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画面を録るだけで、業務がAIのスキルになる。Microsoftが無料で出してきた

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本記事は2026年8月4日(火)時点の情報をまとめたものです。

昨日の宿題から

昨日の記事の最後に「来週見るポイント」を5つ置いていました。そのうち2つ、今日答えが出たので先に片付けます。

IT導入補助金の「AI枠」の中身。1週間ずっとページが開けなくて(403エラーで弾かれ続けていました)保留にしていたのが、今日ようやく到達できました。結論を先に書くと、「AI特化枠」という枠は存在しません。これは大事な訂正です。詳しくは後半にまとめます。

Cloudflareの「Agents Week」の中身。8月3日に一気に発表がありました。中小企業目線で意味があるのは新機能そのものより、KimiやGLMといったモデルを圧縮して動かす技術のほうです。GLM 5.2はデータ量を705GBから421GBへ約40%削減、それでいて処理速度は最大55%上がったと公表されています(ただしこの55%は同時リクエストが1件のときの数字で、8件・16件と並行すると+21%程度に落ちます。実運用の体感はこちらに近いはずです)。「同じことが安くできるようになる」方向の進歩で、これは導入コストの見積もりにそのまま効きます。

残り3つ(Anthropicの調査ログ公開、Microsoftのセキュリティ製品、EU AI Actの署名企業リスト)については後半で触れます。

では今日の本題へ。


① 画面を録るだけで、その作業がAIのスキルになる

確定情報(Microsoftが2026年8月4日にGitHubで公開・リポジトリはこちら

Microsoftが「Skill Recorder」というアプリを無料で公開しました。何をするものか、めちゃくちゃシンプルです。

  1. ⌘⇧R(WindowsならCtrl+Shift+R)を押す
  2. いつもの作業を、いつも通りやる
  3. 止める

これだけで、画面の操作と喋った説明をもとにAIが「この人は何をしようとしていて、どういう順番でやったか」を組み立て直し、SKILL.md というファイルと、繰り返し実行できる自動化スキルを作ってくれます。

条件をまとめておきます。

  • 無料。MITライセンスなので商用利用もOK
  • macOSが主な対象。Windows 11、Ubuntuでも動きます
  • 必要なのはGitHub Copilotが使えるアカウントだけ
  • 管理者権限は不要(会社のPCで勝手にインストールできない、という壁を一段回避できます)
  • 作ったスキルの出力先は Microsoft Scout / Copilot Cowork / Copilot Studio

Microsoft自身が「パスワードなどの機密情報は録画しないよう注意」と書いています。ここは後で効いてきます。

なぜこれが効くのか

中小企業で業務の自動化が進まない理由、ツールの値段だと思われがちですが、現場で見てきた限り違います

いちばん詰まるのは、「その作業、どうやってるんですか」を言葉にする工程です。

10年やってるベテランの頭の中には手順が入っています。でも本人に聞くと「まあ、いつも通りやってるだけですけど」としか返ってこない。こちらがヒアリングして、業務フロー図に起こして、本人に確認してもらって、抜けを直して……ここだけで数日から数週間かかります。しかもその図、だいたい実態とちょっとズレます。

Skill Recorderがやろうとしているのは、この工程を**「本人が普段通りやってるところを録る」に置き換える**ことです。

そうなると何が起きるか。順番に書きます。

  1. 手順を言葉にするコストが下がる
  2. 自動化の候補が「よくやる作業」から「たまにしかやらないけど、あの人しかできない作業」まで一気に広がる
  3. 詰まるところが「何を自動化すべきか決めること」に移る

3番目は人間の仕事です。というか、ここから先が本番になります。

🏢 採用・人事の現場だと

10〜50人くらいの会社で、人事をひとりで回している方。こういう作業に心当たりがあるはずです。

  • 求人票を毎回ゼロから書き直している
  • 応募者の情報を、求人媒体・スプレッドシート・勤怠システムの3か所に手で転記している
  • 面接日程の調整メールを、毎回ほぼ同じ文面で打っている

これまでこれを自動化しようとすると、まず「その作業を全部書き出してください」から始まりました。それが1回やって見せるだけで候補に乗るかもしれない。ここが今回の変化点です。

ただし、採用業務でこれを使うときは絶対に守るべきルールがあります

応募者の個人情報が映っている画面は録らない。パスワードの入力画面が来たら止める。

採用業務は個人情報の塊です。応募書類の画面をうっかり録画して、それがどこかに残る構成になっていたら、それだけで事故です。録る前に「どの画面はNGか」を決めてから始めてください。

もうひとつ現実的な話。GitHub Copilotのアカウントが前提なので、Copilotを契約していない会社ではすぐには使えません。自分の場合はまず自分の作業を録って、出来を確かめてからという順番になります。

💡 個人・副業なら

受託で定型作業をやっている人には、たぶん今日いちばん効くニュースです。レポートの整形、データの転記、納品用のフォルダ整理。1回録ればスキルになります。管理者権限なしで入れられるので、試すハードルもかなり低い。

MITライセンスなので、作ったスキルそのものを納品物にする、という道もあります。

🔮 ここは正直に書きます

自分はまだ触っていません。

macOSが主な対象と書いてあるので、今週中にMacBookで自分の提案書作成の手順を1本録ってみます。出てきた SKILL.md が実際に使えるレベルなのかどうか。ここが確認できないうちは、これは「カタログに書いてあること」であって、現場で使える保証ではありません。次回のレポートで結果を報告します。


② 鎌倉市が、教員の採用選考にAI面接を入れた

確定情報(エンPeopleX社が2026年8月3日に発表・PR TIMES掲載のプレスリリースより)

同じ8月3日、日本で2本のニュースが出ました。方向は違うけど、並べると意味が見えてきます。

1本目。鎌倉市が、市費負担教員の採用選考に対話型AI面接を導入しました。

応募者は24時間、好きな場所から受験できます。AIが対話しながら回答を掘り下げる形式です。そしてリリースにはこう明記されています。

「AIが合否を自動的に決定することはありません」

録画をもとに、採用担当者が一人ひとり確認して総合的に判断する。そういう二段構えです。

2本目。LayerXが「バクラク人事労務」のAI機能の先行提供を始めました。(PR TIMES掲載のプレスリリースより・2026年8月3日)

従業員情報を適用日と履歴つきで管理して、AIが手続きの漏れをチェック。マイナンバーカードの画像をアップロードすればOCRで自動読み取り。承認から帳票作成、電子申請まで同じ画面で完結します。バクラクシリーズ全体の導入企業は20,000社を超えています。

この2本を並べると見えること

採用の「入口」と「その後」の両方から、AIが業務の奥に入ってきているということです。

そして鎌倉市の件でいちばん効くのは、自治体の、しかも教員採用だという点です。

慎重にならざるをえない領域の代表格です。ここでAI面接が通ったということは、これから民間の中小企業で「AI面接なんてまだ早いんじゃないか」という反論が、年内にかなり弱くなります。

「大企業が使ってます」より、「役所が公務員の採用で使ってます」のほうが、地方の中小企業には桁違いに刺さります。これは提案の現場で何度も感じてきたことです。

🏢 明日から使える、AI面接導入の3点セット

社長から「AI面接ってうちでもできるの?」と聞かれたら、こう答えられます。

構成はこの3つで固定してください。

  1. AI面接は、情報を集めて深掘りするところまで
  2. 合否の判断は、必ず人間がやる
  3. その方針を、募集要項と応募者向けの案内に書く

3番目、面倒に見えますが飛ばさないでください。

日本にはまだAIの利用開示を義務づける法律はありません。でも昨日書いた通り、EUでは8月2日から「AIと話していることを告げる義務」が施行されていて、違反すると最大1,500万ユーロ、または世界売上の3%のどちらか高いほうという制裁金がつきます。採用の領域はEUの法律で「高リスク」に分類済みです。

日本のAI面接サービスのリリース文が「AIが合否を決めることはありません」を前面に置くようになってきているのは、たぶん偶然ではありません(※この因果関係は自分の読みで、両社がEUの法律に言及しているわけではありません)。

**法的義務がないうちに、開示を先にやっておく。**これはリスク管理としても、候補者からの見え方としても、単純に正解です。

入口だけ速くすると、後ろで詰まります

LayerXのほうも大事な話です。

10〜50人規模の会社だと、入社手続きは総務のひとりに全部乗っています。AI面接で選考を速くしても、内定後の書類仕事が変わっていなければ、詰まる場所が後ろにずれるだけです。

採用AIの提案をするときは、この構造を必ずセットで見せたほうがいい。「入口を速くします」だけの提案は、現場から見ると片手落ちに見えます。

💡 応募する側の話

AI面接を受ける機会は、ここから急に増えます。自治体の教員採用まで来たということは、来年には地方の中堅企業の一次選考でも普通に出てくるということです。

カメラに向かって、自分の経験を構造立てて話す練習。転職や副業を考えているなら、いま投資する価値が上がっています。


③ Alibabaが2.4兆パラメータのモデルを来週オープンにする

確定情報(Alibaba Cloudが2026年8月3日に発表・ITmedia報道

数字だけ先に並べます。

  • モデル名は「Qwen3.8-Max」、規模は2.4兆パラメータ
  • コーディングのテスト結果は勝ち負けが混ざっています。Terminal Bench 2.1ではClaude Fable 5を上回り、SWE-bench ProではGPT-5.6 Solを上回った。ただしDeepSWE 1.1では両方に負けています。ここは読み方に注意が必要で、「2つのテストで米国勢を丸ごと抜いた」わけではありません。テストごとに比較相手が違い、同じTerminal Bench 2.1でもGPT-5.6 Solには届いていないという指摘もあります
  • API料金は100万トークンあたり入力2ドル・出力6ドル
  • 来週、モデルそのものを公開(Alibaba Cloudがこの規模で公開するのは初)
  • デモでは10日以上、自律的にコーディングを続けたと報告

同じ日、Hugging FaceのCEOがCNBCで「中国はオープンなモデルで明らかに優勢で、来年フロンティアでも優勢になっても驚かない」と発言しています。

「中国が最強になった」という話ではありません

3つ中2勝1敗、という結果をどう読むか。自分は**「性能はもう決定的な差じゃなくなってきた」**と読んでいます。

じゃあ何で差がつくか。値段と、モデルを自分のところに置けるかどうかです。

「モデルを公開する」というのは、自社のサーバーの中にAIを置ける=データを外に出さない構成が組めるということです。日本の慎重な会社にとっては、これは値段以上に効きます。

🏢 「結局どのAI使えばいいの?」への答えを更新する

この質問、毎回もらいます。答え方を変える時期に来ています。

性能で選ぶ時代から、この2軸で選ぶ時代へ。

  1. データをどこに置くか
  2. 月いくらか

ただし、採用や人事のデータについては別の話です。応募者の個人情報を扱う以上、モデルを提供している会社がどこの国にあって、預けたデータをどう扱うのかが、提案書に書ける形で確認できないと通せません。

自分の今のスタンスははっきりしています。

選択肢が増えたことは伝える。ただし採用データを流す先としては、現時点では勧めない。

逆に、社内文書の要約とか、個人情報が絡まない用途なら、コスト削減の候補として普通に議題に載せていいと思います。

💡 副業でコードを書いている人へ

来週モデルが公開されたら、手元で動かせる可能性があります。API課金を気にせず回せる環境は魅力的です。

ただライセンス条件がまだ公表されていません。「公開された=商用で使っていい」ではありません。仕事に組み込む前に、必ずライセンスの欄を読んでください。


🏢 補助金の話を、正しい名前で

さて、1週間かけてやっと開けたページの話です。

「AI導入なら補助金が出ますよ」と言っている方、ここは正確に押さえ直してください。

まず、「AI特化枠」という枠はありません

IT導入補助金2026(正式には「デジタル化・AI導入補助金2026」)の申請枠は5つです。

通常枠/インボイス枠(2類型)/セキュリティ対策推進枠/複数者連携デジタル化・AI導入枠。

AIという言葉が入っているのは、最後の1つだけです。

複数者連携デジタル化・AI導入枠(公式

条件がいいぶん、入口が狭いです。

  • 対象は、商工団体・地域活性化団体・または複数の中小企業によるコンソーシアム。単独の会社は申請できません
  • 補助率:ソフトウェア50万円以下は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超は2/3以内。ハードウェアは1/2以内
  • 上限:ソフトウェア50万〜350万円(構成員1者あたり)、基盤導入経費と消費動向分析経費の合計で3,000万円
  • 締切:2026年8月25日(火)17:00、交付決定は10月7日予定(※この締切が何次にあたるかは、公式サイト内でも枠別ページとスケジュールページで表記が食い違っています。日付で確認してください)

通常枠(公式

単独の会社が現実的に狙うのはこちらです。

  • 補助率1/2以内(条件により2/3以内)
  • 補助額は1プロセス以上で5万〜150万円未満、4プロセス以上で150万〜450万円
  • 対象は「顧客対応・決済」「債権債務」「供給・在庫・物流」「会計財務」**「総務人事給与」**などの業務プロセスを1つ以上持つソフトウェア

人事労務系のツールは、通常枠の「総務人事給与」に素直に乗ります。

今日やること

提案中の会社に「AI導入で補助金出ますよ」と言っているなら、単独の会社が実際に狙うのは通常枠だという事実を、今日のうちに伝え直してください。

締切は8月25日。残り21日です。

そして、商工会のつながりなどで複数社をまとめられる案件なら、連携枠のほうが補助率も上限も圧倒的に有利です。そこは提案の組み立て方の話になります。

存在しない枠の名前で説明すると、信用は一発で落ちます。枠の名前は公式の表記をそのまま使ってください。


その他、今日拾ったもの

🔮 Anthropicの調査ログ公開は、5日経ってまだです。 AIが悪意あるパッケージを公開してしまった事案について「1週間以内に記録を出す」と予告されていた件。公式サイトを今日も確認しましたが、まだ出ていません。期限は8月6日ごろで、残り2日

🔮 Microsoftのセキュリティ製品「Project Perception」は、一次と二次で情報が割れたまま終わりました。 メディアは「8月3日に公開された」と報じていますが、Microsoftの公式ページには「開始した」という記述がどこにもありません。「予告日に公式発表がなかった案件」として記録して、追跡は打ち切ります。ニュースを追うときのこういう不一致は、記録に残しておかないと後で自分が混乱します。

🔮 EU AI Actの署名企業リストに日本企業がいるかは、7日連続で確認できていません。 ページの構造上、全部を読み切れていないだけで、「日本企業が署名していない」という確定ではありません。ここは正直に未確認のままにしておきます。

代わりに新しい情報が取れました。8月2日より前に世に出ていたAIについては、ラベル付けの義務だけ2026年12月2日まで猶予されるという例外があります。すでに動いているチャットボットがある会社には、この日付が効きます。

🔮 経済産業省に新しい課ができ、明日8月5日に施行される予定です。(政令は7月31日に閣議決定)正式名称は「情報処理システム開発・ロボット課」で、「AI産業課」は通称です。ただし経産省のサイトが403で開けず、公式で裏が取れていません。明日が施行日なので、あらためて確認します。


今日の要点

  • Microsoft「Skill Recorder」が無料公開。画面を録るだけで業務がAIスキルになる。手順を言葉にするコストが下がる。ただし自分はまだ未検証、次回報告します
  • 鎌倉市が教員採用にAI面接を導入。「AIは合否を決めない、人が判断する」を明記。導入するなら①AIは深掘りまで②判断は人③方針を明記、の3点セットで
  • Alibabaが2.4兆パラメータのモデルを来週公開。性能より「データをどこに置くか」「月いくらか」で選ぶ時代へ。採用データを流す先としてはまだ勧めない
  • IT導入補助金に「AI特化枠」はありません。単独企業が狙うのは通常枠。締切8月25日、残り21日

明日は、経産省の組織改編とAnthropicの調査ログを追いかけます。

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