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「勉強する意味がわからない」と言う子に、9年間の現場で見つけた答え

「勉強する意味がわからない」と言う子に、9年間の現場で見つけた答え

「勉強する意味がわからない」

中高生を9年間見てきて、この言葉を何百回聞いたかわかりません。

そして最初の数年、僕はこの言葉に対して間違った返し方をしていました。

「将来こういうときに役立つよ」 「とりあえず受験には必要だから」 「大人になったらわかる」

——どれも、子どもの心には1ミリも届いていませんでした。

今ならわかります。「勉強する意味がわからない」は、論破してほしい問いではない。多くの場合、それは別の何かのサインです。

この記事では、9年間の個別指導の現場で見つけた「この言葉との向き合い方」を、保護者の方にも、中高生本人にも届く形で書きます。


「勉強する意味がわからない」の正体は2つある

長く見ていると、この言葉には大きく2つのパターンがあることに気づきます。

パターン1:本当に「意味」を問うている

知的好奇心が強い子ほど、「なぜこれをやるのか」に納得できないと動けません。これは反抗ではなく、むしろ思考力が高い証拠です。

パターン2:別の感情を「意味」という言葉に翻訳している

実はこっちが圧倒的に多い。

  • やってもできない → 「自分は頭が悪い」→「だから意味がない」
  • 周りと比べて落ち込む → 「私なんか」→「やっても無駄」
  • そもそも疲れていて動けない → 「意味がわからない」

つまり、「意味がわからない」の下に、自信のなさ・疲れ・孤独が隠れていることがほとんどなんです。

ここを見誤って「意味」を説明し始めると、子どもは「わかってもらえない」とますます心を閉じます。


「使わない」のと「使えない」のは、全然違う

それでも、本当に「意味」を問うてくる子には、僕はこう伝えます。

「"将来使うかどうか"はわからない。でも、"使わない"のと"使えない"のは全然違うよ」

以前、「数学なんて社会に出たら使わない」と勉強を拒否していた中3の子がいました。

その子の心を動かしたのは、僕の正論ではありませんでした。アルバイトの大学生講師が、笑いながらこう言ったんです。

「僕もそう思ってた。でも就活のテストで数学が出てきて、詰んだんだよね」

この一言で、その子の中の「使わない」が「いつ使うかわからない」に変わりました。やる気MAXにはならなかったけど、「最低限はやっておこう」と思えた。それで十分でした。

勉強の意味は、選択肢を残しておくこと。 使うかどうかは未来の自分が決める。でも「使えない」状態だと、その選択肢すら持てない。


意味は「教える」ものじゃなく、「出会う瞬間を設計する」もの

もう一つ、忘れられない子がいます。

英語が大嫌いで「将来使わないし」が口癖だった高2男子。偏差値38。

その子が変わったきっかけは、僕の授業ではありませんでした。たまたま海外ドラマにハマって、字幕なしで聞き取れたセリフがあった。「え、今の英語わかった」と興奮したんです。

そこから「もっと聞き取れるようになりたい」と前のめりになり、半年で偏差値50超え。

このとき僕が学んだのは、意味は言葉で教えるものじゃないということ。

「使いたくなる瞬間」は、突然やってくる。そのときに基礎ができていれば、一気に伸びる。だから僕たち大人の仕事は、意味を説教することじゃなくて、その瞬間が来たときに飛び込めるよう、土台を一緒に整えておくことなんです。


親と先生にできる、たった3つのこと

心理学に「自己決定理論」という考え方があります。人のやる気は、次の3つが揃うと内側から湧いてくる、というものです。

1. 自律性 ——「やらされ」を「選んでやる」に変える

「勉強しなさい」ではなく「今日は何ならできそう?」。 選択権を本人に渡すだけで、同じ勉強でも顔つきが変わります。

2. 有能感 ——「できた」を一緒に見つける

テストで0点を取った子に、僕はこう言ったことがあります。

「0点は"何がわかっていないか"が全部わかるデータ。最強のスタート地点だよ」

一緒に答案を分析すると、「アルファベットは書ける」「be動詞はわかる」と、できることが見つかった。次は35点、その次は60点。伸びしろが100点分あると捉え直せたとき、子どもは動き出します。

3. 関係性 ——「人として」関わる

不登校だった子が動き出したきっかけは、勉強の話ではありませんでした。週1回、ゲームやアニメの話をする時間から始めた。3ヶ月後、「先生と話すの楽しいから、勉強もやってみたい」と本人が言い出したんです。

安心できる場所があって初めて、人は前に進める。 順番を間違えてはいけません。


比べる相手は、他人じゃなくて3ヶ月前の自分

最後に、保護者の方に一番伝えたいことを。

「私なんか」が口癖だった高2の女子がいました。成績は悪くないのに、有名大学に進んだお兄さんと常に比べて、自信を失っていた。

僕がしたのは、3ヶ月前の模試と今の模試を並べて見せただけ。

「お兄さんと比べる必要はない。比べるなら、3ヶ月前の自分とだよ」

「あ、英語15点上がってる」——初めて自分の成長に気づいた瞬間、その子の「私なんか」は「もうちょっと頑張れるかも」に変わりました。

子どもの成長は、他人との比較では見えません。過去のその子自身と並べたときに初めて見える。これは、家庭でも今日からできることです。


おわりに

「勉強する意味がわからない」は、扉を閉じる言葉に見えて、実はまだ対話の余地があるサインです。

意味を論破するのではなく、その言葉の下にある気持ちに耳を傾ける。できたことを一緒に見つける。意味と出会う瞬間が来たとき飛び込めるよう、土台を整えておく。

9年間の現場で僕がたどり着いた答えは、結局のところシンプルです。

意味は教えるものじゃない。一緒に見つけにいくもの。

成績じゃなく、成長を。 その子が自分の力で前に進めるようになるまで、僕は伴走を続けます。

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