(1321):RSI 44.16(中立やや弱め、7/17の39台からは戻したが50はまだ未達)、MACDはSignal線を下回るデッドクロス配列が継続、ボリンジャーバンド%B 15.13%で下限バンド(-2σ)寄り ・TOPIX ETF(1306):RSI 48.08で中央値に接近、ただしボリンジャーバンド%Bは3.29%と-2σにほぼ張り付いたまま ・キオクシア(285A):RSI 41.36、ボリンジャーバンド%B 87.01%で+2σ接近、ただし日足MACDはSignal下のデッドクロス配列継続 ・アドバンテスト(6857):RSI 50.37で中央値回復、MACDはデッドクロス配列
今日は日経+3.26%の反発だったのに、指数のRSIはまだ44と50を超えていない。TOPIXのボリンジャー%B 3.29%は「-2σにほぼ張り付いた」極端な売られすぎ水準の名残で、指数としてはまだ「売られすぎからの初日の反発」というテクニカル上の位置に留まっている。MACDのデッドクロス配列は全銘柄で継続していて、トレンド転換の証拠はまだない。数字だけ見ると「反発の勢いはある、ただし転換とは呼べない」という中間的な状態。
※テクニカル分析はTradingViewのリアルタイムデータに基づく。投資判断は自己責任で。
全体像:暴落の犯人がそのまま首謀者に戻った日
今日の因果をつなぐと「連休中の米国株続落・原油上放れ・中東激化というリスクオフ材料の積み上げにも関わらず、7/21朝の米株先物ナスダック100+1.3%(大型ハイテク決算期待)と、日本・韓国・中国のアジア3市場が同時並走で反発する動きが支配し、寄付き+402円→高値引け+2,091円のじり高になった。中身は半導体・AI4銘柄で+1,134円(54.2%)を稼ぐ極端に偏った反発で、TOPIXボリンジャー%Bは3.29%と依然として-2σに張り付き、日足MACDは全銘柄でデッドクロス配列継続」という流れ。指数の見た目は歴代5位の暴落から3日後の急反発だけど、中身を見ると「暴落を主導した4銘柄がそのまま反発も主導した」というだけで、相場の構造は変わっていない。こういう相場で僕が意識しているのは、「反発の大きさ」より「反発の中身が新しい主役を作っているか」を先に確認すること。同じ4銘柄で動く相場は、この4銘柄が失速したら次の日で終わる。
今日の迷い・判断メモ
迷ったポイント: 前引け時点で+1,114円まで戻っていた段階で、「歴代5位の暴落からの反発ならもっと戻す」なのか「値がさ4銘柄だけの踏み上げなら前引けが天井」なのか判断がつかなかった。実際そこから後場は+1,000円さらに戻ったので、「後場の追随買いを見送ったのは早すぎたのでは」という気持ちが残っている
結局どう考えたか: 見送った。理由は2つで、①寄与度上位を見ると半導体4銘柄だけで日経+1,134円と、反発の内訳が偏りすぎていたこと、②TOPIXが+2.44%と日経+3.26%より弱く、日経-TOPIX乖離のパターンが7/17の暴落日と方向が反対なだけで構造は変わっていなかったこと
後から振り返って: 現時点では判断は維持。1,000円分の後場の伸びを取り損ねたのは事実だけど、キオクシア+17%が信用踏み上げ主導なら、踏み上げは基本的に初日で終わる。この後の続伸を無条件で期待するのは危険で、「明日の寄付きで利食いが出るかどうか」を先に確認したい。「取れたはずの利益」より「反発の中身の偏りを見てから動く」というルールを残す方が、この相場ではあとで効いてくるはず
自分なら何を確認してから動くか
- キオクシアが7/22(水)に売買代金1位のまま連続陽線を作れるか。売買代金2位以下に落ちたら踏み上げは初日で終わったサイン
- 米国7/22のテスラ・アルファベット決算のガイダンス。AI設備投資の方向感がポジティブなら日本の半導体株は7/23続伸、失望売りなら7/17と同じ「AI capex懸念」再燃で反転リスク
- 日経225 ETFのRSIが50を明確に超えるかどうか。超えなければ「反発初日の一時的な戻り」の域を出ない
明日の観測ポイント
明日は7/22(水)で、日本の貿易統計発表日。米国はテスラ・アルファベット決算週の初日。仮説はこの2つを軸に立てる。
① 仮説: キオクシアの踏み上げは初日で終わる(連続陽線+売買代金1位維持は難しい) トリガー: 明日の寄付きが陽線でも売買代金2位以下、または陰線で終える 無効条件: 明日も売買代金1位のまま陽線+出来高維持で終える → 僕のルール:信用踏み上げ主導の反発は、翌日以降に利食いが出やすい。BB+2σ接近+日足MACDデッドクロス継続の状態から連続陽線を作れる銘柄は少ないので、追いかけない前提で見ておく
② 仮説: 半導体4銘柄への集中反発は、明日以降に「他のセクターへの物色広がり」か「同じ4銘柄の失速」の二択に分岐する トリガー: 明日のTOPIXが日経より強く反発すれば「物色広がり」(指数上昇の中身が半導体依存から脱却)、逆に日経の方が強く戻ればまだ半導体依存継続 無効条件: 両指数とも小幅マイナスで終える=反発の勢い自体が失速 → 僕のルール:日経-TOPIX乖離は下げの日にも上げの日にも使える犯人探しの指標。明日この乖離が縮小方向に向かうかどうかで、「反発の質」が判定できる
③ 仮説: 米決算週の初日(テスラ・アルファベット 7/22米国時間)が半導体反発の燃料になるか、失望の引き金になるかがはっきりする トリガー: 決算後にナスダック100先物が+1%以上維持なら7/23の日本半導体株は続伸 無効条件: TSMC決算後と同じ「AI capex懸念」でナスダック-1%以上に沈むと、日本の半導体株も反落しやすい → 僕のルール:米決算週は「決算そのもの」より「決算後の同業株の連想売買」を先に見る。テスラの決算が半導体銘柄に直接影響することは少ないが、市場心理としては「ハイテク全体」に効く
明日以降にこの仮説がどうなったか、また振り返る。気になることがあればコメントで。
今日の3語メモ
- +2,091円の54%は4銘柄(アドバンテスト・SBG・キオクシア・東エレクで+1,134円)
- キオクシア+17.18%(ストップ安から一晩で反転、信用踏み上げの気配)
- TOPIX %B 3.29%(-2σに張り付いたまま、指数はまだ売られすぎの残り香)
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Jiyonは「AIで相場をどう読むか」の試行錯誤の記録です。 事業や個人資産にAIをどう取り込むかを体系で学びたい方は、TSUMUGU(Hiro)のメルマガをどうぞ。 → https://be-sunao.com/tsumugu/
この記事はjiyon(@jiyon_kizuku)の相場振り返りシリーズです。 投資判断は自己責任でお願いします。データは2026年7月21日時点のものです。

